2021年3月23日(火)、午前10時45分より、東京都千代田区の農林水産省庁舎にて、野上浩太郎 農林水産大臣の定例会見が行なわれた。
会見冒頭、野上大臣より、「農林水産省関係の独立行政法人の理事長人事」、および「土地改良長期計画」の2点について、報告があった。
大臣からの報告に続いて、各社記者と野上大臣との質疑応答となった。
IWJ記者は、種子法廃止と改正種苗法に関して、以下のとおり質問をした。
IWJ記者「2018年4月、主要農作物種子法が廃止されましたが、この種子法は、米、麦、大豆など、国民の主食となる農作物については、各都道府県において、その風土に適した、優良で安全な種子を、安定的に、かつ安価で提供することを規定する法律でした。
そして、2020年12月2日、改正種苗法が成立し、この4月には施行される予定となっています。
現在、国と『種子法廃止違憲無効』訴訟を争っておられる元農水大臣の山田正彦氏は、この流れについて、昨日(3月22日)、東京地裁で行われた第3回口頭弁論後の報告集会で次のように述べています。
『この改正種苗法により、農業は、生産者と企業間の契約にもとづくものとなり、その際、企業側が指定した農薬・化学肥料と種子の使用を義務付けられる。そのため、私たち国民がこれまで当たり前に享受していた安心・安全な農作物の供給ができなくなるおそれがある』
この事態を受けて、各都道府県では、それぞれが抱える農家の『育種知見』を保護するための『種子条例』を成立させる動きが生まれており、現在、全国26の道県でこの種子条例が成立しています。
これは、ある意味で、国会で承認され、成立した法律を、各都道府県が差し戻している形になる旨のことを、弁護士でもある、山田正彦氏は述べられておられます。
この各都道府県における『種子条例』採択の動きについて、野上大臣はどのようにお考えでしょうか? ご教示ください」
この質問に対して、野上大臣は次のとおり回答した。
野上大臣「主要農作物種子法を廃止後、各都道府県では、あらためて地域の独自性を反映した官民の連携や、種子供給体制の整備、条例の制定の動きが出ているところである。これは地域の農業に必要な対応を自ら判断して講じているものと理解している。
こうした動きは、『全国一律』というやり方をやめる中で、各県が、多様な事情に応じた種子供給体制を構築しようという動きの表れであると考えている」
大臣の報告、および質疑応答を含め、会見の一部始終は、全編動画をご視聴ください。