森友学園問題で自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫氏が、財務省からの文書改竄指示の経緯をまとめた「赤木ファイル」を、2021年6月22日、財務省が赤木さんの妻雅子さんの弁護士に開示。雅子さんは6月24日に日本外国特派員記者クラブで会見を行った。
森友学園問題は、2017年2月、森友学園が新設する「日本初、神道の小学校」の名誉校長に、安倍晋三総理(当時)の妻、昭恵氏の就任が判明。国有地が森友学園側に不当に安く売却された疑惑が発覚した。2017年2月17日、国会で追及された安倍総理は、「私や妻が関係しているということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と言いきった。
その後、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)が国会で森友学園への優遇を否定。直後に本省理財局と近畿財務局による、公文書改竄が始まった。赤木俊夫氏は、改竄作業に追い込まれたことを苦に、2018年3月自殺した。
赤木さんの死後、財務省は改竄を認め、佐川局長ら38人が刑事告発されたが、不可解なことに、全員不起訴となってしまった。政府の行政権力による犯罪と、その犯罪の隠蔽工作に対し、検察という強大な権力もまた結託して、加担したかのようである。
雅子さんは、「夫の職場で何があったのか」と、国と佐川氏に賠償を求めた訴訟で、「赤木ファイル」の提出を要求。しかし、国は開示を拒み続けた。
今回初めて開示された「赤木ファイル」は、改竄経緯や、理財局と近畿財務局で交わされたメールなど518ページにのぼり、佐川局長が改竄を指示したとするメールも含む。
しかし雅子さんの代理人弁護士は、6月23日の記者会見で、ファイルの一部が黒塗りされ、「資料の全てが提出された裏付けがない」と、原本を裁判所に提出するよう求めた。
雅子さんは6月24日の日本外国特派員記者クラブの会見で、赤木俊夫氏が自死に使用したオーディオコードの現物を示して、生々しい状況を語るととともに、第三者委員会による理財局内部のメールなどの再調査を求めた。
雅子さんは、麻生太郎財務大臣は、夫の「仏前に手を合わせることもなく、再調査を提案することもなく、辞任もせず、財務大臣を続けています」と批判。また、「官邸の関与があったと考えるか?」と質問され、「そこが知りたくてこの裁判をしています」と答えた。
一方、6月24日の野党による「森友問題再検証チーム」ヒアリングでは、立憲民主党の原口一博衆議院議員が「官邸ぐるみの組織的な隠蔽、改竄、そして虚偽が今も続いている」との厳しいが正常な認識を示した。