「命の選別」発言でれいわ新選組を除籍された大西つねき氏をめぐり、れいわ支持者、大西氏支持者、さらにはれいわ新選組の所属メンバーの間でも波紋が広がっている。

▲大西つねき氏(IWJ撮影)
(IWJ編集部)
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特集 ナチスと同じく、生命の選別をしようとする者ども! 大西つねき、大久保愉一、山本直樹、成田悠輔、松井一郎、馬場伸幸、植松聖、麻生太郎!! 彼らの思想も政策も許さない!
※これは日刊IWJガイド2020.7.24日号~No.2871号に掲載された記事を加筆・修正したものです。
「命の選別」発言でれいわ新選組を除籍された大西つねき氏をめぐり、れいわ支持者、大西氏支持者、さらにはれいわ新選組の所属メンバーの間でも波紋が広がっている。

▲大西つねき氏(IWJ撮影)
記事目次
ALSの重度障害を持つ、れいわ新選組の参議院議員・船後靖彦氏は、2020年7月16日に発表した声明で以下のように述べた。
「一度、大西氏のいうように『順番として高齢の方から』という線引きを許してしまえば、その対象は、あらゆるところに広がっていきます。最初は高齢者、次は障害者、難病患者、稼げない人・・・・。私は、進行性の難病があり、人工呼吸器を使わなければ、寿命が尽きています。大西氏の表現する『順番』通りで言えば、すでに線引きの対象にされていたことでしょう」
昨年の参議院選に立候補した、れいわ新選組東京10区総支部長の渡辺てる子氏は17日、「船後議員の声明の内容は、私の考えそのものです」と、ツイートで表明している。
同じく自らが重度障害を持つ、れいわ新選組の参議院議員・木村英子氏は、7月15日に声明を発表した(以下抜粋)。
「今回の大西氏の『命、選別しないとだめだと思いますよ。はっきり言いますけど、その選択が政治なんですよ』という発言を聞いて、施設にいた頃の私のトラウマを思いだし、背筋がぞっとしました。
『命の選別』それが政治によって決められる世の中になったら、常時介護の必要な重度障害者の私は真っ先に選別の対象になるでしょう」
「『命の選別』、この言葉は、私が幼いころから抱いていた、『殺されるかもしれない』という避けがたい恐怖を蘇らせました。大西氏の発言は、自分の命を人に預けなければ生きていけない人たちにとって、恐怖をあたえる発言であり、高齢者だけではなく障害者も含めた弱者全体を傷つけた暴言であると思います」
ところが、この木村氏の声明に対して、一部の「れいわ支持者」と思われる人物から、驚くべき罵詈雑言が、ツイッター上で発せられた。
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木村議員が声明を発表したと知らせるツイートに対して個人名のアカウントで、「なんじゃこりゃ?おもっくそ感情論じゃねぇか。つねきが言ってる事を全然理解できてない。そもそも話ちゃんと聞いたのか?」などと、読むに耐えないリプライが連なっている。
さらに、@imnotAbi2というアカウントは、次のように木村議員に対して「クズ」呼ばわりする罵詈雑言を浴びせている。
「何でもごった煮状態で詰め込んで決め付けんなよな(´ω`*)クズ 私はおめえさんのような被害者根性、被害妄想が日本国のためになるとは思えませんね。読解する余裕や優しさもない人間が、国民の代表者であるべきではありません。もういい加減にしてほしいので、辞職していただきたいですよ私は」
この@imnotAbi2氏のプロフィール欄には、アラビア語で「櫻井誠と山本太郎」と、ヘイトスピーチの元祖ともいえる在特会(在日特権を許さない市民の会)初代会長で日本第一党党首の櫻井誠氏と、れいわ新撰組代表の山本太郎氏の名前が並べて表記されている。両者をともに支持するという意味と思われる。
岩上安身は22日、こうしたツイートについて以下のようにツイートした。
「ピックアップされているツィートひとつひとつに驚愕する。ここまで酷い言葉を、障害のある木村さんにぶつける馬鹿が集まっていたとは。なぜなのか、何に引きつけられてきたのか、考えるべき課題だと思う」

▲木村英子参議院議員と山本太郎代表(IWJ撮影)
れいわ新選組を除籍された翌日の記者会見で、大西氏は、自分は高齢者の「命の選別」は話したが、障害者を対象にはしなかったと主張した。
さらに大西氏は高齢者の「命の選別」について「何らかの方策が必要なら、高齢になれば死に近づくという『自然の摂理』に従って考えるべきで、医師のアドバイスで延命中止のルールを作るなど、『最後の出口を少しだけ緩める』ということ」と、釈明した。
大西氏が弁明会見で口にした、「最後の出口を少しだけ緩める」ということは、要するに人工呼吸器などを装着した重病患者の方々から、その命綱の装置を外し、死に至らせることを意味する。今回の京都におけるALS患者に対する、「命の選別」思想を持った医師らによる嘱託殺人は、まさしく大西氏の唱えていた「思想」の、現実における実践に他ならない。
ツイッターのプロフィールに「山本太郎さんなど政治家の方々にグラフの提供や経済レクも行っています」と書いている自称「政治経済評論家」の池戸万作氏は、23日「命の選別は許す許さないの問題ではなく、人生の最期においては、誰もが必ず訪れるものです。だから、これは優生思想ではないです。それを政治が指針を示すか、親族が医者の助言によって示すか、程度の違いです」とツイートした。
プロフィール欄に「都知事選は、地方債を発行して予算を積極的に作り出す候補を応援します。骨太の方針を、緊縮財政をブッ壊す!!!!!!」と書いている@juliocruz_noVATというアカウントは、「そもそも、騒いでいるのはパヨクだけで、大半の有権者は興味がないんじゃないか。山本太郎でも、二人の参院議員でも、内定している衆院選の支部長でもない人物の発言など」とツイート。
これに対して前述の池戸氏は「その通り。大半は何も知らない。空気を読まないのが山本太郎さんなのに、今回は空気を読んでしまった。空気を読まず、研修によって再度チャンスを与えると言って、その議案を総会に掛ければ良かったと思います。パヨクの空気に流されないで欲しいです」と返信している。
また、プロフィール欄に「日本第一党支持 令和八策」と書いてあるアカウント@massyudesは、「結局、山本太郎さんは周りの目を気にしての人気取り、フナゴとキムラは被害妄想、つねきさんが正しい」とツイートしている。

▲山本太郎代表(IWJ撮影)
7月16日の大西氏の除籍を決定したれいわの総会後の記者会見で、IWJ記者は「ネット上には大西氏批判と同時に大西氏発言を擁護する声も多数見えます。今のれいわの支持者の中には、反緊縮の旗のもとに、命の重さよりもカネや効率を優先する人が一定数集まっているように見えます」と質問した。
これに対して、山本代表が次のように答えた。
「『選別っていうものも当たり前だろう』って言えてしまう人たちが、れいわの本当の支持者かといえば、私は、そこはわからないところだと思います。
だって私じゃないですからね。その発言をしているのは。その人たちがどれくらい本当にれいわの支持者かって、どうしてわかります? れいわの支持者を騙っている可能性もあると、私は思います。れいわの本質という部分を理解できてる方だったら、そういう解釈にはならないと。本来ならば」
タイムライン上には、以下のような、大西氏とその擁護者に対するもっともな批判のツイートも存在する
「大西つねき氏の件で私が一番気になったのは、一部のれいわ支持者たちが『たった一度の「失敗」で除籍すべきではない』という主張をしていたことだ。大西つねき氏の『失敗』とは、『自分の思想をさらけ出してしまったこと』出会って、その思想を持っていたことは『失敗』ではない。『致命的』なのだ」
このツイートに対し、岩上自身は次のように返信している。
「その通りである。大西氏は、生命の選別の思想を持っていることも、それを公然とアピールしたことも、失敗とも思っていない。だから、動画を再公開する。結局、れいわの一部支持者にとって、生命倫理は些事に過ぎないのだろうな。彼らにとって大事なのは、結局のところ、大西氏の語るカネの話」
大西氏の動画内での発言は「生命選別しないと駄目だと思いますよ、はっきり言いますけど」、「何でかっていうと、その選択が政治なんですよ。選択しないで、みんなにいいこと言っていても、多分それ現実問題としてたぶん無理なんですよ」というものだ。
17日の会見では「最後の出口を少しだけ緩める」などと釈明し、これに同調し追随する意見も数多く見られますが、前述の京都のALS患者を医師が「嘱託殺人」した事件でもお伝えしたように、「医師による安楽死の4要件」は、判例で明確に示されている。この要件をすべて満たさない限り、どれほど言い回しを変えてみたところで、それは犯罪としての「殺人」であることに変わりはない。
優生思想を持った医師による、ALS患者の殺害事件を受けて、岩上自身は、以下のようにツイートしている。
「大西つねき氏が命の選別を動画で主張して、れいわを除籍されたが、大西擁護論者が続出。高齢者や障害者を淘汰しようとする恐ろしい風潮が広がっていると感じたが、実際に難病患者を『安楽死』させた医師が逮捕された。まさにこれが大西が政治によって行うと宣言した生命の選別。殺人そのもの」
これに対してフォロワーの方から「安楽死の決定権は個人にあるので、政府による命の選別とは話を分けたほうがいい」との意見が寄せられましたが、岩上安身は次のようにリツイートした。
「『安楽死の決定は個人にある』というのは大間違い。当人の意志が不明な状況で延命を中止すれば殺人罪。すでに過去に医師が逮捕起訴され、判決も下っており、判例も確立している。生前に当人が延命治療を拒むとする意思を明らかにした場合は尊厳死。しかし日本では法制化されず、実行すれば同じこと」
また、「本人が決める死を認めてはどうかと思う」との意見には、次のようにリツイートしている。
「『本人が決める死』は単なる自殺。自殺は認めようと認めまいと、決行してしまう人は決行してしまう。なぜ、政治的に法的に社会的に、自殺を認める必要がある?大西氏は政治で生命の選別を行うと言い切っている。自殺を公的に認めたが最後、自殺の強要が必ず起こる。特攻も玉砕も強要された自殺だった」
そして岩上安身は以下のようにツイートしている。
「まさに鬼畜が増えています。自分だけは殺されないと思っている馬鹿だけが、他者の生命の選別支持を声高に叫ぶ」
大西氏の「命の選別」発言については、ぜひ以下の記事もあわせてご覧いただきたい。