特定秘密保護法案が成立に向けて強引に審議が進められている中、秘密保護法を考える全国大学生の緊急大集会が開かれた。
学生が賛成派、反対派それぞれの立場からプレゼンテーションを行い、その後、田島泰彦氏(上智大学教授)、右崎正博氏(獨協大学教授)、山内敏弘氏(一橋大学名誉教授)が本法案に対する意見を述べた。三氏とも反対の立場を強く表明した。
法学者である田島氏は、「明確に本法案に反対です」と明言した上で、「学生の皆さんには、自分でよく考えるように言いたいと思います。現状がどうなっているのか、今の制度ではどうなっているのか、国際的にはどういう状況なのか、調査し分析して、自分の頭で考えることが必要です」と学生たちに呼びかけた。
田島氏は、まず第一に、そもそもこの法律が必要なのかどうかを問いかけ、既にある法律で十分だという見解を示した。そして「現代の民主主義の国の基本的な考えでは、国の情報は役人や政治家が私物化してはいけない、市民が十分にアクセスされてしかるべきと考えられている」とし、この法案がいかに世界の多くの民主主義の国々で考えられていることと逆行しているかを述べた。
憲法学者の右崎氏は、「この法案は秘密指定されうる範囲が広すぎ、濫用される恐れがあるため、チェックする仕組みが絶対に必要」として、第三者機関の問題について重点的に論じた。アメリカでは、大統領が秘密指定したら国立公文書管理局という独立機関がチェックするなど、複数の仕組みによってチェクがなされていることを紹介した。そして、最近になって安倍首相が保全監視委員会を設置すると言い出し、その一方で菅官房長官が内閣府に情報保全観察室を設置すると言い出していることに触れ、「法案の中には書かれていないもの、そして、衆議院の審議の段階では全く議論されていないものを、唐突に言い出しています。このような状態で、あと一日二日で決めてよいものではない」と批判した。
法学者の山内氏は「この法案には、現在の安倍政権の傲慢、国民軽視の考え方が表れている」と非難した。そして、自民党の町村信孝議員の「知る権利が国家や国民の安全に優先するという考え方は間違い」と言った発言に対して、「国家の安全のためには知る権利を制限してもいいという考えが間違っていることは歴史的にも明らか」と断言した。また、この法案では秘密指定に関して行政機関の長が権限を持っているが、それは国会が国権の最高機関であるとする憲法と矛盾するものだと指摘し、山内氏は「主権者である国民に対する背信以外の何ものでもない」と言う。
さらに、山内氏は、日本版NSC設置法や集団的自衛権行使の容認と一緒に進められている本法案が、「日本を戦争ができる国にするための法整備だ。秘密保護法案によって国民が知らないままに集団的自衛権行使を行えるようにしている」と述べた。