民放労連女性協議会副議長・岸田花子氏「意思決定者層に女性が少ない。多様性なき組織ではイノベーションが起こらず、不祥事抑制のモラルが低下する!」~2.9メディア業界団体および加盟社への女性登用要請に関する記者会見 2021.2.9

記事公開日:2021.2.20取材地: テキスト動画
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(取材・文、浜本信貴)

 2021年2月9日(火)午後3時より、厚生労働省内会見室にて、民放労連、新聞労連、出版労連、メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)の主催で、「メディア業界団体および加盟社への女性登用要請に関する記者会見」が行われた。

 登壇者は、日本民間放送労働組合連合会女性協議会副議長・岸田花子氏、新聞労連中央執行委員長・吉永磨美氏、出版労連中央執行委員長・酒井かをり氏、そして、メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)世話人・松元千枝氏の4名。

 岸田氏らは、それぞれが所属する労働組合の連合として、2020年12月1日付けで、4つの業界団体(民放連、新聞協会、書籍出版協会、雑誌協会)あてに、「業界団体および加盟社の女性登用についての要請」を提出した。

 会見冒頭、岸田氏は次のように要請の趣旨について語った。

 「私たちは、『女性登用』については、常日頃からずっと訴えかけているが、(中略)絶妙なタイミングで森喜朗氏(元東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長)の(女性蔑視)発言があった。このたびの要請提出とタイミングが合ってしまった形だが、これはまったくの偶然です。

 私たちの課題意識は、マスコミ各社、そして、要請提出先の4つの業界団体に関して、役員の女性がとても少ないということ。つまり、意思決定者層に女性が少ないというものです。

 実は、メディア業界は、制度的には女性差別はないと思っている。先人たちのおかげで、制度的には充実していると思う。だが、『登用』にはルールがないので、問題を特定しにくい構造がある。

 端的に言うと、社員数と役員数の割合に乖離があるということ。この乖離がなぜ問題なのかというと、一般に言われているとおり、多様性のない組織ではイノベーションが起こらないからだ。たとえば、『根回し』などの慣例は、会議での多様な意見の取り込みを阻害するし、多様性のない組織は、『不祥事』を抑制する力やモラルが低下する」

 岸田氏らが提出した要請書に記された要請は、以下の3つ。

(1)業界団体の女性役員比率について、数値目標や加盟各社からの女性管理職による特別枠を設け、すみやかに3割以上にすること。その際、国連や国際NGOの指標、日本政府の目標などを考慮し、最も高いレベルで実現を図ること。

(2)ジェンダー・男女共同参画に関する常設委員会を設置し、業界でのジェンダー平等を重要課題の一つにすること。

(3)2021年4月までに業界団体と全加盟社が、役員の3割を女性にする目標・計画・実績を国の女性活躍推進企業データベース()で公開し、その後も定期的に更新すること。

 4つの業界がこの要望にどこまで応じられるか、今後の動きを注視していきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年2月9日(火)15:00~
  • 場所 厚生労働記者会・労政記者クラブ(東京都千代田区)
  • 主催 民放労連、新聞労連、出版労連、メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)

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