原子力ムラの常套手段は「大事なことは、これから」 ~川内博史氏 麻生財務相の選挙区筑豊で安倍政権の原発政策を徹底批判 2014.6.29

記事公開日:2014.7.4取材地: テキスト
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(IWJ中継市民 こうの みなと)

 2014年6月29日(日)13時半から、福岡県飯塚市のイイヅカコミュニティセンターで前衆議院議員・川内博史氏を講師に講演会「川内博史氏 筑豊で語る!! みんなで考える原発講座24(この国の真実を語る)」が行われた。飯塚市において、脱原発を目指して活動している「原発知っちょる会」が主催した。

 川内博史氏は、1996年より衆議院議員を5期務め、民主党・野田政権時代では、科学技術・イノベーション推進特別委員長まで務めたが、前回の衆院選では民主党より出馬し落選した。

 川内氏は、講演の冒頭、「日本は戦争末期に、『一億総玉砕』と公式文書に書いた国。国民の本当の敵は、日本政府であった。残念ながら、今も政府は政府を維持する為に存在する。だから、政府を信用しては絶対にいけない」、「国民は、国民を守る国会議員を選ぶ必要がある。しかし、麻生太郎さんが原発をダメとは絶対に言いませんよ」と指摘。講演が行われた福岡県飯塚市(筑豊地方)が選挙区である麻生太郎副総理を堂々と批判した。

■全編動画

  • 講演 川内博史氏(前衆議院議員)「この国の真実を語る」
  • 日時 2014年6月29日(日)13:30~15:30
  • 場所 イイヅカコミュニティセンター(福岡県飯塚市)
  • 主催 原発知っちょる会

原子力ムラの常套手段「大事なことは、これからやります」

 川内氏は、日本の原子力政策の根幹部分は、全て「これからやります」で押し通されていると指摘する。

 その一例として、原発再稼働の為の新規制基準で必要とされているものは、非常用電源を確保する為の「電源車」、外部から冷却水を組み上げる為の「ポンプ」、原子炉建屋に水素ガスが充満した時に穴を開ける「電動ドリル」のたった3点のみであることをあげた。

 地震対策として絶対に必要不可欠な「免震棟」などに関しては、全て「これからやります」で、再稼働審査に合格してしまうのである。

事故原因が津波ではなく地震の揺れ自体であれば、全ての原発は動かせない

 川内氏は、福島第一原発1号機において、事故直後に原子炉を冷却する為の非常用復水器(IC)が、手動で止められていたことに着目。地震の揺れそのもので配管が破れ、非常用復水器を動かすと冷却材が流れ出る恐れがあった為、現場の運転員が止めた可能性が高い。しかし、東京電力は、原子炉爆発の原因はあくまで津波による非常用電源の喪失としたい為に、この事実を認めておらず、運転マニュアルなども全て黒塗りの状態でしか公表していない。

 川内氏は、この事実を検証する為に、2013年3月13日と28日の2度にわたり、高線量の1号機内部を現場視察し、ビデオを撮影した。1度目は、同行した東京電力の社員にビデオ撮影を任せたが映像には何も映っておらず、2度目は川内氏自身がビデオカメラを購入し撮影したという。川内氏は、この視察で11ミリシーベルト(眼球部分は、60ミリシーベルト)の被曝をした。

 講演では、この時に撮影した映像も上映された。原子炉建屋は5階建であり、問題となった非常用復水器(IC)などの配管が集中するのは4階であるが、この部分の損傷はかなり激しい。また、4階と5階の間には、大口の搬入口があり、事故当時は1.5トンの鉄板で閉じられていたが、それが吹き飛んで行方不明となっている。このことから、4階部分の配管が地震の揺れで破断し、そこから水素ガスが発生し大爆発をおこしたとの見解を川内氏は示した。

▲4階と5階の間の搬入口の蓋が吹き飛んでいると説明する川内氏

 ちなみに、福島第一原発の2号機~3号機に関しては、未だに放射線量が高すぎて、人間が立ち入ることすらできず、事故原因の究明すら不可能の状況である。

 よって、津波対策さえ行えば原発を再稼働していいということには全くならない。地震の揺れが原因で、原子炉建屋が爆発したということは、日本全国の原発も同様の爆発事故に陥る可能性が高く、これ以上、再稼働させてはならいというのは当然の結論である。

鹿児島県川内原発は、地震の想定が過小評価、火山対策・避難計画も不十分

 川内氏は、全国で最初に再稼働することが計画されている鹿児島県川内原発にも触れ、地震の想定が過小評価されていると指摘する。

 その根拠として、川内原発の地震動評価の為に用いている、1997年に発生した鹿児島県北西部地震の地震モーメント「9.0×10の17乗Nm」は、気象庁などのデータ「「2.17×10の18乗Nm」と比較して、半分以下の規模である点をあげた。島崎原子力規制委員会委員長代理から九州電力に対しこの指摘が出ており、本来であれば、これを無視したまま再稼働を強行できる状況ではない。

 また、川内原発がある錦江湾自体が、約2万年前にできた噴火口の跡であり、地下にはマグマがたまっている。周囲に複数ある火山の火砕流や火山灰が到達する可能性も否定できないが、これらの対策は全くとられていない。

 くわえて、アメリカでさえ、電力会社による綿密な住民の避難計画が作成されないと、原発の運転が許可されない点を指摘し、避難計画さえ不十分なまま、原発が再稼働されるようなことがあってはならない。

 川内氏は、講演の最後を「アインシュタインでさえ、放射能(核)は人間の手に負えないものとして、晩年は自己批判をした。人類史上、最高の天才であるアインシュタインが手に負えないものを、普通に東大を出ただけの人達の手に負えるはずは絶対にない。我々は、放射能(核)というものに謙虚さを持たなければならない。」と締めくくった。

■H26.6.29講演資料(PowerPoint)

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「原子力ムラの常套手段は「大事なことは、これから」 ~川内博史氏 麻生財務相の選挙区筑豊で安倍政権の原発政策を徹底批判」への2件のフィードバック

  1. @yayakosi045さん(ツイッターのご意見より) より:

    日本は一億総玉砕と書いた国。本当の敵は日本政府

  2. @Kouno_Minatoさん(ツイッターのご意見より) より:

    川内博史氏「新規制基準で必要とされているものは、非常用電源を確保する為の『電源車』、外部から冷却水を組み上げる為の『ポンプ』、原子炉建屋に水素ガスが充満した時に穴を開ける『電動ドリル』のたった3点のみ。」

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