「30年後、日本は100年間戦争のなかった国だと自慢できるように、僕はここにいる」 〜特定秘密保護法に反対する学生デモ FINAL@SHIBUYA 2014.10.25

記事公開日:2014.11.9取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

 「デモをしても世の中は変わらないと、人々は揶揄する。しかし、自分は自分の頭で考える道を選びたい。民主主義は国会議事堂の中に収まっているものではないし、さまざまな制度の中に埋もれているものでもない。

 デモクラシーとは、自由に考え、判断し、行動する力のことだ。自分たちは、決してあきらめない、忘れない、終わらない」

 2013年12月6日、特定秘密保護法が成立した時から、その内容に疑問を持ち抗議活動を行ってきた「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」(SASPL)が、2014年10月25日、東京・渋谷で「特定秘密保護法に反対する学生デモ FINAL@SHIBUYA」を行った。

 今年12月に同法の施行が迫る中、このデモには学生を中心に、主催者発表で2000人に上る人々が参加。若者たちはラップ調のコールに合わせて声を上げ、サウンド・カーの上に立ち、「決してあきらめない」と思いをぶつけた。

 サウンド・カーの上の男子学生は、「特定秘密保護法は欠陥だらけだ。秘密の指定範囲が決まっていない。日々の繁忙さに身を任せていくと、すぐにこの法律を忘れてしまう。それがとても不安だ。歴史に逆行する法律で、自分たちの過去をフィードバックできなくなる」とアピールした。

 IWJ記者のインタビューに、参加者は「普段、生活の中で特定秘密保護法について話すことはない。今回、これだけ人が集まることは、注目に値する」と答えた。また、主催者のひとりはデモに「ファイナル」と付けたことについて、「僕らは普通の学生にすぎない。12月10日に特定秘密保護法の施行日を迎えるという意味では『ファイナル』だが、これからも自分たちの姿勢に共鳴する若者たちの励ましになれば」と語った。

■ハイライト

  • デモコース 代々木公園 → 公園通り → 井ノ頭通り(ハンズ通り) → 文化村通り → スクランブル交差点 → 宮益坂下 → 明治通り → 表参道 → 代々木公園

デモは異議を申し立てる国民の正当な手段

 冒頭で主催者は、「特定秘密保護法は、自由と民主主義に反する。選挙だけでは民意は反映させられない。政治がおかしいと思ったら、国民は異議を申し立てる。その正当な手段がデモだ」と訴えた。

 続けて、特定秘密保護法に反対する理由を、1. 秘密の範囲指定があいまい、2. 監視のための第三者機関は内閣内にあって三権分立が崩壊する、3. 自由な言論活動が制限される、4. 適正審査でプライバシーが侵害される、と説明した。

 このデモは、街を歩く人々にアピールするためサウンド・カーが誘導し、参加者はラップ・ミュージックにかけ声を合わせて、渋谷の街に繰り出した。

間接民主主義の椅子で自分たちは安穏としすぎた

 サウンド・カーが先頭になり、若者たちの長蛇のデモがそれに続く。「特定秘密保護法反対! 民主主義とは何だ? 憲法を守れ! 言うことを聞かせる番だ、俺たちが!」と声を張り上げながら、渋谷の繁華街を練り歩いた。

 デモをしながら、学生がマイクを握る。

 「3年前、3.11直後、この渋谷でもみんなが『絆』『復興でがんばろう』と口にしたはずだが、今では震災などなかったように、国は仕立てている。そんな空気に祖父母たちは、戦前のような不安を感じている。強い日本と言いながら、ヘイトスピーチもまかり通る。

 政府は『特定保護法案は国民のための法律だ』と正当化するばかり。しかし、特定秘密の内容もわからない法律はいらない。30年後に、日本は100年間戦争のなかった国だと自慢できるようにするため、僕はここに立って反対を訴える」

 次の学生も、大きく声を張り上げた。

 「熟議なし法案可決、解釈改憲、増税に突き進む安倍政権に反対する。今回、民主主義に伴う苦労を知った。間接民主主義の椅子で自分たちは安穏としすぎた。暴力は必要ない。自分の言葉で叫ぶ時が来た。自分の頭で判断する時が来た。すぐには変わらないが、絶対に変わらないと誰が断言できるのか。変わっていく世界を、次の世代へ受け渡すために、今、この地に立つ」

自分の頭で考える道を選びたい

 大阪から参加した女子大生は、特定秘密保護法は非民主主義だと憤る。背景にはアメリカとの軍事同盟があるとして、「武力で平和は作り得ない。敵を作らない努力をするべきだ。よくわからない理由で戦う勇気より、戦わない勇気を尊ぶ」と述べた。

 参加者たちは次々にマイクを回し、自分の思いをアピールした。

 「昨年の特定秘密保護法の強行採決で、民主主義の幻想に気づいた。子羊のように黙っている普通の大人たちが、それを決めさせた。言いたいことも、知りたいことも、自由でありたい。このままでいいのか?」

 「特定秘密保護法は欠陥だらけ。秘密の指定範囲が決まっていない。日々の繁忙さに身を任せていくと、すぐにこの法律を忘れてしまう。それがとても不安だ。歴史に逆行する法律で、自分たちの過去をフィードバックできなくなる」

 デモは渋谷周辺を一周りして、主催者が終了のスピーチを行った。「デモをしても世の中は変わらないと、人々は揶揄する。しかし、自分は自分の頭で考える道を選びたい。民主主義は国会議事堂の中に収まっているものではないし、さまざまな制度の中に埋もれているものでもない。デモクラシーとは、自由に考え、判断し、行動する力のことだ。自分たちは、決してあきらめない、忘れない、終わらない!」と締めくくった。

特定秘密保護法が施行されても、声を上げていく

(…会員ページにつづく)

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