2023年10月7日(土)午後1時30分より、大阪府大阪市の大阪弁護士会館において、「臨時国会・緊急セミナー『政治とカネの問題をどう可視化するか!』」が開催された。主催は公益財団法人 政治資金センター。登壇したのは、情報公開クリアリングハウス理事長 三木由希子氏、神戸学院大学教授 上脇博之氏ら。
まず政治資金センター評議員の高須賀彦人 弁護士より、政治資金センターにおいて、政治資金示報告書を収集->公開->データベース化する動きについて説明があった。
<以下、説明内容>
現在2万4000文書ほどが収集されており、ホームページでPDFとして公開されている。
収集の手順は、
(1)ネット上に公開されていものに関しては、自動的に収集するツールを使用。
(2)ネットで公開されていないものについては、情報公開して取り寄せ。
集めた政治資金収支報告書は、OCR(光学式読み取り装置)にかけてテキストデータにして、読み込めるようにしている。
しかし、政治資金収支報告書はフォーマット(書式)が多数あり、都道府県ことによって違ったていることもあるので、それを全部まとめてOCRにかけるのが非常に大変。よってデータに変換する際に、どのデータがどの位置にあるかといいうことまで特定する、専用の帳票OCRを開発して取り組んでいる。
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三木氏は、国会議員の公設秘書が地方議員であったという問題について以下のように語った。
「朝日新聞が報道した。これは維新の議員の公設秘書2人が、地方議員と掛け持ちだったという事例。
国会議員の秘書として給料をもらいながら、地方議員としても活動して給与をもらっている二重取りだったという問題。情報公開という観点で言うと根が深い問題。
公設秘書の情報は、2004年に氏名の公開について、公設秘書を雇った場合は(議員が給料を払うわけではないので)、衆参両院の事務局に採用した旨を届け出して給料を払ってもらうことになるが、2004年の少し前に、秘書を雇っていないのに給与をもらっていたという問題が発覚したことを契機に、氏名の公表についても当然議論し・申し合わせをした。
一応、今議員が公設秘書として誰を雇っているかということは、公開するということになっている。また法律だと公設秘書は兼職が原則できないが、例外的に議員が許可すればできるいう仕組みになっている。それで兼職する場合はそれについても届け出て、どこに対して兼職をしているのかということを公開する仕組みになっている。
しかし公開という言葉を使っているが、衆議院・参議院が自分たちで情報を集めて公開という仕組みにはなっておらず、各会派がそれぞれの所属議員の公設書の氏名について集約をした上で、会派ごとに公開をすると探しにくいので、衆両院の事務局内で公開するという仕組みにしている。
つまり閲覧。公開を閲覧という意味で使っている。
兼職に関する情報も同じで、文書の公開は一般の閲覧という方法により行うことになっている。閲覧場所に行かなければ見ることができない。
国会まで来てくださいという仕組みにしているということ。行かないと見られないということは、全国に選挙区があるのに、全国から見に来てくださいという仕組み。そもそも『東京まで行きますか』という、まったくありえない話。
2004年の5月に参議院の議員運営委員会で質疑が行われていて、その質疑の中で、共産党の当時の参議院議員が 『インターネットで公表すべきでは?』と質問している。
それに対して法案提出者側の参議院議員が何を回答しているかというと、議員秘書の氏名というのは、プライバシーに関わる情報に関与する可能性があるので公表できないという回答だった」
- 公設秘書の兼職禁止したのに「届ければOK」の抜け道 地方議員と掛け持ち、与野党相次ぐ 衆院選にらみ見直し進むか(2023.9.29、東京新聞)
- 秘書兼職問題 地方議員の責務を軽視するな(2023.9.30、読売新聞)