2022年8月13日、午後1時30分より、東京都豊島区の東京労働会館にて、「日本こどもを守る会」の主催により、「第十九回平和祈念集会『原爆の子』ロシア語版の今日的意義」が開催された。
『原爆の子』は、故・長田新(おさだあらた)広島大学名誉教授の編集により、1951年10月に岩波書店より刊行された、広島で被爆した少年少女の原爆体験文集である。
集会は2部構成で、第1部は、『原爆の子』ロシア語版の翻訳者であるマリア・キリチェンコ氏と、ロシア科学アカデミー東洋学研究所内日露文化センター元代表の川村秀(すぐる)氏が講演を行った。
ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、核兵器使用の危機が高まっていることを念頭に、「日本こどもを守る会」の増山均会長は、「今日の世界の状況を考えますと、世界にとって、この『原爆の子』のロシア語版の意味は非常に大きいのではないかというふうに思っております」と語った。
親日家のキリチェンコ氏は、普段は日本風に「キリチェンコ・マリア」と名乗っているとのこと。
講演でキリチェンコ氏は、ロシア語版の書籍を手に、その構成や内容について説明し、翻訳作業について、次のように振り返った。
「一番難しかった点は、やはり、精神的ダメージを受けたこと。ずっと、一年以上の作業でしたので、毎日毎日、その話を読むだけではなく、深く考えなくてはいけなかった。
それをどうやってロシア語にしたらいいのか、ずっと、その『原爆の世界』の中に生きて、体調も悪くなり、一回入院して、でもやはり、もう離れられなくなって、なんとか無事に最後まで翻訳できたが、メンタル面ではとても難しかった。
そして、ときどき『泣く休憩』、つまり、翻訳作業を止めて、泣いていました。
もちろん今は、翻訳してよかったと思ってえいるが、途中、何度かやめたいなと思ったこともあった。でも、やめなくてよかったと思っている」。
キリチェンコ氏の講演には、ロシア外務省付属外交アカデミーの学生と教師、モスクワ教育大学、ロシア国際関係大学、モスクワ大学のアジア諸国学部の教師ら約30名が、ロシアからオンライン参加し、ロシア国内での関心の高さをうかがわせた。
また第2部は、「東京高校生平和ゼミナール」から原水禁世界大会に参加した高校生・大学生が、その参加報告を行った。
詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。