「公聴会を開催して、もっと被災者の声を聞け!」 ~被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)の説明会 2013.9.11

記事公開日:2013.9.11取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「被災当事者の意見を聞く機会が少なすぎる。被災者に寄り添う姿勢が見えない。閣議決定のためにやっているようで、拙速きわまりない」と、佐藤和良氏(いわき市議)は批判した──。

 2013年9月11日(水)15時より、福島市の福島県文化センターで、復興庁による「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)の説明会」が行われた。2012年6月、超党派によって議員立法で成立した、原発事故子ども・被災者支援法の策定について、政府は1年以上たって基本方針(案)を公表するに至った。それに関する説明会を、9月11日(福島市)と13日(東京都江東区)に開催。被災者からは、国に対して厳しい意見が相次いだ。

■Ustream録画
・1/4(14:45~ 19分間)

・2/4(15:05~ 2時間47分)

・3/4(17:57~ 5分間)

・4/4(18:05~ 2分間)

  • 議題
    被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)について
    その他
  • 日時 2013年9月11日(水)15:00~
  • 場所 福島県文化センター(福島県福島市)
  • 主催 復興庁詳細

 浜田昌良復興副大臣の開会挨拶ののち、復興庁企画官より、子ども・被災者支援法基本方針(案)の概略説明がなされた。「この基本方針のポイントは、浜通りと中通りの支援対象地域以外に、施策に応じて、近隣県でも準支援対象地域を設置することである。また、被災者支援施策パッケージ(平成25年3月15日発表)以外に、福島近隣県を含め、外部被曝の把握、自然体験活動・交流活動事業の支援、福島県から県外避難者への情報提供・相談対応など、民間団体を活用した施策の拡充などを予定している」。

 さらに、借上住宅の供与期間を平成27年3月末まで延長。公営住宅への入居の円滑化。学校給食の放射線検査実施を、9県から11県(青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・新潟県・長野県)へ拡大すること。子育てをしながら求職活動をしやすいマザーズハローワークの充実や、避難者の多い地域での就職支援の強化など、さまざまな施策例を説明した。また、すでに1000件以上が寄せられているという、パブリックコメントの募集締め切りを、9月13日から9月23日まで延長することも補足した。

年間1ミリシーベルト以上を支援対象地域にするべき

 質疑応答になり、いわき市の市議会議員、佐藤和良氏は「15万人の避難者がいるにもかかわらず、社会的責任を持った施策が行なわれていない。また、いわき市には復興予算もついていない。この方針案では、住民の分断をもたらす。福島県全域と年間被曝線量1ミリシーベルト以上の地域は、支援対象地域に指定し、方針案を改めて作り直すべきだ」と主張した。

 続けて、郡山市で被災し、静岡県富士宮市に自主避難している住民から、「根本匠復興大臣の『年間100ミリシーベルト以下での被曝では健康被害は少ない』という、8月30日の発言には驚いた。原発事故発災前の国の基準、年間1ミリシーベルトとの違いは、どう考えているのか」と質問が出た。

 それらの質問に対して復興庁企画官は、「本来、各人を対象に施策すべきだが、法律では地域での区分けを求めている。本法律は、不安を払拭することが目的でもあるので、有識者から意見を聞いて策定した」と述べるに留まった。

 福島県議会議員の石原信市郎氏が、「政府が『不安感は計量的に表すことはできない』と言って、こういう結論を出すのは乱暴だ。なぜ、こういう方針が出たのか、プロセスを教えてほしい」と質問した。

 復興庁企画官は「年間20ミリシーベルトまでの避難指示区域を念頭に、支援対象区域を策定した。有識者との多くの議論の中で、住民の意識調査なども参考に、いろいろなニーズを抽出しながら方針案が決められた」と答えた。

 佐藤氏は「健康被害を未然に防止する、という理念からいうと、今回の支援地域指定はふさわしくない。かつ、被災当事者の意見を聞く機会が少なすぎ、被災者に寄り添う姿勢が見えない。閣議決定のためにやっているようで、拙速きわまりない」と批判した。

公聴会を開催し、被災者の声をもっと聞け!

 住民からは「この1回限りの説明会ではなく、公聴会などをもっと開くべきだ」「宮城県丸森町が、支援対象地域から外れた理由は」などの質問が発せられた。復興庁企画官は「宮城県丸森町のホットスポットは、山林という認識で、支援対象地域には入らなかった」と回答。それに対して自主避難している丸森町の住民が、「山林だけではない。住民が住んでいる」と異議を唱えた。

 さらに、別の住民は「説明会を平日の午後に開催しても、住民は参加できない。有識者との会議は40数回開いて、なぜ、住民参加の公聴会は行わないのか。住民のための会合なのに、なぜ、会場にたくさん警備員がいるのか。もっと、住民の不安を直接聞きとり、施策を立てるべきだ」と訴えた。他の参加者からも「小児甲状腺がんは、日々増えている。それに対するケアはどうなっているのか。ヨウ素剤の備蓄も必要」という意見が出た。 

 それに対して、復興庁企画官は「パブリックコメントを収集している最中なので、それらの意見も踏まえて検討していきたい。甲状腺がんは、今のところ原発事故起因とは断定しにくい。しかし、福島県の県民健康管理調査は続けていく。借上住宅の供与期限は平成27年3月末まで延長するが、それ以降も対応を考える」などと答えた。

公聴会の要求を無視する副大臣に、会場は騒然

 住民から「有識者会議の議事録や名簿はないのか。基本方針は何に基づいて決めたのか」と問われると、復興庁企画官は「議事録はない。有識者については非公開。基本方針は、関係省庁会議で調整を行なってきた。」などと回答した。

 終了予定時刻が近づき、復興庁統括官が「被災者の不安を軽減し、その要望を踏まえて支援する基本方針を立てた。できる限り広範囲に手当てができるように策定したつもりだ」と述べた。浜田副大臣は「公聴会は手続き上、間に合わなかった。このあとの東京での説明会やパブコメなどを参考にして、誠意を持って答えたい」と挨拶し、納得できない住民たちが騒然とする中で閉会した。

 終了後、復興庁企画官へのぶら下がりインタビューを収録。住民たちが「線量基準を明確に、と求めた被災者の要望を無視している」と迫ると、復興庁企画官は「線量基準をひとつの数字に決められないため、条文上で『一定の線量』と表現している」とし、「法の枠組み内でやっている」と強調した。住民たちは「そもそも1ミリシーベルトだった基準を、国と加害企業とが一方的に20ミリシーベルトに引き上げて押し付けている。勝手に法律を変えておいて、法に従えと言うのは、住民を愚弄している」と憤った。

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