自民党が裏金問題で派閥解散に追い込まれ、内閣支持率も急低下する事態が、野党にとって政権交代を狙う機会であることは間違いない。
2024年2月19日、戦争をさせない1000人委員会・立憲フォーラムが、東京都千代田区の参議院会館で開催した院内集会では、元経産官僚で政治評論家の古賀茂明氏が、こうした観点から、「天が与えた最後のチャンスに立憲勢力はどう応えるのか」と題する講演を行った。
集会には立憲民主党や社民党などの国会議員多数が参加した。今期限りの勇退を表明した菅直人元総理大臣は「こういう時は大きな流れができるから、一挙に政権交代を実現する勢いにつなげていければ」と期待を語った。
古賀氏は講演の冒頭で「基本的に、自民党の企業団体献金に頼る政治は、全体が贈収賄の構造」だと指摘。パーティー券に限らず、資金と票を提供する者によって権力を得た自民党が、彼らに利権を配分して「恩返しをする」しくみからすれば、格差拡大や弱者が救われない政治の現状は「当たり前」だと批判した。
また、古賀氏は、政治資金収支報告書に未記載の派閥からの還流分「4000万円超」を、立件の目安にするなどの、検察やマスコミの「相場観」自体を疑問視し、「裏金は1円でも違法」だと指摘した。
さらに、「政治活動費は非課税」だと言われるが、「政党と異なり、個人がもらった金は『政治活動なら非課税』とは、どこにも書いてない」と述べ、「脱税」を告発した市民グループの動きなどを紹介した。
古賀氏は、各党の政治改革案に関して、立憲民主党の案を「ダントツにいい」と評価した。その理由について、企業団体献金廃止だけでなく、「一番びっくりした」のは「個人向けも含めて、政治資金パーティーは駄目」だと言い切ったことだという。
「これは維新も言えない。維新は個人向けならいいなど、抜け道を作っている」。そう述べた古賀氏は、さらに、立憲民主党が「幹部への巨額の政策活動費の(領収書なしの)渡し切り」を、2年前から禁止していることも評価した。
しかし、政治改革法案は「(他党と妥協して)まとめる必要はない」と古賀氏は言う。その例として、2009年、政権交代前に、自ら審議官として民主党の協力を得ながら作成に携わった公務員改革法案をあげた。
法案が自民党の了承で提出にこぎつけた途端、小沢一郎議員が「自民党の手柄になるだけ。生ぬるい」とつぶして、「政権を取ってから思い切ったことをやればいい」と、「大局的判断から反対を表明した」という。
政治改革法案は次回選挙の争点となるからこそ、妥協しないことを、古賀氏は立憲民主党に求めた。
また、古賀氏は、自民党員の中に自民党支持者は67.5%しかおらず、総選挙で自民党に必ず投票する党員は54.2%しかいない、などの「衝撃的」な調査結果を披露し、次の選挙での自民票激減を予測した。
さらに、自民党の経済政策の「5つの大罪」や、安倍政権で導かれた「安い日本」、また、「能登も福井も安全」だとした経済産業省の欺瞞も、自民党政権によるものだと批判した。