2013年4月28日(日)13時30分より、兵庫県神戸市の神戸市勤労会館にて「東シナ海を平和の海に!尖閣問題講演会」が行われた。領土問題に詳しい岡田充氏と前田朗氏を講師に迎えて、それぞれの視点から、尖閣諸島をめぐる領土問題への対応の糸口を探った。
(IWJテキストスタッフ・阿部玲)
2013年4月28日(日)13時30分より、兵庫県神戸市の神戸市勤労会館にて「東シナ海を平和の海に!尖閣問題講演会」が行われた。領土問題に詳しい岡田充氏と前田朗氏を講師に迎えて、それぞれの視点から、尖閣諸島をめぐる領土問題への対応の糸口を探った。
■ハイライト
岡田充(たかし)氏は、昨年11月に『尖閣諸島問題~領土ナショナリズムの魔力』を出版、現在は共同通信論説委員、桜美林大学講師を務める。「領土問題になると、われわれはつい『取られてはいけない』と反射神経で考えてしまう。いったい歴史的にどういう経緯で日本領となったのか、中国、台湾はどういうクレームをつけているのか、を知らぬまま、我が国のものであると刷り込まれていて、われわれをがんじがらめにする」と、領土ナショナリズムの魔力を説明した。
昨年4月、石原慎太郎氏(日本維新の会共同代表)が、特に紛争にはなっていなかった尖閣問題を急に取り上げた理由について、岡田氏は「当時は、大飯原発の再稼働が大きな問題になっていた。また、野田首相は3党合意による消費税を目指していた。2つの大きいテーマを押しのけて、国民を統合するために、敵対的なナショナリズムを煽るのが最大の目的だった」と解釈する。「軍事大国の中国と、何をしでかすかわからない北朝鮮を敵に見立て、日本を守るという気概がまったくない平和ボケの国民の、国防意識を高める。その結果、第3極のひとつに自分を踊り出させる」という、石原氏の政治的野望があったとし、「1年経って、その思惑は、国内ではある意味成功している」と述べた。
しかし、国際的に見れば逆であり、岡田氏は「今の日本の新聞は、中国包囲網という言葉で説明しようとしている。周辺諸国と戦略的に仲良くし、中国を孤立させ、尖閣諸島問題に片を付ける、というものだ。しかし、アメリカは安倍首相の東京裁判史観を許さない立場を表明し、韓国外相は靖国参拝に抗議して訪日を中止した。ニューヨークタイムズも、4月24日の社説で『日本の国家主義は無用』と非難。むしろ日本は、東アジアで孤立している」という認識を示した。そして、「これは、ナショナリズムの無力である」と指摘し、日本人が自らの孤立を冷静に受け止めることを訴えた。
前田朗氏(東京造形大学教授)も同様に、「マスメディアが、日本政府の言うことは正しいものとして、報道をしている」とメディアの姿勢を問題視する。
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