「エネルギー基本計画、狙いは東電救済」 ~「原発のコストと日本のエネルギー政策」大島堅一氏 講演 2014.5.31

記事公開日:2014.5.31取材地: テキスト 動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 「再生可能エネルギーこそ『純国産』であり、温室効果ガスも出ないのに、エネルギー基本計画は、そこに一切触れていない」──。

 2014年5月31日、神戸市中央区の兵庫県保険医協会で行われた学習会「原発のコストと日本のエネルギー政策」で、原発のコスト研究で知られる大島堅一氏(立命館大学教授)が登壇。先頃、閣議決定された、原発再稼働を進める方針が明記された「エネルギー基本計画」の問題点をあぶり出した。

 「狙いは東京電力の救済。それをあの手この手で、外から見えにくくしている印象だ」。冒頭で、こう強調した大島氏は、基本計画が、恣意的な記述で原発優位性を無理にアピールしている点を厳しく批判。基本計画が軽視する再生可能エネルギーについては、「今後の技術革新と普及を背景に、太陽光発電や風力発電は、安定性に優れた低廉なエネルギーインフラになる」との見通しを示した。

記事目次

■ハイライト

  • 講演 大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)

 「福島原発事故が起こったあとに、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会や、内閣官房国家戦略室エネルギー・環境会議コスト等検証委員会で委員を務めた」と、司会者によるプロフィール紹介を受けてマイクを握った大島氏は、まず、「私は主に、コストの観点から原発問題を論じてきた」と語り、「今日は、安倍政権がこの4月に閣議決定した『エネルギー基本計画』を、いかなる視点から評価すればいいかなどを考える」と述べた。

 「日本のエネルギー政策の方向づけは、エネルギー政策基本法を土台に持つ、エネルギー基本計画に基づいて行われる」と言葉を重ねた大島氏は、「計画は3年ごとに見直されるが、3.11後の民主党政権時代に特徴的だったのは、それまでの経済産業省担当から独立させて、内閣官房国家戦略室エネルギー・環境会議が受け持つようにしたこと」と振り返る。

 そこには、「経産省に任せていては、脱原発の精神が宿った計画は作れない」という、当時の民主党政権の判断があり、2012年9月には、原発稼働ゼロ目標などを柱とする「革新的エネルギー・環境戦略」が取りまとめられている。

政権交代で、エネルギー・環境会議の努力は水泡に

 大島氏が委員だった、コスト等検証委員会では、「それまで安価だと言われ続けてきた原発のコストが、実はそうではないことが検証された」という。だが、2012年12月に自民党政権が復活するや否や、エネルギー政策決定の場は、経産省とその外局の資源エネルギー庁に戻された。「これにより、原発に対して、賛成、反対、中立の立場の有識者が人数の点ではバランスよく配分されたが、日本のエネルギー計画を議論する場が消えることとなった」。

 そして、「新しい基本計画では、原子力エネルギーの位置づけが見直されているが、(原発推進の)安倍政権をもってしても、エネルギー構成を具体的に示すことはできていない」と指摘した。

 「この事実が物語るのは、日本中に、それだけ反原発を求める声が多いということだ」と強調した大島氏は、その上で、「日本に現存する原発の老朽化が進む以上、原発の建て替えが実施されない限り、日本のエネルギー供給の原発依存度は低下せざるを得ない」。

 基本計画では、原発を「純国産エネルギー」に位置づけているが、大島氏は「原発推進派は、使用済み燃料からプルトニウムを国内技術で取り出して、それをリサイクルに回すことを『純国産』と表現しているのだろうが、そういったリサイクルの実現は夢である。国は六ヶ所村の再処理工場を動かそうとしているが、あの事業に採算性はゼロ。高速増殖炉もんじゅは止まったままだ」と述べた。

「嘘で国民を騙すな!」

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