【大義なき解散総選挙12】「これでは北朝鮮と同じ」 自民党改憲案と集団的自衛権行使容認を徹底批判~岩上安身による小林節・慶応大学名誉教授インタビュー 2014.11.28

記事公開日:2014.11.28取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・平山茂樹)

 11月21日の衆議院解散を受け、事実上の選挙戦が始まった。各党が軒並み政権公約(マニフェスト)を発表し、街頭演説などで政策をアピールしている。

 安倍総理は、21日夕方の記者会見で、「今回の解散はアベノミクス解散だ」と述べ、アベノミクスの成果が今回の選挙の争点であると強調した。しかし、アベノミクスを中心とする経済政策以外にも、多数の争点が存在することは間違いない。

 そのなかで、最も重要なもののうちのひとつが、憲法改正と解釈改憲による集団的自衛権の行使容認だ。安倍内閣は、7月1日に集団的自衛権行使容認を閣議決定し、立憲主義を無視した自民党改憲案にのっとった憲法改正をにらみ据えている。

 では、集団的自衛権行使容認と、自民党憲法改正草案の何が問題なのか。改憲論者でありながら、国民安保法制懇のメンバーとして、安倍政権の憲法観を厳しく批判する慶応義塾大学名誉教授の小林節氏に、岩上安身が話を聞いた。

■イントロ

  • 小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)
  • 日時 11月28日(金)13:00~
  • 場所 小林節研究室

「ニセ憲法」としての明治憲法に戻そうとしている自民党

岩上安身(以下、岩上)「今回の総選挙で、隠された争点になっている憲法改正について。安倍総理が、朝日新聞のインタビューで憲法改正について語っています。それを読むと、自民党改憲案を本気で実現したいと考えているようです」

小林節氏(以下、小林・敬称略)「私も、彼らが本気だということを知って、こちらも命がけで止めなければいけないと思っています。憲法が、権力者と公務員を縛るものだというのは、全世界で共通に理解されているものです。しかし、自民党の改憲案では、国民が憲法を守るようにと明記されています。これは、北朝鮮か明治憲法と同じものですよ。

 例えば、山谷えり子議員が、『明治はよい時代だった』と私に対して胸をはって言ったわけです。しかし、人権もない、国民主権もなくて、天皇主権、軍部が独走できる。これのどこがいい時代だったのでしょうか」

岩上「小林さんが明治憲法、明治時代の体制をこれほど苛烈に批判される方だとは知りませんでした」

小林「明治憲法というのは、王権神授説を中途半端に取り入れたものです。ニセ憲法です。日本は、近代市民革命を経ず、近代天皇革命になったので、そういうことになってしまいました。

 私がアメリカから留学して帰って来た時、日本国憲法に環境権が書かれていなかったり、プライバシーに関する権利がなかったりするので、時代にあわせてアップデートすればいいという改憲論を持ってきました。

 そこで、改憲派ということで、自民党の勉強会などに呼ばれるわけです。自主憲法制定国民会議、岸信介元総理が創設した会議ですね。これにつながるのが、保利耕輔氏や中谷元氏などです。安倍総理も、若手の国防族として参加していたようです」

岩上「自民党の方々と対話を続けてきたけれど、決裂したということですね」

小林「裁判官出身の保岡興治さん、それから船田元さんなどは、私の議論を聞いてくれました。しかし、自民党が野党から与党に復帰したとき、『知的には負けても、政治的には負けないよ』という態度になりました」

個人主義をないがしろにする自民党改憲案

岩上「憲法で一番重要なのは、立憲主義だと言われます」

小林「立憲主義とは、国家権力は国民が前もって定めた憲法を超えない範囲で仕事をしなさい、というものです。国民から公職についている人への命令なんですよ、ということです。

 しかし、まるで貴族のように振る舞っている世襲議員たちは、『一番大きな社会を国だ』ということで、『よし、国を愛しなさい』となる。『一番小さな社会は家族だ』ということで、『家族を大事にしなさい』となります。

岩上「自民党改憲案の家族に関する条項を見ていると、統一教会に似ています。何かの権威があり、それが夫婦の関係を保証する、という構図になっています」

小林「自民党改憲案を見ると、『個』が『人』になっています。金太郎飴のように日本人を管理したい、ということでしょう。

 『君は君、我は我、されど仲良し』、それが個人主義です。その個人主義をないがしろにするというのが、自民党改憲案です。これは、北朝鮮であり、大日本帝国ですよ。北朝鮮と大日本帝国はよく似ていると、しばしば言われます」

岩上「今、憲法擁護義務を守っているのは、天皇陛下と皇后陛下ではないでしょうか」

小林「安倍総理のブレーンである北岡伸一氏は、時代にあわせて政治家が憲法をマネージすればいい、という趣旨のことを言いました。これはとんでもないことで、憲法が政治家を縛るのです」

現在の憲法9条をどう考えたらよいか

岩上「具体的に、自民党改憲案のどこが危険なのでしょうか」

小林「まず、道徳に法が踏み込んでいるという点が危険です。安倍総理は、現在の9条で海外派兵をしようとしています。私は、今の9条だと、こういう事態が起こりかねないと言ってきました。

 私なら、9条にこう書きます。1項、侵略戦争をしない。2項、他国からの侵略に対しては自衛をする。3項、自衛のための軍を持つ。4項、自衛軍で国際貢献は行い得る。ただし、国連と国会の承認を得る必要がある。そう書きます。

 これに対して自民党の案は、自衛権を持っていると書いているだけで、侵略をしないとは書いていないわけです。海外派兵についても、法律で定める、としています。つまり、憲法で縛りをかけていないわけです。軍国主義的な海外派兵を、政府が決めることができるわけです。

 第2次世界大戦が終わった直後、すぐに冷戦が始まり、米国のエージェントである保守と、ソ連のエージェントである革新に分かれました。イデオロギーの時代は、相手を見て、敵と味方を判断し、罵声を浴びせる。私は、それが嫌で、米国に留学しました。

岩上「9条を書き込んだのはGHQで、ソ連ではありませんよね」

小林「米国としては、日本という国を保護観察状態に置こうとしたわけです。日本は明治維新を経て、第2次世界大戦で欧米にケンカを売った、不気味な民族だと思われたわけです」

岩上「日本は、この保護観察状態をうまく利用して、経済成長を遂げたわけです。しかし日本は、下からも上からも、右傾化しています」

小林「集団的自衛権で、日本は米国の2軍になります。国際社会というのは、自国の利益だけを追求するものです。なぜ日本が、米国の利益を追求しなければならないのでしょう。イスラムからの報復が行われる可能性がありますよ。なぜそのようなリスクを取らなければならないのか。

 自民党と外務省の悲願は、国連常任理事国に入ること。しかし、中国とソ連が拒否権を発動するわけですから、そんなことはあり得ません」

岩上「さらに、敵国条項を外してもらうことが必要ですよね」

小林「私は、保護観察処分を逆手に取ることが、最も国益にかなうと思っています。しかし、自民党の勉強会では、意見が異なると『おい、小林君』などと罵詈雑言を浴びせ始めるんですね。困ったものです」

議員定数削減問題「安倍総理は言い訳をしている」

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“【大義なき解散総選挙12】「これでは北朝鮮と同じ」 自民党改憲案と集団的自衛権行使容認を徹底批判~岩上安身による小林節・慶応大学名誉教授インタビュー” への 3 件のフィードバック

  1. 安倍総理は独裁者か より:

    独裁者って怒りっぽくって石頭なんですよね、昔から。

  2. うみぼたる より:

    話の主旨からはずれてしまいますが、アメリカのエージェント VS ロシア・中国のエージェント の対立のために日本ではイデオロギーによる分断が長年行われていたのならば、不条理が通ってきた理由として納得がいきます。
    お辛い経験をされてきた方も多いのでしょうが、津田さんや東さんが「脱・イデオロギー」なるものを行っているというのは朗報だと思います。 願わくば、イデオロギーを分断ではなく切磋琢磨のために扱えるようになりたいものです。

  3. 露伊朝同盟の新時代 より:

    小林節さんは改憲派でありながら安保法制に反対している事である。
    安保法制は中東の戦争に巻き込まれる恐れがあるから山本太郎さんが反対した。
    なので鳩山由紀夫さんのクリミア訪問は神奈川県民の多くは感動しております。
    そして北方領土を返したければアラスカ、ハワイ、グアムはアメリカが不法占拠した事実を述べなければならない。
    アラスカはアメリカがロシアを不法占拠した土地であり、ハワイやグラムもアメリカが不法占拠した事実を述べる必要があるだろう。
    故に安保法制と特定機密保護法を廃止して反米保護法を適用させるべきであると感じます。

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