2020年6月24日19時より、たんぽぽ舎主催の「小池百合子東京都知事、追悼文送付拒否~『TRICK―トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』1923年関東大震災と朝鮮人、中国人、社会主義者らの虐殺~」が開かれ、『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(2014年、ころからhttps://amzn.to/3gQ5fON)の著者・加藤直樹氏が講演を行った。
加藤氏はこの講演で、現在氾濫する「在日朝鮮人」に対するヘイトスピーチの中で最も古いものである、関東大震災時に「朝鮮人虐殺がなった」とするデマを歴史的に検証した。
加藤氏によると、「朝鮮人虐殺否定論」や「朝鮮人暴動論」は、2009年に産経新聞出版から工藤美代子氏による『関東大震災 「朝鮮人虐殺」の真実』が出版されたことをきっかけに、急激に広まったとのこと。
加藤氏は、こうしたデマがどのようにして誕生し、維持されてきたのかを歴史的史料の性質を説明しつつ、ウソを本当に変えてしまう「トリック」を、ひとつひとつ丹念に論破していった。
加藤氏によると、関東大震災が起きた当初は警察も「朝鮮人暴動の噂」を信じて警戒を呼びかけており、新聞もまた聞きした内容を事実として伝えていたという。しかし1週間もすると、「鮮人の爆弾、実は『りんご』」など、朝鮮人暴動に関する噂がデマであることが報道の中でも常識となった、と加藤氏は説明する。さらに、新聞社は各地で朝鮮人虐殺が起きていたことを報道しはじめたというのだ。
1923年11月の司法省の報告には「朝鮮人により計画的な暴動はなかった」と記載があることを加藤氏は指摘する。さらに重要なことは、「数千人の朝鮮人が歩いていた」とか「井戸の毒で家族が死んだ」と証言したものは一人として存在しなかったという事実だ。こうして事実の検証が難しいことではないことを示した上で、加藤氏は「虐殺否定論」のからくりを説いて見せた。
加藤氏は今回の公演のタイトルにもなっている『TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから https://amzn.to/2ZV2Awf)という著書を2019年に出版している。
また、IWJでは、岩上安身によるインタビューとともに、朝鮮人への虐殺が行われた東京各所でロケを行っている。
今回の講演でも詳しく検証された小池都知事をはじめとする追悼文送付拒否問題に関連して、IWJでは政治家による歴史修正主義を検証した加藤氏の寄稿記事を公開している。
同じく追悼文送付拒否問題に関連して、排外主義右翼団体「そよ風」が「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」を開催するようになったことから都が「そよ風」と「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」の双方に「トラブルを避ける」旨の誓約書を都が要請した件について、加藤氏がとりまとめた声明がこちら。
他にも、IWJでは今回の講演に関連した記事を公開している。ぜひ、あわせてご覧いただきたい。