「憲法9条京都の会」結成5周年記念 講演・ライブ&全体会 2013.9.21

記事公開日:2013.9.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「第2次安倍内閣では、これまで願望に過ぎなかった憲法9条の改悪が、具体的な課題となっている」──。

 2013年9月21日、京都市下京区のシルクホールで「『憲法9条京都の会』結成5周年記念 講演・ライブ&全体会」が行われた。立命館大学名誉教授の安斎育郎氏、2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英氏のスピーチののち、9条の会事務局長の小森陽一東大教授が講演を行った。

■ハイライト

  • 賛同団体等からのアピール
  • ライブ 野田淳子氏(シンガーソングライター)
  • 代表世話人 スピーチ
    安斎育郎氏(安斎科学・平和研究所所長、立命館大学名誉教授)
    益川敏英氏(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長、京都産業大学益川塾塾頭、京都大学名誉教授、ノーベル賞物理学者)
  • 講演 小森陽一氏(九条の会事務局長、東京大学教授)「憲法のあらたな動きとこれに対決する私たち」
  • 活動報告・提案 小笠原伸児氏(憲法九条京都の会事務局長、弁護士)

「さまざまな観点から見て落第」日本の原子力政策の問題点

 はじめに、各賛同団体によるアピールの中で、憲法改悪に反対する11・3憲法集会や憲法9条京都の会によるラジオ番組『けんぽうサロン京都』の告知がなされた。また、大正時代の末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人、金子みすゞの詩に曲をあてて歌う、シンガーソングライターの野田淳子氏がライブを行った。

 続いて、東大工学部原子力工学科を卒業し、「原子力技術者の1期生」と自ら語る、安斎育郎氏のスピーチが行われた。原子力を学ぶために大学院に進んだものの、原子力政策に危ういものを感じて、科学者としての社会的責任について考え、批判的立場に転じるに至った経緯を語った安斎氏は、「原発を地域に導入することによって、地域の内発的力が損なわれていないか。軍事利用に歯止めがかかっているのか。安全性に対する裏付けがあるか。このような観点から、日本の原子力政策は落第である」と断じ、「原子力を専門とする科学者として、(福島の)事故を防ぎきれなかったことは大変申し訳ない」と述べた。

 また、原子力政策と憲法の関係性については、憲法9条の改悪の延長線上に存在する核兵器開発への懸念を示し、戦後のアメリカの対日政策や、原発に反対する人々を徹底的に排除し、安全神話をばら撒いてきた原子力ムラの存在を問題視し、「あれだけの事故を起したにもかかわらず、ずっと続いてきた原子力ムラの体質を抜本的に変えようともせずに、再稼働しようとしている。安倍首相は『福島第一原発はアンダーコントロールである』と言っているが、まったくコントロールできていないのが現状。私たちは、現場で何が起こっているのかを見据えながら、9条の精神が重要であることを訴えなければいけない」と述べた。

憲法9条を巡る日本とアメリカの歴史的背景

 益川敏英氏は、憲法第96条を改正して発議要件を緩和しようとする安倍政権を危惧し、「これまで、憲法9条を変えるということは、あくまで一部の人間の願望に過ぎなかった。だが、現状では具体的な課題として浮上している。わけのわからないうちに、憲法が変わっていたという可能性もある。われわれは、より腰の据わった運動を展開し、多くの人にこの問題を伝えなければいけない。今は非常に重要な時期」と話した。

 「憲法のあらたな動きとこれに対決する私たち」というテーマで講演を行った小森陽一氏は、アメリカの強い圧力の下、原発輸出を推進し、集団的自衛権の行使容認を目指す安倍内閣に懸念を示し、「ここからが正念場である。私たちは、改めて日本がどういった状況にあるのかを理解し、日本国憲法がもっとも危険な状態にある、という認識から始める必要がある」と述べた。その上で、日米安保条約により、日本がアメリカの軍事体制に組み込まれていった歴史的背景を解説した。続けて、「憲法9条を、なし崩しにしようとしているのが、現在の安倍政権である」と指摘し、市民一人ひとりが危機感を持って、自民党が何をやろうとしているのかを知り、見極める必要性を訴えた。

戦争する国は、勝つことを最優先する

 最後に活動報告と提案をした小笠原伸児氏は、「戦争する国は、戦争に勝つことを最優先する国である。それは、国民が権利も財産も奪われ、人を殺すことを讃え、人に殺されることを諦めさせる社会である。私たちは、そういった社会の中では決して暮らしたくない。9条を真っ向から否定する集団的自衛権に断固として反対し、皆さんと手を繋ぎ合って行動していきたい」と語った。

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