2013年8月24日(土)13時半より、神戸市北長狭通の兵庫県私学会館で「原発事故こども被災者支援法の具体化を求める神戸集会」が行われた。法律が成立したものの、いまだ理念法に留まっている原発事故子ども・被災者支援法について、「具体化させるために何ができるのか」を主題とした講演を、弁護士の大城聡氏が行った。
※記事タイトルは、主催者発表に準じています。
(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)
2013年8月24日(土)13時半より、神戸市北長狭通の兵庫県私学会館で「原発事故こども被災者支援法の具体化を求める神戸集会」が行われた。法律が成立したものの、いまだ理念法に留まっている原発事故子ども・被災者支援法について、「具体化させるために何ができるのか」を主題とした講演を、弁護士の大城聡氏が行った。
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原発事故子ども・被災者支援法が成立して1年以上経過しながら、いまだに基本方針が策定されないまま放置されているのは違法だとして、福島県内外の被災者や避難者が原告となり、8月22日、国を相手に訴訟を起こした。これについて、集会の主催者、高橋秀典氏は「国民の7割が脱原発を望んでいるのに、政府は原発をさらに推進する姿勢を見せており、現在の政治は民意と大きくずれている。この、現状をなんとか変えたい。当事者の声を反映させて、何をすべきか、皆で考えていきたい」と述べた。
講演が始まり、大城聡氏は「原発事故子ども・被災者支援法は、放射能の被害について、科学的な知見が十分でないことを認め、解明されていないことを前提にした、予防原則に立ったものである。被災者一人ひとりの生活を考え、居住すること、避難すること、帰還することのいずれも認め、『被曝を避ける権利』を保証するものである。放射能が人体に影響がある以上、被災者には健康についての不安がある。生涯にわたって健康診断を受け、医療費の減免を受けられることが必要だ」と述べた。
また、「昨年12月の政権交代の影響もあり、原発事故子ども・被災者支援法の今年度予算は、ほとんどない。今年の3月、政府が打ち出した『被災者支援施策パッケージ』は、母子避難や自主避難についての権利に言及した点で、はじめの一歩と言えるかもしれないが、原発事故の放射能問題に正面から取り組んだものとは言えず、きわめて不十分だ」とした。
現在の避難状況については、「避難した場所、母子避難か一家での避難かなど、より多様化、個別化している。さらに、貧困や高齢化など、これまでにあった問題がより深刻化した」と懸念を表明。その上で、「避難基準となる被曝線量の上限は、原発事故後に政府が定めた年間20ミリシーベルトではなく、事故前の一般人の被曝限度であり、国際的にも認められている年間1ミリシーベルトで考えるべきである」と主張した。
さらに、「福島県内には会津地域など、放射線量の比較的低い地域もあるが、原発事故子ども・被災者支援法は、混乱を避けるために福島県全域に適応するべきだ。また、事故初期の放射性プルームの影響で、ヨウ素被曝が懸念される地域も考慮するなど、柔軟性を持たせたることも必要だ思う」と述べた。
最後に、大城氏は「政府が基本方針を策定した後に、パブリックコメントなどで多くの意見を寄せて、被災者の声を法律に反映させることが大事である」と強調した。