笹川平和財団 日米交流事業主催 パネル・ディスカッション「米中関係:第2期オバマ政権への政策提言」 2013.2.19

記事公開日:2014.8.17取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

特集TPP問題

※本記事は、2013年2月24日にアップした記事を再掲したものです

 2013年2月19日(火)16時30分から、東京都港区の日本財団ビルで、「笹川平和財団 日米交流事業主催 パネル・ディスカッション『米中関係:第2期オバマ政権への政策提言』」が行われた。米国の若手専門家たちが、保守・リベラルの枠を超え、今後の米中関係・日中関係について講演を行った。

■ハイライト

  • 内容
    • 開会挨拶 茶野順子氏(笹川平和財団常務理事)
  • パネルⅠ「経済・貿易、環境・エネルギー分野における米中関係」
    • パネリスト Derek SCISSORS氏(ヘリテージ財団上級研究員)、Nat AHRENS氏(米戦略国際問題研究所(CSIS)グローバル・ガバナンス部副部長/フェロー研究員)、Melanie HART氏(アメリカ進歩センター(CAP)政策アナリスト) モデレーター Jennifer TURNER氏(ウッドロー・ウィルソン国際学術センター中国環境フォーラム・ディレクター)
  • パネルⅡ「軍事・安全保障分野における米中関係」
    • パネリスト Ely RATNER氏(新アメリカ安全保障センター(CNAS)フェロー)、Ian EASTON氏(プロジェクト2049研究所フェロー)、Oriana Skylar MASTRO氏(新アメリカ安全保障センター(CNAS)フェロー) モデレーター 加藤洋一氏(朝日新聞社編集委員)
  • 日時 2013年2月19日(火)16:30~
  • 場所 日本財団ビル(東京都港区)
  • 主催 笹川平和財団

 軍事・安全保障、経済・貿易、そしてエネルギー・環境の、3つの分野における専門家であり、中国専門家でもある各パネリストたちが、第2期オバマ政権に対して政策提言を行う、今回のシンポジウム。まず始めに、「経済・貿易およびエネルギー・環境分野における米中関係」をテーマにディスカッションが進められた。ヘリテージ財団のデレク・シザース氏は、「中国経済の拡大はストップする可能性が高い」と指摘した上で、「土地、労働、資本の生産性を高めていかなければならない」とした。また、「これらの3要素のイノベーションを、持続可能な形で続けていく場合には、競争原理が働かなければいけない」と説明し、国家主導のトップダウンシステムが、国内のイノベーションを阻害する点、経済成長のためには、財産権を地方の農家に与えるなどの改革が必要である点を解説しながら、今後、中国経済の拡大が停滞する根拠を示した。シザース氏は「中国が失速するタイミングは、近づいてきている。日米としては、今から準備をしていかなければならない」と述べた。

 ナット・アーレンス氏は、中国が台頭する一方、アメリカの衰退が叫ばれる根拠を説明した。続けて、中国企業の長期的な競争力については、国家の果たす役割が大きいが故に、多くの問題を内包していることを解説し、「中国の国営企業による海外投資が、正当な目的で行われているのか、検証が必要である」とした。その上で、日本に対しては、資本へのアクセス権を持つ中国国営企業の投資に対処するため、TPPに参加するよう訴えた。

 続いて、メラニー・ハート氏が、クリーンエネルギーについて、「これまでのところ、貿易紛争が、クリーンエネルギーの分野において発生し、上手くいっていないが、今後は、エネルギー消費大国であり、温室効果ガスの排出大国である米中が、クリーンエネルギー製品を使ってコストを下げていきたい。蔓延する米中の相互不信を、どのように払拭していくかが、非常に大きな課題である」と述べた。

 シザース氏は「アメリカの中国経済に対する認識は浅い。オバマ政権は、中国が何をしているのかを記録する、ということが必要であり、それがポストオバマにとっての大きな基盤にもなる」と述べた。

 質疑応答の中では、米中の原子力開発の協力について触れ、「日本と同じく、アメリカでは原子力の安全性についての懸念が高まっている。コストも非常に高くつく。米国内において、原子力に特化したエンジニアたちは、原子力の知見を経験できない環境にある。そこで、野心的な原子力計画を持つ中国と協力することによって、アメリカにとっては、研究開発をする実験所を得られたのである」と述べ、原子力政策については、米中が互恵関係であることを解説した。

 続いて、パネルⅡでは、『軍事・安全保障分野における米中関係』をテーマに、ディスカッションが進行した。始めに、イーライ・ラトナー氏が、米国のアジア回帰について、「アフガン戦争の撤退が進み、その替わりとして、アメリカ経済や安全保障上の利益にとって、重要な地域であるアジアへの方向性が示された」と解説した。また、それが軍事力をアジアに集中する意味を持たない点を強調した。ラトナー氏は「米中関係の安定を守ることが重要であり、敵対関係は望んでいない。総合的に考えると、アジアにおいて安全保障関係を保ち、東南アジアにおいては強化しなければならないと思っている。一方、経済的な側面も持った、多面的な政策である必要がある」と述べた。

 イアン・イーストン氏は「中国の軍事力については、パートナーと見るか、敵対者と見るか、中国観によって評価が変わってくる」と述べ、中国との戦争も、可能性としてはある、と言及した。イーストン氏は「民主主義国家への変貌を遂げた台湾と同じ道を、中国も辿ってくれることを望む。リスクヘッジとして、中国のミサイルが及ぶ可能性のあるところには、シェルターを確保しなければいけないと思っている」と述べた。続いて、オリアナ・マストロ氏は、中国の戦略的なヴィジョンに、アジアの支配権を握ろうとする意図があることを指摘し、それが、米国との緊張関係を生んでいると説明した。また、米軍の空海戦闘について、新たなコンセプトを導入しようとしている点に触れ、「中国が意図的に、エスカレーションのリスクを上昇させている状況に、どのように対応していくかが課題である」とした。

 質疑応答の中で、ラトナー氏は、アメリカのアジアにおける長期的な目標は、平和環境を構築することであるとし、「アメリカとしては、紛争をしっかり管理し、米中両国が高圧的な行動に出ないように取り組む。平和で繁栄した地域を築くことが、アメリカの外交目的である」と述べた。日中間の尖閣問題について、マストロ氏は、中国国内の外交キャンペーンには、軍事的な挑発行為、法律面での戦争展開、メディアキャンペーンの3つがある点を説明し、「中国に対して、強制的な外交は上手くいかない、ということ示すしかない。日本は、この3つの側面に対応しなければいけない。尖閣諸島の施政権は日本にある。軍的にエスカレーションする方法は避けた方が良い」と述べた。

【以下、同時通訳要約】

 開始。財団の常務理事、茶野順子氏挨拶。米国の若手専門家はほとんど中国専門を目指している、と。 ヘリテージ財団上級研究員デレク・シーサース氏「2002年、地方の債務は少なかった。2013年、地方と企業の債務は増加。投資の増加。今後の中国の成長の源泉に資本は役に立たない」

 CSISグローバル・ガバナンス部副部長ナサニエル・オーレン氏「中国は資本へのアクセスが、企業の革新的な利益をもたらした。日本はTPPに早く参加すべき。3月では遅い。日本がルールメーカーとして交渉のテーブルにつくことが大事なんです」

 米国進歩センター政策アナリスト、メラニー・ハート氏「クリーンエネルギーの分野で米中は知的財産分野で貿易紛争に発展中。温家宝の息子が経営するサイノベルという企業が米国の技術を流用」

 ウッドロー・ウィルソン国際学術センター、ジェニファー・ターナー氏「80年代から米国の環境NGOが積極的に中国に関与。クリーンエネ分野で私は米中協力に楽観的。それよりも重要なのは水問題」

 LNGの輸出について。メラニー氏「日本に輸出するかは論争中。環境団体・中間所得層への影響を心配する人達、製造業の人達が、非FTA国の日本へ何らかの制限をかけるべきと主張している。こうした声は主にエネルギー価格の高騰への懸念から。日本がTPPに入れば、DOEを通してスムーズにシェールガスの輸入にこぎつけるのでは」

 質疑応。中国には都市化や財政の余裕があるという見方について。

 シーサース氏「財政に余裕はない。中国の流動性は米国以上であり、マネーサプライを投下しても意味はない」

 質疑。原発。米国は新型の開発を進めている。中国での新造の技術は米国から流れている?

 メラニー氏「米国はシェールガス革命で原子力は、資金面や安全性リスクなどの試練を迎えた。米国の原子力研究家は中国へ行っている。中国は技術を得、米国は実験所を得る」

 質疑。産経新聞タカハタ氏。我々同盟国の米国への尊敬は、金儲けでなく学校の先生のように規範を教えるところ。中国は嘘つき。オバマは中国に国際社会のルールを教える気はあるか?

 シーサース氏「なんでこの人にマイクを渡したのか(笑)、米国は 中国に教える気は無い。もう辟易している。ただ間接的に規範を教える機会があるとすればTPP」

 続いて第2部。「軍事・安全保障分野における米中関係」。

 モデレーターは朝日新聞社編集委員・加藤洋一氏。「若きライジングスター達に来ていただきました!」

 新米国安全保障センター、エリー・ラトナー氏「米国のアジア回帰について。中国は、米国が中国へ圧力をかけるのでは、と考えているが、それは間違い。米中関係が敵対的関係にはなってはいけない、米国のアジア回帰は、多面的な政策でなければならない。安全保障に偏り過ぎたという反省がある」

 プロジェクト2049研究所フェロー、イアン・イーストン氏「中国の軍事力について。ワシントンの専門家が中国軍のどこを専門としているかで評価が別れる」

 イアン氏「中国の空軍・陸軍は心配(脅威は)ない。海軍は心配ない部分と心配な部分がある。サイバー・宇宙開発分野では非常に脅威を感じている。尖閣、台湾、想定外の要因で戦争は起こりうる。台湾が辿ったような民主化を望む」

 新米国安全保障センターフェロー、 オリアナ・マストロ氏「中国が周辺から他国の軍を排除しようとする動きに、オバマはアセットをかけようとしている。オーストラリアとの連携もそう」

 質疑。モデレーター加藤氏。米国のアジア回帰。米中関係には長期的は相互不信がある。戦略的な相互不信は悪化している?

 エリー氏「現在対話が進み、相互不信はかなり払拭できている。米中の制度的な枠組みはかなり構築できている。これがある限り、これ以上米中の緊張が高まることはない」

 質疑。中国の核軍事力について。

 イアン氏「中国が核弾頭をいくつ持っているか、厳密には誰もわからない。中国は制度の高い巡航ミサイルなど、核ミサイルと並ぶ通常兵器を保持している。核以外のこうした軍事力についても検討すべき」

 質疑。沖縄をどう考える?

 イアン氏「個人的な意見ですが、沖縄は重要!嘉手納の戦闘機のためのシェルターが必要!整備のための設備も。我々は闘い抜くという意思表示が!」

 エリー氏「アジア太平洋地域での戦力の分散化が大事。同盟国を含めてこの戦略にどう関与するか。嘉手納基地について言及があったが、一極ではなく分散化について考えるべき」

 質疑。パネリストの方々は、まるで戦争が起こるかのような話をするので恐くなった。どうしたら平和的な関与ができる?

 オリアナ氏「米ソ冷戦の時とは違うと思う。中国は革命を輸出しようともしていない。米中の協力関係は昔とは様変わりしていると思う」

 質疑。平和を維持できないのか?オバマに、日本の国有化をやめるよう迫るのか、それとも日本を後押しするのか?

 オリアナ氏「中国に対して強制的な姿勢は効果がないということを理解する必要がある。施政権は日本にある。うまくやっていると思う」

 エリー氏「安倍首相は右翼だとか言われるが、非常にリアリスティックな、中道な人だと思う。日本国民は、地域戦略として、広い視野で考えるべき」

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