福島県鮫川村で8月19日から本格稼働中の、8000ベクレルを超える高濃度の放射性廃棄物焼却施設で29日、「大きな衝撃音」をともなう事故が発生し、緊急停止した。
事故が起こったのは午後2時30分過ぎで、施設から1.5km離れた所に住む女性によれば「鉄砲で猪を撃った時のような、ドスンという音」したという。村は停止事故の原因について、焼却で発生した主灰をセメント固形化する際の、「焼却灰を運ぶベルトコンベアの覆いが3メートルにわたって破断したため」としている。作業員にけが人はないとのこと。
事故発生後、村はすぐさま職員2名を現地に派遣し、午後4時と6時の2回、付近の空間線量を測定。IWJの取材に対し村は「線量に変化はなく、放射性物質が周囲に拡散した形跡はない。焼却炉自体にも何ら損傷はない」と回答した。
付近の住民からは、「2度にわたって大きな爆発音と地響きがした」という証言もあがっている。また、「(施設を受注した)日立造船が『消火』作業にあたった」との証言もあがっているが、村は「発火の形跡はみられない」と否定している。
焼却施設については、建設が地元住民にも秘密裡に行われていたことから、いまだに白紙撤回を求める反対の声が根強い。村や、事業主体である環境省は稼働に際し「安全性を確認した」と強調しているだけに、今回の事故で構造的な欠陥を追及する動きや、さらなる安全対策を求める声が強まりそうだ。