「今後数十年、同規模の余震は東日本大震災で割れたプレートのどこで起きてもおかしくない」〜IWJの取材に東洋大・渡辺教授が指摘!東日本大震災から6年後の余震は阪神大震災と同規模のマグニチュード7.4! 2016.11.22

記事公開日:2016.11.23 テキスト
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(取材・文:原佑介)

 「東日本大震災を思い出した」――。

 2016年11月22日午前6時頃、福島県いわき市などで最大震度5弱を観測するマグニチュード(M)7.4と推定される地震が発生した。広範囲で大きな揺れが長時間続き、ネットでは東日本大震災がフラッシュバックしたという投稿も相次いだ。

 震源地は福島県沖で、震源の深さは25キロ。気象庁は津波警報を発令し、宮城県仙台港で1.4メートル、福島県相馬市で90センチの津波が観測された。1.4メートルの津波観測は東日本大震災以降で最大だという。

 気象庁は安全な場所への迅速な避難を呼びかけ、青森、岩手、宮城、福島県では、沿岸部に住む住民らに避難指示も出された。福島県では午前9時半時点で、いわき市や相馬市などで3119人が避難。岩手県では214人が避難したという。

 気象庁は今回の地震について、「東日本大震災の余震域内で発生した。地震活動が活発化している中での一連の地震」と分析したが、今、太平洋の底で何が起きているのか。

 IWJは東洋大学教授で変動地形学、活断層研究の専門家である渡辺満久氏に話をうかがった。

6年後にM7.4余震「おかしなことではない」〜今後も「数十年」は同規模の余震あり!

▲東洋大学・渡辺満久教授(2016年6月7日、IWJ事務所にて撮影)

▲東洋大学・渡辺満久教授(2016年6月7日、IWJ事務所にて撮影)

 「本震がM9ですから、M8くらいの余震があってもおかしなことではありません」

 渡辺教授も、今回の地震は東日本大震災の「余震」だとの見方を示す。この見解は、武蔵野大学特任教授の島村英紀氏が岩上安身の取材にこたえたものと共通する。

 すでに東日本大震災から6年が経つが、渡辺教授は「(6年という月日は)関係ない」と指摘する。

 「M7クラスの余震はいつ起こってもおかしくありません。数は減りますけど、今回のような規模の余震はこれからも起きると思いますよ。東日本大震災の余震であれば、今後数十年間、東日本大震災で割れたプレートのどこで起きてもおかしくありません」

――M7クラスの余震はいつ起こってもおかしくないということは、今回以上に大きな余震が起こることもありますか?

 「可能性はゼロではないです。時間が経っているので、M8クラスの余震が起こることは考えにくいですが、可能性はゼロではありません。規模の大きさも徐々に落ちついてくると思いますが、時たま、今回のような大きい余震が起きてもおかしくありません」

今回の余震は「阪神淡路大震災と同規模」、他断層に影響を及ぼす可能性も!

――東日本大震災以降、震度5弱の地震は度々日本各地で起きていましたが。

 「同じ震度5弱と言っても、今回はM7.4です。これまでの地震はM6くらいですから、規模が全然違います。今回は大きい地震です。もし、人が住んでいる直下で起きれば、大変な被害になったでしょう。阪神淡路大震災と同規模の地震ですから。ただ、東日本大震災で動いたプレートは海底のものなので、その余震が陸地で起きることは考えにくい」

――今後、東日本大震災クラスの余震、もしくは今後、本震に発展することはありますか?

 「M9に近いような地震は、同じようなところで立て続けに起きることは考えにくいと思います。今回の余震が影響を与えて、他の場所で同規模の余震が起こる可能性はあります。東日本大震災のように大きい地震が起きるとは考えにくいですが、今回と同規模のものは起きる可能性はあります」

――東日本大震災のときは、17日前にニュージーランドでM6.3の大きな地震が発生していました。今回、2016年11月13日に、同じくニュージーランドでM7.8の大きな地震が発生していますが、何か関連はあるのでしょうか?

 「それはないと思います。もちろん100%ないとは言えませんが、今のところ関連付けるのは無理で、関係ないと思います。北海道―本州間の海溝と伊豆・小笠原海溝でプレートの割れ残りがありますが、範囲がそんなに大きくないので、M8クラスの地震が起きてもおかしくはありませんが、M9クラスの地震は考えにくいでしょう」

――今回は津波警報が発令され、一部では避難指示も出されました。幸い、巨大な被害にはつながっていませんが、今回の避難指示をどうご覧になりましたか?

 「今回、避難指示を出した対応は正しいと思います。津波は、きてみないと大きさがわかりません。今回予想された津波が陸にあふれると、結構な被害が起きます。1メートルの津波でも車は簡単に流されます」

やはり起きた「避難渋滞」、いわき市職員は「教訓が活きたとは言えない」!

 今回、福島県いわき市などでは避難時に渋滞が発生するなどのトラブルも発生した。渡辺教授は同規模の余震が今後も起きる指摘するが、そのときに今回以上に大きな津波が押し寄せれば、避難の遅れが甚大な被害を引き起こすことも予想される。

 いわき市役所の防災担当はIWJの取材に対し、「徒歩での避難を呼びかけたうえでも、車で渋滞が起きてしまった。『避難方法』という点においては教訓が活きたとは言えない状況だと思います」と述べている。

 東日本大震災を経験した福島県でさえ住民避難に課題が残る中で、他の自治体が津波や火山、または原発事故で迅速な避難計画を実行できるのか、非常に疑わしい。

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