「来年が、憲法最大の危機だ」 ~「輝け憲法」国分寺9条の会講演会 イラク派兵差止訴訟弁護団事務局長 川口創さん来る! 2013.9.29

記事公開日:2013.9.29取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

特集 憲法改正

 「内閣法制局長官の首をすげ替えた安倍首相。まさに暴挙だ」──。

 2013年9月29日、東京・国分寺市の本多公民館ホールで「『輝け憲法』国分寺9条の会講演会・イラク派兵差止訴訟弁護団事務局長・川口創さん来る!」が開催された。「明日の自由を守る若手弁護士の会」を立ち上げた黒澤いつき氏が、「権力は必ず暴走する。それを防ぐのが憲法」と語り、2008年に「航空自衛隊のイラク派兵は違憲」という判決を勝ち取った川口創弁護士は、集団的自衛権行使を可能とする「国家安全保障基本法案」などについて講演した。

記事目次

■ハイライト

  • 黒澤いつき氏(明日の自由を守る若手弁護士の会 共同代表)「自民党改憲案で世の中どうなる?」
  • 川口創氏(元イラク派兵差止訴訟弁護団 事務局長)「イラク戦争と9条 イラク派兵差止判決の意義」

自民党の改憲草案の核心は、立憲主義という考え方を捨て去ること

 黒澤いつき氏は、近代民主主義国家の土台となる立憲主義について、「人は生まれながらにして持っている自由、平等を守り続けるために、必要に駆られて国家を作った。この国家権力に、すべての政治を丸投げして強大にすると、権力は必ず暴走する。この歴史に反省して、国民が権力をコントロールできるシステムが必要である。何のために国家を作ったのか、国民がどのような自由をあらかじめ持っているのかを明記して(憲法)、権力からの制約を禁じるものだ。権力がなす事ができるのは、これとこれとこれだけ、と制定することで、権力の暴走を防ごうという考え方だ」と説明した。

 続けて、憲法と自民党改憲草案の違いについて、まず前文を紹介して「現行憲法は、すべての段落で『日本国民は』という言葉で始まっている。憲法とは、私たち国民が権力に対して突きつけているもの、という考えがよくわかる。立憲主義という考えに立っている憲法だからこそ、こういう書き方になっている」と述べ、「これに対して、自民党の改憲草案の前文は『日本国は』で始まる。強調されているのが、話を尊ぶ国民、自由と規律を重んじる国民、良き伝統を子孫に承継する国民。こういう日本固有の伝統文化を継承した国民こそが日本人である、という思想。国家が国民に対して、国民とはどうあるべきか、どういう国民に育ってほしいかということが書かれている」と比較した。「これでは、憲法を制定する目的が、国民個々人の幸せではなくて、国家の繁栄となる。前文を読んだだけで、自民党が改憲で目指す国家がどのような国家であるか、まざまざと見えてくる」。

個人の尊重より、同質性が重視される

 国民のあり方について、黒澤氏は現行憲法と改正草案を13条から比較して、「現行憲法は『すべて国民は個人として尊重される』という言葉で始まる。このシンプルな一文は『個人の尊重』がキーワード。ところが改憲草案では『すべて国民は人として尊重される』と、個人の『個』が取れて、とてつもなく大きな変革になっている。これにより、国民は一人ひとりが違った性格、思想、趣味、宗教を持った存在として扱われるのではなく、包括的な『人』というものに組み入れられる。個々人の違いではなく、日本人としての同質性が重要だ、という思想である」と指摘。現行憲法の基本精神が切り崩されてしまうことに、危機感を表した。

(…会員ページにつづく)

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「「来年が、憲法最大の危機だ」 ~「輝け憲法」国分寺9条の会講演会 イラク派兵差止訴訟弁護団事務局長 川口創さん来る!」への1件のフィードバック

  1. @toshipiko1さん(ツイッターのご意見より) より:

    天賦人権説→社会契約論→立憲主義。人は生まれながらに、自由や平等であり、幸福を追求する権利をもつ。これを守るために、一定のルールをつくり、社会や国家をつくる。国家権力が暴走しないように憲法をつくる。

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