抗議集会というより、応援集会 ~辺野古埋め立て申請不承認を求める県民行動「知事は政府に屈することなく不承認を!」 2013.12.25

記事公開日:2013.12.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ 阿部玲/奥松)

 「辺野古の埋め立て申請が通ってしまったら、このままずっと米軍基地があることになる」──。

 2013年12月25日(水)12時過ぎより、沖縄県那覇市の県庁周辺で、県民行動「知事は政府に屈することなく不承認を!」が行われた。同日午後、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請をめぐり、仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)沖縄県知事が、安倍首相と会談することを受けて、県議会4会派により呼びかけられた。約1500人(主催者発表)の参加者たちは、人間の鎖となって県庁を取り囲んだ。

■全編動画

  • 日時 2013年12月25日(水)12:15~12:45
  • 場所 県庁周辺及び県民広場(沖縄県那覇市)

知事が拒否できる条件は揃っている

 沖縄県庁前の県民広場には、予定の12時前から続々と人が集まり、主催者側は、団体参加者や個人参加者ごとにレーンを分け、整理にあたった。当日はクリスマスということもあり、サンタクロースの姿をした外国人の男性は、「クリスマスのメッセージは平和。そのために、この格好で来た」と言葉は少なめながらも、日本語で語った。

 「抗議集会というより、応援集会」という声も聞かれた。インタビューに応じた男性参加者は、「公有水面埋立法が定める国土利用上、環境保全上の重要な要件として、大浦湾の海域はもっとも厳しい『ランク1』に、知事自身が指定している。エルキャットと呼ばれる大型ゴムボートが大浦湾を走り回ることになるが、環境アセスメントも何も行われていない。知事は拒否できる条件が揃っており、はっきりとNOを言えばよい。沖縄振興の予算が付くことと、埋め立て問題はまったく別問題。国がなんと言おうと、われわれが知事を守る」と、力強く語った。

 参加者たちは手に手に、「仲井眞知事は公約を守り、辺野古埋め立てに不承認を!」「子孫に誇れる英断。辺野古埋立て不承認を!」といった横断幕を掲げた。「安倍に負けるな 知事がんばって!275名 あむじゃれの声」というものもあった。「あむじゃれ」とは沖縄の古い言葉で「奥さん」という意味だという。

武器も基地もいらない。猿芝居は許さない

 スピーチエリアでは、地元沖縄選出の糸数慶子参議院議員や、共産党の仁比聡平参議院議員の姿も見られた。統一連(安保廃棄・くらしと民主主義を守る沖縄県 統一行動連絡会議)の新垣繁信代表幹事は、「海も空も、県民のもの。戦争をしようとする日本政府とアメリカに渡してはいけない」と訴えた。ある一般参加者の女性は、「先日亡くなったカラシニコフ氏が『(自らが設計した自動小銃AK47のせいで)人々が死んでいる原因は、政治家にある』と生前に言ったそうだが、そういうものがあること自体が悪い。すべての武器も、基地もいけない。原発もあるだけで害がある。(推進者の)猿芝居は許さない」と憤りの声を上げた。

 あいにくの雨に見舞われ、当日の気温は14度。「内地からすれば高く思うかもしれないが、風があるので体感温度は低く、沖縄といえども寒い」と、レポーターは伝えた。12時30分と12時35分、人間の鎖で県庁を取り囲むために、参加者たちは2回手をつないだ。「不承認」「屈しない」という赤いプラカードを1分間、市庁舎に向けた。その後、今度は外側に向けてアピールをした。「屈しない」という意思表示のため、である。

 時間が経つにつれ雨足は強まり、参加者は傘を差しながら、あるいは雨に打たれながら、「知事は公約を守れ」「新基地建設を許さんぞ」「県民を裏切るな」など、力強いシュプレヒコールを上げた。知事の応援に来たという女性は、「私は戦争がなくなればいいと思っている。辺野古の埋め立ての申請が通ってしまったら、このままずっと、沖縄に米軍基地があることになる。そうじゃない世界を、みんなで作っていきたいと思って、今日はここに来た。クリスマスなので、みんなで平和を祈りたい」と、カメラに向かって思いを伝えた。

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