欧州でコロナ感染が急激に再拡大する中で、あまり報道されていないスイスの状況について、ベルン在住の現代詩人、ロミー・リーさんからの現地レポートがIWJ編集部に届いたので、ご紹介する。
リーさんの第1信では、学校をはじめ、バーやディスコなどの閉鎖、スポーツイベントは観衆なし、レストランは1テーブル4人以下とされるなど、さまざまな規制が伝えられ、「事態は春よりも深刻になるだろう」とリーさんは危惧している。
また、反政府デモが発生し、他の諸問題と悪い形で結びついて、極右の運動がこれに便乗しているという。コロナ禍が気候問題や世界情勢と関係づけられるなどしてストレスを高め、「人はさらに壊れやすくなっている」というのである。
第2信では、映画館、劇場の閉鎖、コンサートも禁止、聖歌隊の練習も禁止されたことが伝えられた。一方、公共交通機関での接触を避けるためか、かえって交通量が急増し、クルマが購入されているという。
一方、リーさんは、国際的な大企業が減税され、高額なコロナ対策費を国民の給与で賄うことに、憤りを感じている。
また、リーさんはマスク着用への戸惑いを吐露しており、欧州人の典型的なマスク観がかいま見える。しかし、スイスの感染者・死者数は、日本との人口比で見れば桁違いに多いのが現状である。
▲ロミー・リーさん(ロミー・リーさんのホームぺージより)
事態は春よりも深刻になるだろう
IWJでは、連日、欧州における感染の急激な再拡大の深刻さについてお伝えしている。
スペイン、フランス、英国ばかりか、ベルギーの感染状況も深刻であることもわかってきた。
こうした感染中心地に隣接しながら、あまり報道されていないスイスの状況について、ベルン在住の現代詩人、ロミー・リーさんからレポートがIWJ編集部に届いたので、ご紹介する。
「事態は春よりも深刻になるだろう」。
ロミー・リーさんは、静かな語り口ながら、欧州を襲った第1波を上回る第2波の衝撃の深さについての見通しを語っている。
ロミー・リーさんは、1954年、スイス、ラングナウ生まれ。これまで、Kein Ort aber Kraehengelaechter (Dendron, CH-Chabrey 2015)などのたくさんの詩集を出してきた。また、詩と並行して独自の美に貫かれた抽象画も描いている。
▲ロミー・リーさんが住むベルンの街並みとアーレ川。(wikipediaより)
学校閉鎖、スポーツイベントは観衆なし、レストランは1テーブル4人以下!
「隣国であるフランスやドイツがより厳格な措置をとっているのに対し、スイス政府は春と同じ方針を選択しました。
措置がより完全に実施されるという希望の下、それほど厳格な措置は取られていません。私たち各人の責任に任せるという方針です。
ただ、スイスの諸州は自律しており、国家レベルの方針よりも厳格な措置を取ることもできます。
ですから(国の方針では)学校は開校したままですが、学校がホットスポットとなっているために、短期間閉鎖する必要があります。
バーやディスコ、ナイトクラブは閉鎖されています。スポーツイベントは観衆なしです。
あらゆる場所でマスクを着用し、社会的距離を置き、不必要な移動は制限されています。レストランでは1テーブル4人以下に制限され、プライベートな集まりも10人を超えることはできません。
▲ベルン市内の時計塔(wikipediaより)
コロナ禍は気候問題や世界情勢と結びつき…人はさらに壊れやすく
政府に反対するデモが燃え上がったり下火になったりしています。それが底流として存在し、他の諸問題と悪い形で結びついています。右翼と極右の運動がこれに便乗しています。