下地真樹氏 釈放会見 2012.12.29

記事公開日:2012.12.29取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/澤邉)

 JR大阪駅前での行動が威力業務妨害などに相当するとして、逮捕・勾留されていた、阪南大学准教授の下地真樹氏ほか1人が、処分保留で釈放されたのを受け、2013年12月29日(土)13時から、大阪市西区にある生コン会館で「釈放歓迎・報告会」が開かれた。下地氏は不当逮捕への抗議の声を上げた市民有志らに感謝の意を表明する一方で、「不当逮捕は、冤罪であることを説き明かす能力が十分でない点に付け入ったもの」と語った。

■全編動画

2分~ あいさつ/15分~ 下地氏のはなし/30分~ もう一人の釈放者のはなし/56分~ 質疑応答
  • 日時 12月29日(土)13:00~
  • 場所 生コン会館(大阪府大阪市)

 下地氏らが逮捕された経緯はこうだ。昨年10月17日、大阪市による震災がれき受け入れに反対する下地氏と数10人の市民グループは、JR大阪駅に集まった後、大阪市役所に向けて歩いていたという。その際、駅構内のコンコースでデモ行進を行ったとされ、これに威力業務妨害と不退去の容疑がかけられ、逮捕された。市民グループ側はこれに対し、「駅構内では、隊列を組んでおらず、デモ行進は行ってはいない。構内の監視カメラの録画が何よりの証拠」と主張している。

 この一件はすぐにインターネット上で話題となり、「約2カ月も前の行為で逮捕されるなんて解せない」「市民活動への弾圧以外の何物でもない」「表現の自由を踏みにじるもの」といった、この逮捕を不当と断じる議論が沸き上がった。

 この日の報告会で下地氏は、自分への逮捕状を見た折の印象について「被疑事実はあいまいな文章で書かれていた。この程度で逮捕状が出せるのかと思った」と語った。そして、逮捕状に書かれている内容の誤りを、その当人が第三者に説明することはかなり難しいと指摘した上で、「だからこそ警察は事件をでっち上げて誰でも逮捕できてしまう」と強調した。

 取り調べ室の雰囲気を「独特なもの」と表現した下地氏は「自分は精神的にタフな部類に入るし、舌先で生きているようなタイプの人間だが、実際の取り調べでは、『自分の力を過信するな、慎重になれ』と自分に諭した」と述べ、最初はかん黙に徹したと明かした。そして「ごく普通の人が、いきなり取り調べ室に放り込まれたとして、その人が取調官の圧力に、冷静かつ戦略的に対処できるかといったら、それは無理だ。話したほうが有利になるという面はあるのかもしれないが、それは、かなりの訓練を積んだ者にしか当てはまらない話だ」とも語った。

 さらに下地氏は「自分は絶対に悪くないという確信があったことと、外部に同志が大勢いることが心の支えになった。私を起訴したとして、それが市民グループなどからの批判の喚起につながることを検察側は恐れている」とし、今回の釈放には、下地氏ならではの特殊性が働いていることを示唆。なお一連の言論弾圧で、がれき受け入れに抗議した仲間の中から起訴された者が出ていることについては、「警察の面子によるものに違いない。令状逮捕までしておいて誰も起訴できないのは、彼らにとって不名誉なことだからだ」との見方を示した。

 「私たちの逮捕は不当だったが、内側から警察を見ることができたのは大きな収穫だった」。下地はこう話すと、「警察官は政治活動に関しては当局から厳しく戒められており、原発がらみに関する情報にも疎い。つまり彼らの場合、何が正義であるかを判断する際の材料はきわめて限定的で、そうなると警察という組織はカルト化してしまう」と指摘した。自身の取り調べでも、過激派とのつながりを執拗に問うてきたという点にも言及し、「オウム事件を未然に防げなかったことに根ざした警察のトラウマだろう。彼らは見当違いの恐れをわれわれ市民グループに抱いている」と苦笑した。

 今後について、下地氏は「暴力的な権力発動に萎縮することはない」と明言した上で、「大阪市による震災がれきの受け入れに抗議を続けていく」と強調した。

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「下地真樹氏 釈放会見」への1件のフィードバック

  1. コイケタ七味 より:

    さすが関西! …と言っていいのかどうか、とにかく爆笑会見なのだ。
    ”何もしてない”のに逮捕され、20日間も不当にも勾留されていた、”モジモジ先生”こと下地真樹さんと、”うしさん”ことNさんの、釈放会見。
    勾留中の取り調べの様子や、同房になった人たちの話、これが抱腹絶倒!! そしてもちろん、「中」でしか得られない知見、下地さん、Nさんでなければ指摘できない鋭い視点も満載。
    原発反対、放射能の拡散反対、がれきの広域・焼却処理反対、食べて応援反対、福島の人に避難の権利を……これらの声をあげている方にとっては、いまや『逮捕』は他人事ではない。
    どう考えてもおかしいことを「おかしい」と言っているだけなのに、”国策”に反するとして、いつ、どこで、誰が、『逮捕』されるかなんて、わからなくなってしまっている。事実、関西では、2012年9月20日に「オキュパイ大飯」の件に遡っての逮捕に始まり、2013年1月17日現在で、延べ11人逮捕(うち1人は勾留中の再逮捕)、延べ7人起訴(うち1人は2件起訴)、6人がいまも勾留中ーー。

    おかしいと思うことを「おかしい」と言えない社会になってしまう前に、見て、共有して、自分のこととして捉え直しておくべき動画です。
    (とにかく面白い、という点だけでも、一見の価値大あり!!です…ww)

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