旧統一教会の改革案に対し「何も変わらない」「中身がない」と全国弁連が徹底批判!~9.22 立憲民主党 第11回 統一教会国対ヒアリング ―内容:旧統一教会の会見をうけて、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士より 2022.9.22

記事公開日:2022.9.24取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文、木原匡康)

 2022年9月22日(木)午後3時より衆議院本館で、立憲民主党の国対ヒアリングが行われた。同日の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による記者会見を受けたものである。

 出席者は、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)から、木村壮(きむら そう)弁護士と阿部克臣(あべ かつおみ)弁護士。省庁からは、文部科学省から石崎宏明文化庁宗務課長が基本的にヒアリングに回答。その他、法務省、消費者庁、警察庁、厚生労働省、文部科学学省の職員が出席した。

 司会を務めた立憲民主党の山井和則衆議院議員は、「統一教会の話を聞いて一番ショックを受けたのは、マスコミや国会議員へのお詫びはあったが、一番肝心な被害者の方々へのお詫びがなかったこと」だと述懐した。

 山井議員は、「2009年のコンプライアンス宣言は形骸化している」との認識を示した。

山井議員「旧統一教会は2009年のコンプライアンス宣言で、強引な献金・勧誘はしないと言っておきながら、今回発表した『教会改革の方向性』で、『威迫・困惑を伴うような献金奨励・勧誘行為はしてはならない』、『勧誘の当初から家庭連合であることを明示する』、『献金が信者の生活を圧迫することがないよう指導を徹底』などとしている。

 ということは、コンプライアンス宣言が十分に実行されていなかった、反社会的状況が続いていたことを、統一教会がお認めになられたということだ」

 全国弁連の木村弁護士は、会見について「統一教会は何も変わらない」、「改革の方向性は中身がない」と断じた。

木村弁護士「『先祖の因縁等と結びつけるような、威迫・困惑を伴うような献金・勧誘行為はしない、過度な献金とならないように十分配慮する』と言っているが、結局それは一部の信者が行ったことに過ぎないと言い続けている。

 新世事件(2009年発覚した霊感商法事件)でも認定されたように、組織として行ってきたことを、相変わらず否定しており、誠意のないもの(であった)」

 また、木村弁護士は、コンプライアンス宣言以降も複数の裁判があり、統一教会が1億円以上の賠償を命じられているにも関わらず、「判決はゼロ」と説明した欺瞞を指摘した。

 旧統一教会側は、会見で被害者へ謝罪しない理由を「ほとんどの人は感謝して献金をしており、被害と呼べない」「一部被害者は拉致監禁されて無理やり裁判をやらされた」と、被害がないかのような主張を展開した。

 木村弁護士は、「(旧統一教会側は)裁判で違法性が認められたことに真摯に向き合う姿勢が見られず、この『改革』では何も変わらない」と結論付けた。

 阿部弁護士は、旧統一教会の「35年間で1237億円と報じられる被害額は実額ではない」との主張を、「むしろ逆で、実際はこれよりかなり多い」と否定した。

 阿部弁護士は、「他の消費者被害でも、消費者センターや弁護士に相談するパーセンテージはかなり低い。集計された被害額の、実際は数倍から十数倍が実額」とした。

 旧統一教会の「献金は信者本人の自由意思」等の主張を、阿部弁護士は、裁判結果や元信者の相談を踏まえて否定した。

 さらに、旧統一教会の「左翼弁護士が国民をミスリード」との主張に対し、阿部弁護士は、「全国弁連は特定の政治的思想にもとづかず、統一教会被害者救済の一点で結びついている」など、様々な切り口で統一教会の主張に反論した。

 一方、石崎文化庁宗務課長は、旧統一教会が提示した改革案に関して聞かれ、「これによってどう変わっていくかが大事。現時点でダメだとも、これでいいとも言えず、判断がつかない」と回答した。

 立憲民主党の柚木道義衆議院議員が、「解散命令については、改革の方向性を見極めてから議論するということか?」と質問すると、石崎宗務課長は「法人のやることには関係なく、宗教法人法81条1項1号から2号前段に該当するかどうかが大事で、法律上の要件にあたればそう動く。ただ、現時点では解散請求は難しい」と回答した。

 また、立憲民主党の小西洋之参議院議員が、「改革案に関して、文化庁は今後、旧統一教会とやり取りするのか?」と質問すると、石崎課長は「現時点では考えてない」と回答した。

 石崎課長はその理由を、「宗教法人法は宗教法人を監督する法律ではないので、根掘り葉掘り先方のやることを把握しなければならない立場に我々所轄庁はない」「正直申し上げて、いろいろ対応することが多く、相手をする時間を捻出することが難しい」等と弁明した。

 社会民主党の福島瑞穂参議院議員は「刑事で有罪判決が、民事でも多数の請求判決が出ているのに、なぜ解散請求できないのか?」と質問した。

 石崎課長は福島議員に対し、「(要件は)組織的対応と刑法違反等。旧統一教会の役職員が刑法で刑罰を科せられた事例はなく、関連団体の株式会社の方が刑事事件で刑罰を受けた例だけだから、難しい」と回答した。

 その他、日本共産党の宮本徹衆議院議員等3人が質問を行った。

 最後に、二世信者の女性Aさんが、旧統一教会の会見に感想を述べた。なお、この部分は、証言者保護の観点から、中継も録画配信も禁止とされた。

 Aさんは、「もし統一教会の信仰をもって家庭が幸せなら、こんなにたくさんの二世信者が離教していない」、「教団はいつも『末端の信者がやったこと、現場の責任』と言うが、組織のトップとして、たくさんの二世信者を犠牲にしてきたことを、真摯に謝罪してほしい」等と訴えた。

 ヒアリングについて詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年9月22日(木)15:00~
  • 場所 衆議院本館 2F 第4控室(東京都千代田区)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です