東京都下の水道水が危ない! 米軍と自衛隊の基地による汚染か!? 基地と半導体工場等の複合汚染か!?「汚染源の特定」の立ち入り調査ができない~2・18集会「米軍基地と『水』の汚染-沖縄でも、首都圏でも」 2023.2.18

記事公開日:2023.2.22取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年2月18日、午後2時より、東京都文京区の文京シビックセンターにて、「沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)」の主催、そして、「沖縄平和ネットワーク首都圏の会」と「沖縄環境ネットワーク」の共催により、2・18集会「米軍基地と『水』の汚染-沖縄でも、首都圏でも」が開催された。

 集会では、沖縄大学名誉教授の桜井国俊氏、および、「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会事務局」の根木山幸夫氏が登壇し、「沖縄のPFAS問題」と「多摩地域の宝・地下水がPFAS汚染!」というタイトルでそれぞれ講演を行った。

 桜井氏は、水汚染、廃棄物処理、環境アセスメントなどが専門であり、WHOやJICAの環境専門家として多くの途上国で働いた経験を持つ、工学博士である。桜井氏は、次のように、いきなり問題の核心に触れつつ、講演を始めた。

桜井氏「まず、最初にですね。最初にこの急速に進む琉球弧の軍事要塞化をどう食い止めるか。これは、我々沖縄に暮らす者にとっては大変重要な問題なんですね。PFAS問題は、それと限りなくリンクしているわけです。沖縄のPFAS問題は、ほぼ100%、米軍基地起源なんですよね。

 もちろん、自衛隊もあります。要するに、次の戦争に向かって、次々と軍事要塞が作られていく。そこで使われる『泡消火剤』がですね、沖縄におけるPFAS問題の原因です」

 桜井氏は、沖縄のPFAS汚染の現状について、健康問題や水場などの環境汚染など、具体的な事例にもとづき、報告・説明を行った。

 桜井氏は、「まず、行うべきなのは『汚染源の特定』です。これを特定できないと、きれいにできっこないじゃないですか」と述べ、「それなのに立ち入り調査ができない。障害は『日米地位協定(SOFA:Status Of Forces Agreement)』です。1966年に調印しています」とした上で、以下のとおり解説をした。

桜井氏「お隣の韓国では、1966年に『韓米地位協定』というものを結んでいます。この『韓米地位協定』の場合は2度、改定しているんですよ。

 『日米地位協定』は一度も改定していない。日本政府は改定する姿勢がまったくないですよね。沖縄は、何度も何度も『改定すべきだ。改定すべきだ』と言っているけれども、聞く耳を持ちません。で、立入検査を米軍が認めたときのみ可能です。

 『日米地位協定3条第1項』というのが問題でして、要するに、米軍の排他的管理権と我々は呼んでいますけれども、米軍が認めたときだけ入れるということですね。これではいけないということで、2015年に『日米地位協定の環境補足協定』というものが作られます。

 『環境補足協定』を結んだときの外務大臣は岸田さんでした。『いいものができた』と、とても自慢したんですね。彼、それは今も変わっていないんですよ。いろいろ自慢するけれども、全然中身がないと私は思うんですけれども。

 その岸田さんが自慢した『環境補足協定』は『立ち入り』のことを書いてあります。その背景を皆さんに見てほしいと思うんですよ。

 背景になったのは、沖縄国際大学(以後、沖国)で、2004年8月13日、もうかなり前ですけど、覚えてない方もおられると思いますが、ヘリが落ちたんですね。この時、沖国の学長は渡久地先生でした。私はそのとき沖大(沖縄大学)の学長でした。(中略)

 ヘリがなぜ落ちたのか?イラク戦争の真っ最中だったんですね。疲労困憊した整備兵がピンを1本、入れ忘れたんですよ。そうしたら5枚のプロペラのうち1枚が落ちちゃったわけですね。ということで墜落したわけです。

 ところが、日本の警察が現場検証をできなかっただけでなく、渡久地学長自身も1週間、1週間ですよ。自分の大学に入ることもできなかったんです。普天間基地のすぐ隣にあります。接してます。沖縄国際大学は。ヘリが落ちたとたんにですね、ドカドカドカッと普天間基地から兵隊が流れ込んできたんですよ」(中略)

 このとき、海兵隊のスタッフは、ガイガーカウンターを使って、ストロンチウム90のセルを探したが結局見つからず、証拠隠滅のために、すべての土砂を持ち帰った。これが沖縄国際大学起きたことです。渡久地学長は、自分の大学に1週間はいることができなかった。唯一入れた日本人はピザの配達員です。

(中略)

 このようなことがあったので、2015年に、立ち入り調査ができるように『環境補足協定』が結ばれたんだけれども、その1年後に、オスプレイが大浦湾安部沖に墜落しました。海に落ちたのだから、捜査権は海上保安庁ですよ。ところが、海上保安庁は調査できなかったんですよ。

 環境補足協定の調印から1年後の事故。この協定はまったくの役立たずであることが判明したわけです。日本側は誰も入れません。

 なぜ、環境補足協定が役立たずかというとですね、『米軍が通知した場合(Upon Notification)』なんですよ。米軍が通知しないと入れないんですよ」

 桜井氏は、日本・ドイツ・イタリア・ベルギー・イギリスの地位協定の現状を比較し次のように述べた。

 「この5カ国の中で、国内法が『原則不適用』で、『立ち入り権』について明記されていないのは日本だけであり、そのことが何を意味するかというと、日本が主権国家ではないということである」

 現在、沖縄でも首都圏でも、米軍基地とPFASによる水の汚染について現状が明らかになり、市民の側からの様々な声が上がり、運動が起きつつあるが、米軍から、米国から、日本が『主権』を奪還しない限り、同様の問題が限りなく繰り返されていくのではないかと思われる。

 このたびは、桜井氏の講演の内容について主に紹介したが、根木山氏からの報告「多摩地域の宝・地下水がPFAS汚染」については、ぜひ全編動画をご視聴いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2023年2月18日(土)14:00~16:30
  • 場所 文京シビックセンター4階 シルバーホール(東京都文京区)
  • 主催 沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)(詳細
  • 共催 沖縄平和ネットワーク首都圏の会、沖縄環境ネットワーク

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