10日17日土曜日に行われた故中曽根康弘元総理の内閣と自民党による合同葬をめぐり、文部科学省が全国の国立大学、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合や文科省の機関に、葬儀に合わせて弔旗の掲揚や黙祷するようお願いする文書を送付していたことが明らかになった。
都道府県教育委員会には、「参考までにお知らせします」との文言で市町村教育委員会へ周知を依頼していたとのことである。
また、政府は2日、合同葬当日に次の2点の措置を行うことを、閣議了解していた。
1. 各府省においては、弔旗を掲揚するとともに、葬儀中の一定時刻(午後2時10分)に黙祷すること。
2. 各府省は、前項と同様の方法により、哀悼の意を表するよう、各公署に対し協力を要望すること。
この閣議了解を受けて加藤勝信官房長官が各大臣に周知を求める文書を発出し、これを受けた萩生田光一文科相が加藤官房長官の文書を添付した上で前述の要請通知を13日付けで出していたとされる。
- 故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める(東京新聞、2020年10月14日)
野党はこの国による黙祷、弔旗掲揚の要請を問題として、10月15日午後3時より内閣府、文部科学省、総務省からの野党合同ヒアリングを衆議院本館内で実施。IWJは生配信した。
ヒアリングで野党側は、公的存在である国が合同争議を行い、予算を支出する根拠、弔意を各国立大学に要請する理由など、様々な角度から追及した。
各要請文書に、明治天皇の「大葬」の弔旗掲揚方法を記した資料が添付され、「天皇の葬儀」と同じ扱いがされた点も問題視した。
特に、故宮澤喜一元総理の内閣・自民党合同葬では、今回の閣議了解の文言「2.各府省は(略)哀悼の意を表するよう、各公署に対し協力を要望すること」がなかった背景として、宮澤氏の信条である「政治は内心の自由に踏み込んではならない」という考えがあったことを野党側は指摘し、憲法上の「内心の自由」が侵される危険性を問題視した。
さらに「特定政党への支持や政治的活動を禁じている教育基本法14条」に抵触する恐れも指摘された。
野党側は、今回の閣議了解は「要請ではなく措置」であり、総務省の課長が「各職員に対して黙祷をすることを伝えている」と回答したことから、「思想良心の自由に踏み込んでいる」と、閣議決定そのものが憲法上の「内心の自由」を侵していると批判した。