「マスコミ完全非公開の『非民主的』な場で、焼却炉建設工事が再開されようとしている―。」福島県鮫川村が環境省と進めている、高濃度放射性物質の焼却炉建設について、3月12日(火)11時、事業の白紙撤回を求める住民計107名の署名が、鮫川副村長に提出された。大樂勝弘村長は、議会出席のため、署名受け取りは欠席した。
(IWJ・佐々木隼也)
「マスコミ完全非公開の『非民主的』な場で、焼却炉建設工事が再開されようとしている―。」福島県鮫川村が環境省と進めている、高濃度放射性物質の焼却炉建設について、3月12日(火)11時、事業の白紙撤回を求める住民計107名の署名が、鮫川副村長に提出された。大樂勝弘村長は、議会出席のため、署名受け取りは欠席した。
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※記者へのぶら下がりは40分位~
2月23日にマスコミ完全非公開で行われた、青生野地区(償却施設の立地地域)の住民説明会では、ほとんどの住民が反対の立場を示し、環境省、鮫川村村長共に、「住民の理解が得られるまでは稼働しない」との意向を表明していた。しかし、IWJが3月5日に行った村長へのインタビュー(「工事再開は『その場の雰囲気』で判断」 福島県鮫川村村長、高濃度放射性物質焼却炉建設は近隣自治体の同意は不要との認識示す ~大樂勝弘鮫川村長インタビュー第二弾 2013.3.5)では、「3月14日に青生野地区で、再度マスコミ完全非公開の説明会を開き、『その場の雰囲気』で決める」と、3月中の工事再開に前のめりの姿勢を示した。
こうした村側の動きに対し、反対派の住民が、説明会の中止と工事の白紙撤回を求める署名を提出。「本当に住民の納得が得たいのであれば、まず計画を白紙に戻し、住民との話し合いをするところから始めるのが筋ではないか」と、村の姿勢を批判し、説明会が強行される場合は出席をボイコットするとした。
署名提出後に行われた記者のぶら下がりで、副村長は説明会の開催について「もう明後日のことなので、今さら中止というのは難しい。進めざるをえない」と語った。青生野地区の住民説明会は予定通り、3月14日夕方から行われる。
冒頭、反対派住民は、副村長に対し要望書を読み上げた。
鮫川村村長 大樂勝弘さま
3月14日、青生野地区住民説明会の中止を求める、焼却炉建設の白紙撤回を求める署名
これは、何のための、誰のための、説明会なのでしょうか。
前回、2月23日、説明会で私たちは、焼却炉建設に反対の立場を明確にしました。
村長は私たちを説得するつもりで、再度の説明会を予定されていますが、これには応じ兼ねます。
というのも、これはすでに青生野地区だけの問題でないのは明らかであり、そこでいくら住民限定の説明会を開いても、意味がなさないと考えるからです。
そもそもこの問題は、焼却炉建設を村長が独断専行で進め、説明会も開かず、拙速で秘密裏に始めた工事が、地元・近隣住民から猛反対を受けたところに始まっています。
ことの経緯を考えれば、上からの目線の説明会で、説得するのは無理なのは自明です。しかも、その説明会は、参加者を制限し、マスコミさえ排除するような、非民主的な場で開かれたのでした。
村長が、心底から住民の納得を求めるなら、まずこの計画を白紙に戻し、住民との話し合いをするところから始めるのが、筋ではないでしょうか。
私たちは、このような考え方に立ち、次の要件を村長に求めます。
1,3月14日、青生野地区住民説明会の中止を求めます。それでも強行されるなら、出席を拒否します。
2,従来からの主張である、焼却炉施設の建設について、白紙撤回するように求めます。
2013年3月12日
青生野地区住民 2名
他107名
要望書読み上げの後、住民らは副村長に不安や疑問を投げかけた。安全性への質問に対し、副村長は「村側としても、環境省の説明を信用しないことには前に進まない」との回答を繰り返した。
鮫川村は線量が下がってきたのに、なぜまた放射性物質をバラ撒く(恐れのある)ものを作るのか?という疑問に対し、副村長は「いくら鮫川は線量が低いと言っても、『福島県産』というだけで、風評被害が出ている現状。復興のためには、少しでも除染をして、風評被害を払拭しなければならない」と、除染の必要性を強調した。
住民との面会後に行われた、ぶら下がり取材で記者から「青生野地区と村側の考えが乖離している。ひとつの方法論として、一度白紙撤回して、あらためて事業を考えなおす、ということもあっても良いのでは?」「『除染は賛成だが、その方法として焼却はないのではないか』という声がある。なぜ除染と焼却がセットなのか?」という質問があがったが、副村長は「答える立場にない」と、明確な回答を避けた。