2021年10月21日(木)、午後1時半より、衆院総選挙 自由民主党 長島昭久候補(東京18区)の街頭演説が行われ、応援弁士として、甘利明幹事長が駆けつけました。
「この小金井から日本を変えていく男」と紹介された長島候補は、衆議院7期目、小金井市で選挙を戦うのは今回が初めて。そして、自由民主党の公認候補として戦うのも、今回が初めてだ。長島候補は、演説の中で次のように述べた。
「私は、初当選以来、ずっと安全保障委員会に所属してきました。(中略)憲法審査会にも、今入っています。憲法の問題と安全保障の問題は切っても切れないし、今の日本の国にとっては、最も大事な、基本的な政策課題だと思って、私もやりがいを感じながら仕事をさせていただいてきました。
が、そこで交わされる議論のレベル、その議論の質、これは必ずしも、胸を張れるような、そういった内容ではありません。残念ながら。空理空論がまかり通っている。(中略)『平和憲法、平和憲法』と言っていれば、平和が守られるとかですね。安全保障法制を作ると戦争に巻き込まれるとか。
こんな、ちょっと考えればわかるような、『嘘偽り』がまかり通っている。私は、今の日本を取り巻く状況というのは、かつて言われていたような、『水と安全はタダ』というような、私たちが子どもの頃、そんなことが盛んに言われていましたが、そんなおめでたい、生易しい、平和、平和の時代とは、まったく違います」
長島候補は、そのように危機感を煽ったあとに、次のように述べた。
「あの北朝鮮、国民は飲まず食わずですよ。しかし、潜水艦から弾道ミサイルを発射できるような技術を身につけちゃった。もちろん、ロシアや中国が後押ししてるんですけど。イランが後押ししてるんですけど。
そういう国が、本当に、目と鼻の先に存在してるんです。しかも、もっと恐ろしく、巨大な国が、この過去30年間に軍事費だけ見ても、41倍。凄まじい勢いで、日本の5倍くらいの国防費を持って、圧力をかけて来ている。尖閣にも、台湾にも圧力をかけて来ている。
こういう状況に、日本がどう立ち向かっていくか。戦争で立ち向かうんじゃないですよ。戦争を起こさないように、きっちとした抑止力を効かせていくか?相当悩ましい問題でもあり、真剣に国会で議論しなければならない問題じゃないですか?」
ここで、数人の聴衆から「そうだ、そうだ!」と大きな声で合いの手が入った。
しかし、6月に通常国会が終了して以降、野党からの再三の要請に応じず、4カ月近く国会を開かなかったのは政府自民党であり、その間、新型コロナウイルス感染の急拡大があり、都市圏では医療崩壊寸前となった。自分が、自党がやりたい議論はやりたい、しかし国会は開かないというのはいささか一方的に過ぎるように思われるが、どうだろうか?
対外的な緊張感を煽るこのような演説をぶっても、国民の多くは国会を開いていないのは自民党政権のせいだと知っている。長島候補は自分で自分の首を絞めるような演説をしていることに気づかないのだろうか?
長島候補の演説に続き、自由民主党幹事長の甘利明氏の応援演説となった。甘利氏は、このたびの衆院総選挙で野党が共闘して目指す「政権交代」について、次のように述べた。
「(前略)世界中、与野党は、政権交代が可能な与野党とするならば、外交政策や安全保障政策、社会保障政策、国の土台になることは共通していないといけない。痛感をしましたよ。政権が変わるたんびに、自衛隊が違憲になったり、政権が変わるたんびに、経済安全保障政策が変わったり、危なくって皆さんの生活なんか託せるわけないじゃないですか」
また、次のようにも述べた。
「今回、立憲民主党と共産党は、候補者を1人に絞って、『限定的閣外協力』というのをやりました。この選挙でもそうでしょう。(中略)中でも特に、『安全保障政策』、『平和安全法制』には反対ですよ。これってねえ、(政府与党が)死にものぐるいで作って、日米安保条約をちゃんと、実現可能な、機動的なものにするための、必須要件として作ったんです。
あれがなければ、トランプ大統領は、『なんでアメリカの若者だけが日本のために血を流すんだよ。日本は何をしてくれるんだ。基地貸すだけか』となりますよ。だから、日本が本当に攻撃を受けたら、そりゃ戦争だから、戦いますよ。
だけども、このまま行ったら確実に日本に攻撃が起こる、あるいは、その可能性が大だ。(中略)色々考えなきゃならない法律をつくりましたよ。それに反対」
甘利幹事長は、「日本に対する攻撃が起こる」とほぼ断定した。これが自民党の危機感の認識なのだとすれば、なぜ自民党はミサイルの標的となりうる原発を廃炉にせずに、再稼働させようとするのか、さらには新増設の議員連盟まで自民党は作るのか、まったく理解できない。
最後に、野党共闘について、次のように述べた。
「安全保障や経済安全保障に反対する。そういう政権ができて、みんなの安心・安全が保てますか? 共産党と立憲が部分的に合体をして、政府ができる、とはどういうことかと言うと、共産党が限定的であるにせよ、政府の政策に直接関わる時代が来るんですよ? 日本の政治史上一度もありませんよ、そんなことは!
今まで共産党は、でき上がったもの対して、あーだこーだ言う権利はありますけれども、でき上がるものに関して参加するということはないんです」
長島候補、甘利幹事長は「安全保障」こそ、自民党の強みだと主張した。しかし、米国の求めるがままに日本列島に米軍の中距離ミサイルを積極的に配備しようとしているのは自民党なのであり、台湾有事、あるいは中国と米国の戦争が起これば、中国と日本の間でミサイルの撃ち合いとなり、日本だけは守られる、という米国にのみ好都合な、日本にとっては馬鹿げた仕組みを作っているのは、当の自民党なのである。
高市早苗自民党政調会長は、中国への取り組みについて聞かれ、「電磁パルスで敵基地を無力化」と述べた。核弾頭を中国の上空で爆発させるというのである。日本国憲法はもちろん、NPT(核兵器不拡散条約)体制にも抵触する、絵空事の安全保障論である。
「敵基地攻撃能力の保有」論も、相手国にミサイルを撃ち込めば、どんな報復を受けるかという反撃を想定していない。自民党が考える安全保障は、1発打ち込めば相手はシュンとするだろうと奇襲をかけた「真珠湾攻撃」時代や「対支一撃論」の思考から何も進歩していないのである。