IWJの質問に小西洋之議員は「国政に関わった経験ある人の組織的行為」、杉尾秀哉議員は「国会で自民党との関係取り上げる可能性」!~12.10 ツイッター「Dappi」アカウントによる書き込みに対する損害賠償訴訟についての緊急記者会見 2021.12.10

記事公開日:2021.12.12取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

 2021年12月10日(金)午後4時半より、東京都千代田区の衆議院第2議員会館にて、「ツイッター『Dappi』アカウントによる書き込みに対する損害賠償訴訟についての緊急記者会見 ―登壇:立憲民主党 小西洋之参議院議員、杉尾秀哉参議院議員、訴訟代理人・竹内彰志弁護士ほか」が行われ、IWJが生中継した。

 同日、「Dappi」アカウントによる虚偽投稿で名誉を損害されたとして、小西議員と杉尾議員が東京都内のウェブコンサルティング会社「ワンズクエスト」社に、880万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が東京地裁で行われていた。

 会見での訴訟代理人の金子春奈弁護士の説明によれば、今回の訴訟内容は、2020年10月25日に「Dappi」アカウントが、森友問題で公文書改竄を強いられた後に自死した元近畿財務局職員の赤木俊夫氏を想定して、「近財職員は、杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」との虚偽のツイートを行い、両議員の名誉を棄損したとするものである。

 また代理人の徳勝丈弁護士は、同アカウントの投稿は、平日の9時から22時に集中し、1日平均6件に上ること、動画編集や文字起こし等の作業を伴うこと、そしてIPアドレスの契約者がワンズクエスト社という法人であることから、このアカウントが、「業務として組織的に事実を捻じ曲げ、名誉を棄損するような投稿を行っていた」と考えられると述べた。

 ワンズクエスト社に関しては、同社社長が、自民党本部の事務総長・元宿仁(もとじゅく ひとし)氏の親戚であり、一般人は使えない国会通行証所持者のみが使える国会内の銀行支店を利用していること、さらに同社の大口収入源が自民党であることなどを、しんぶん赤旗が報じていた。

 小西議員は、自らが「Dappi」アカウントによる名誉棄損を本件以外に何回も受けていると述べ、一例として、2019年の千葉県の台風15号で、小西議員が自衛隊の災害派遣を要請した際の、「Dappi」による「自衛隊の災害派遣の仕組みが理解出来ずに批判を繰り返す小西」との虚偽投稿をあげた。小西議員は、こうした野党議員の発言を捻じ曲げ、名誉を傷つける行為は、民主主義をゆがめるとして、「訴訟の大目的は日本の民主主義を守る」ことだと訴えた。

 杉尾議員は、これまで「Dappi」以外のアカウントも含めて被害を被ったが、特に今回の投稿は、「赤木氏を自死に追い込む原因を作ったというまったく事実に反する投稿で、5000件余りのリツイートをされ、1万件以上の『いいね』があり、拡散された事実は看過できない」と糾弾。さらに「政治の中で、情報工作だった可能性」も指摘した。

 質疑応答で、IWJ記者は以下のように質問した。

 「『Dappi』アカウントの投稿で、背後に政党がからんで情報操作を行った可能性を、どのように考えるか? また今回の裁判でDappiの背後関係のすべてが明らかになるとはいえないだろうが、悪質であった場合、さらに刑事告訴や国会での追及をするお考えになっておられるでしょうか?」。

 これに対して、代理人の竹内彰志弁護士は、「(裁判の中で)組織的なフェイクニュースの拡散だという認定がなされていくのであれば、その中でどういった意図であったか等について明らかにしていただきたい」と回答した。

 杉尾議員は次のように答えた。

 「刑事告訴等は弁護士に任せるが、国会でも、ワンズクエストの主な取引先が自民党であったことを取り上げる可能性は否定できない。ただ関係性はまだまったくわからないし、Dappiアカウントの所有者と、実際の投稿者の関係も、裁判で明らかにすべきことだから、これ以上現時点で申し上げるのは差し控えたい」

 小西議員は、次のように回答した。

 「代理人弁護士が言ったように、これは完全に組織的な行為だと思っている。先ほど私の(台風15号の際の国会での)質疑の内容を改変されていると言ったが、これは普通の人ができる作業ではない。何らかの形で国政に関わったことのある人が、一旦野党議員の質疑内容を理解したうえで、意図的にその内容とまったく違うものを作って、名誉棄損をしている」「今もDappiアカウントは生きているので、もしその違法行為を支えていた存在があるなら、今もこうしたものを放置しているのは、社会に対して非常に重い責任がある」。

 IWJ記者は、重ねて以下の質問をした。

 「悪質で不当なネット投稿によって、傷ついた被害者の名誉回復や損害の回復のための労苦と比べて、故意の、悪質なデマ投稿を行う者への罰則が軽過ぎるとの声もあります。立法府で法的な規制や、悪質投稿への罰則強化の法改正や新たな立法が必要であるとお考えでしょうか?」

 竹内彰志弁護士は、「(投稿者特定のための情報開示請求等の)手続き上は、プロバイダー責任制限法は法改正をしていただいたので、複雑な手続きに関しては一定の簡素化が図られる。来年の施行を計画している」と答えた。

 小西議員は以下のように回答した。

 「ネット上の名誉棄損で苦しんでいる人が世界中にいる一方で、メディアはSNS等の場で利益を得ている。そのメディアの側が、明らかな犯罪行為が行われている場合は、メディアの責任で、そうした投稿を速やかに削除するといったことは、もう少し制度として行われていいのではないか」「ただし、外部の専門家が、どういう場合に削除するという、透明性、第三者性、合理性のあるルールを定めて、被害を救済し、犯罪行為を止めることをもっとしてしかるべきだ」。

 さらに小西議員は、「私は、ツイッター上で殺害行為『殺してやる』と言われたことがある」と述べ、「そうした刑法犯罪に触れることは警視庁に通報して捜査され、100%検察に送検されている」と語った。そのうえで、「『殺してやる』といった投稿をSNS上でさらしておくこと自体が社会にとって悪影響があると考え、ツイッター社に削除を要請したが、きわめて対応が鈍かった」と問題視した。

 杉尾議員は次のように答えた。

 「プロバイダー責任制限法の改正後の推移を見たい。言論表現の自由との比較考量の中で、まずプロバイダーがこれまで以上にアクションを起こしてほしい。それでも改善が見られない場合は何らかの罰則の強化が考えられるが、一足飛びではないだろう」「立法府に身を置く者としては、実際に自分たちが体験をしたことは裁判中で重要になってくるだろうが、それは最終的には国会の中で、委員会での質疑や法律の改正という形にもっていかなければならないと責任として感じている」。

 その他の質疑応答を含めて、詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。

 なお、この「Dappi」アカウントの問題に関しては、岩上安身が小西議員に、2021年11月8日に詳しくインタビューを行っている。こちらもあわせて御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年12月10日(金)16:30~
  • 場所 衆議院第2議員会館 多目的会議室(東京都千代田区)

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