「門川大作陣営は法律違反をしてでも勝利すればいいと考える無法集団なのか」という疑問が浮かんできたのは、京都市長選の投開票が3日後に迫る1月30日。ホテルで開かれた門川氏の総決起大会で、支持団体「未来の京都をつくる会」会長の立石義雄・京都商工会会頭が「われわれ門川陣営は、国際都市京都の市庁舎に赤旗を立ててはならないと思っております」と切り出し、門川氏への支持を呼び掛けた。
(ジャーナリスト・横田一)
「門川大作陣営は法律違反をしてでも勝利すればいいと考える無法集団なのか」という疑問が浮かんできたのは、京都市長選の投開票が3日後に迫る1月30日。ホテルで開かれた門川氏の総決起大会で、支持団体「未来の京都をつくる会」会長の立石義雄・京都商工会会頭が「われわれ門川陣営は、国際都市京都の市庁舎に赤旗を立ててはならないと思っております」と切り出し、門川氏への支持を呼び掛けた。
この「未来の京都をつくる会」は26日に京都新聞に「大切な京都に共産党の市長は『NO』」と銘打った「反共」広告を出した政治団体。「ヘイトスピーチ」「赤狩り」などと批判が噴出した上、顔写真付で登場した多くの推薦人に内容が知らされていなかった。その一人の日本画家の千住博氏が「特定の党を排他するようなネガティブキャンペーンには反対。この様な活動に同意しているような意見広告に、許可なく無断で掲載されたことを大変遺憾に思います」とネット上で抗議したのはこのためだ。
29日の京都新聞の記事「京都市長選で『共産党NO』広告 推薦人『事前に内容知らぬ』」は、「28日までの京都新聞社の取材に、内容を承知していたとしたのは立石氏のみ」と報じられている。この立石氏を唯一の例外として、前出の千住博氏を含め、顔写真と名前を出された推薦人のほとんどは、「反共」広告の内容を知らされていなかったと思われる。
ヘイトスピーチ紛いの「反共」広告に「確信犯」的に名前を連ねた立石氏は、筋金入りの「反共」主義者であるらしい。4日後の30日の総決起大会でも「共産党推薦の福山和人市長誕生なら市庁舎に赤旗が立つ」という主旨のヘイトスピーチを行った。
しかも立石氏が「市庁舎赤旗発言」をしたのは、この日が初めてではない。19日の門川氏の出陣式でも同じ発言をしていたことをメディアが報じ、25日に京都で応援演説をした志位和夫委員長の囲み取材でも質問が出たほどだった。
記者「相手(門川)陣営が『福山さんが市長なったら市役所に赤旗が立つ』と言っているのですが?」
志位氏「ずいぶん古い話を、古い攻撃を持ち出しているなと。半世紀前とちっとも変わりはない。共産党が与党の自治体が全国で沢山ありますが、どこにも赤旗が立っているところはないでしょう。建ったのは保育園であり、高齢者の施設です」
要するに門川陣営トップの立石氏は、現実に起きていない絵空事を頭の中で妄想し、まるで近い将来に現実に起こるかのように印象づける虚偽情報を垂れ流したといえる。ちなみに総決起集会の参加者は約千人(主催者)。特定の候補を当選あるいは落選させるために、ウソを広めることを禁じる公職選挙法(虚偽事実流布)に違反する可能性があるのではないか。
「法律違反をしてでもとにかく勝利すればいい」という“勝てば官軍方式”(あるいは違法タックルで有名になった“日大アメフト方式”)を採っているようにみえる門川陣営は、「無法集団」「犯罪容疑者軍団」と呼ばれても仕方がないのではないか。
千住氏ら多くの推薦人の了解なしに顔写真を載せた「反共」広告も、公選法違反の疑いがある。顔写真と実名が明記されていれば、当然、広告内容にも賛同していると一般的読者は考える。「千住さんも『共産党の市長NO』と言っているなら、福山氏ではなく門川候補に投票しよう」と判断する有権者が出てきても不思議ではないからだ。立石氏の「市庁舎赤旗発言」も、立石会長の政治団体が出した「反共」広告も、虚偽事実流布を禁じる公選法違反の疑いがある。
勝つためには手段を選ばないと言わんばかりの「仁義なき戦い」を展開中の門川氏にも、聞いてみた。30日の総決起大会後、支援者との握手を終えたところを直撃、「反共」広告に対する見解を求めた。
横田一「新聞広告OKしていない人が出ている件についてはどうですか?千住さんが抗議していますが。おかしいのではないですか?」
門川候補 無言
スタッフ「危ないですよ。危ない」
横田「公職選挙法違反じゃないですか? 虚偽事実の流布で。(千住さんらの写真が載った新聞広告の)内容をOKしていないではないですか?」
門川候補 無言
スタッフ「危ないから。危ないですよ」
横田「聞いているのですよ。新聞広告について一言。(内容について)了解を得ていない人を載せていることについて、一言、お願いします」
門川候補 無言
スタッフ「急ぎますので」(エスカレーターに門川候補が乗る)
横田「門川さん、新聞広告、了解なしで載せている件、一言、お願いしますよ。おかしいじゃないですか。千住さんが抗議していますが。(虚偽事実流布を禁じた公選法の)法律違反でもいいのですか? 本人の了解なしに出したら公職選挙法違反、虚偽事実の流布にならないですか?」
門川候補 無言(ワゴン車に乗り込んで走り去る)
これだけ問題になって報道もされている新聞広告について、門川氏は一言もコメントしなかった。総決起大会中も、門川氏を含む弁士の誰も新聞広告について釈明や謝罪をしなかった。
ちなみにホテルの会場で配布されていたカラーのチラシは、「反共」広告の「大切な京都に共産党の市長は『NO』」の上部分を削除して、それより下にある「地下鉄延伸」「北陸新幹線延伸」「文化庁本格移転」を列挙した部分は残す体裁となっていた。都合が悪い部分をこっそり切り捨てる一方、十分な説明責任は果たさない姿勢が垣間見えた。
アベ自民党が選挙で古めかしい反共攻撃を仕掛けてくるのは日常茶飯事だが、今回の京都市長選で際立つのは立憲民主党と国民民主党と社民党とが、府連推薦とはいえ、ヘイトスピーチ紛いの「反共」広告を出す門川陣営に加わっていることだ。
野党第一党の立民の福山哲郎幹事長(参議院京都選挙区)は28日の会見で、「反共」広告について聞かれて「違和感を覚えている」と答えた。
野党第二党の国民民主党の玉木雄一郎代表は、どうとらえているのか。29日の会見で、「反共」広告について、北陸新幹線京都延伸問題も含めて聞いてみた。 横田「26日に京都新聞に新聞広告が出た京都市長選候補の門川支持団体の広告の中に、『共産党の市長「NO」』と。ここに国民民主党京都府連の名前もあるのですが、原口(一博)国対委員長はこれに対して疑問を呈して、『党幹部がOKしていたのか』等とツイッターで書いているが、この点をどう思うのか?
経緯を含めて聞きたいのと、新聞広告の中で『共産党系市長が誕生すると北陸新幹線延伸が京都まで来なくなる』という主旨の内容があるが、北陸新幹線は今の『小浜ルート』は財政上も新規建設が多くて負担が多いとか、水枯れ問題を起こすのではないかという問題もあって『米原ルート』よりもはるかに劣っている。自民党の土建政治の象徴みたいな事業だと思うが、これを推進する門川候補を国民民主党が応援していることについて、2点、おうかがいしたい」
■原口議員のツイート(2020年1月26日)
①良識を疑う広告。ヘイトではないか?
②この広告に国民民主党や立憲民主党の名前?どういう経緯で名前が出ているのか?機関決定をしている?事実ならその責任を問われるだろう。要調査。
③下のACの広告は何?上の広告とあたかも関連するかのように私には見えるが偶然なのだろうか? https://t.co/2NLGHlJmE2
— 原口 一博 (@kharaguchi) January 26, 2020
玉木代表「まず京都市長選については党本部としては、公認も推薦も行っておりません。ですから、この点については地元の事情を踏まえて地元の府連を中心に対応していることだと思いますので、党本部としては特段コメントすることはありません。
北陸新幹線について、それぞれの候補者の政策についてコメントすることは差し引け得たいと思います。党本部としては公認も推薦も行っておりませんので、私の方から承知もしておりませんし、コメントすることは差し控えたいと思います」
横田「原口さんは国対委員長として、党幹部として『問題だ』と言っているのですが、玉木代表のお考えを聞きたいのですが。党幹部が了承していないものが、『京都府連』とは言え、名前が出れば、党にとってマイナスイメージになるのではないか?」
玉木代表「繰り返しになりますが、党本部としては、京都市長選についてはコメントをしておりませんので、コメントは差し控えたい」
共産党を含む野党共闘(選挙協力)を地元で進めている野党国会議員からは「京都市長選で野党共闘を壊すのか」という怒りの声が出ているが、福山氏も玉木氏も、与野党相乗りによる悪影響について十分な説明責任を果たさなかった。
「市庁舎赤旗発言」や「反共」広告など公選法違反の疑いがある反共デマ攻撃を仕掛ける門川陣営の一翼を、野党三党の立民・国民・社民が担うという奇妙な光景(珍百景)が出現している京都市長選――2月2日の投開票結果が注目される。
岩上安身は2019年11月18日、福山和人候補にインタビューを行っている。こちらもぜひ、あわせてご覧ください。
また、IWJがこれまで報じてきた京都市長選については、以下のYouTube動画もぜひ、ご覧ください。
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■現市長による高止まり国保! 赤ちゃんにも課税の「均等割り」廃止を市予算のわずか0.1%で! 再エネは北山杉間伐材活用を!! 岩上安身による京都市長選候補予定者・福山和人弁護士インタビュー!4/15
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■「非正規雇用率全国1位の京都で、貧困対策など市民生活を全力応援!」岩上安身による京都市長選候補予定者・福山和人弁護士インタビュー! 8/15
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■「リニアや北陸新幹線は採算取れない!? 遺跡と伏流水あふれる京都の地下で工事する愚! 既存インフラ維持で手一杯の予算!」岩上安身による京都市長選候補予定者・福山和人弁護士インタビュー!11/15
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■時給をまず1000円!そして1500円に! 暮らし応援『すぐやるパッケージ』! ないのはお金じゃなくて(現)市長のやる気だ!」京都市長選 無所属 福山和人候補 街頭演説
■「中学卒業まで子どもの医療費無料、歯科治療も含む! 福山さんが何を見てきたか何を変えたいかここに詰まってる!」京都市長選でれいわ新選組代表・山本太郎氏が無所属 福山和人候補を熱烈応援演説!
■「30年後の北陸新幹線よりも、まずバスを、というのが皆さんの願いやないですか?」京都市長選 無所属 福山和人候補が街頭演説で訴え!(四条烏丸)
■本邦初公開!! 中小企業の賃上げ補助を京都市がやります!! 京都市長選 無所属 福山和人候補 個人演説会(左京区・養正小学校)2020.1.26
■困った人が生きやすければ普通の人も生きやすい!! 中学卒業まで医療費無料!! 京都市長選 無所属 福山和人候補 街頭演説(京都市役所前)―応援 香山リカ氏(精神科医)2020.1.26
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