2021年2月17日、東京都千代田区の気象庁で、長谷川直之・気象庁長官による記者会見が行われた。
2月13日に福島県沖で発生した地震について、翌14日の会見で気象庁は「地震は東日本大震災の余震と考えられる」と発表したが、16日、「東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震から10年となるのを受け、気象庁が『余震』の発表方法について見直しを検討している」と報じられた。
- 「余震」発表の見直し検討 東日本大震災から10年で―気象庁(時事ドットコム、2021年02月16日)
報道を受けて、見直しの背景や今後の運用について問われた長谷川長官は「地震の数だけを言えば、震災前と比べてまだ多い状態が続いている」「余震はまだまだつづくだろう」と述べたが、「一つの地震を見たときに、これは余震なのかは、見る観点によって違う」として、従来気象庁が取ってきた運用の見直しを検討していることを明らかにした。これまで気象庁は、「東日本大震災の余震域とされた範囲で起きた地震はすべて『余震』」と発表してきた。
13日の地震を、「東日本大震災の再来」と恐怖した人は少なくなかった。しかし、「余震」の発表運用の見直しは、震災の記憶の風化につながりかねない。防災意識啓発の観点からも慎重な対応が迫られる。