2012年12月23日(日・祝)、東通原発などで原発敷地内の活断層の存在が問題となる中、青森市の青森県労働福祉会館において、渡辺満久氏(東洋大学教授 変動地形学)の講演会が行われた。渡辺氏は、これまでの事業者や規制組織、審査にあたった学者らが、いかに稼動ありきで不適切に調査や審査を進めてきたかを、下北半島をはじめとする各地の原子力施設の調査や、審査した委員とのエピソードを交え具体的に指摘した。講演後、質疑応答に続いて記者会見も行われ、IWJ青森の中継市民や大手メディアから活発に質問が飛んだ。
2012年12月23日(日・祝)、東通原発などで原発敷地内の活断層の存在が問題となる中、青森市の青森県労働福祉会館において、渡辺満久氏(東洋大学教授 変動地形学)の講演会が行われた。渡辺氏は、これまでの事業者や規制組織、審査にあたった学者らが、いかに稼動ありきで不適切に調査や審査を進めてきたかを、下北半島をはじめとする各地の原子力施設の調査や、審査した委員とのエピソードを交え具体的に指摘した。講演後、質疑応答に続いて記者会見も行われ、IWJ青森の中継市民や大手メディアから活発に質問が飛んだ。
■全編動画
渡辺氏は、ボーリング調査の結果の恣意的な解釈や、岩石の膨張(膨潤)による地層のずれという例のない説明などによって、活断層の「値切り」や無視が行われ、不適切な調査・審査が多くの原子力施設で横行してきたという。例えば、渡辺氏は、青森の下北半島について、かつての海岸である海成段丘の分析から大間原発周辺が地震により隆起を繰り替えし日本で最大級の傾斜を作っているとし、また、六ヶ所核燃料サイクル工場付近では、地下の断層による地面のたわみ「六ヶ所撓曲(とうきょく)」が認められ、下北半島東部の巨大な「大陸棚外縁断層」と関係があるだろうとするが、事業者や規制組織はこれらを認めずにいる。
敦賀原発・東通原発と敷地内の活断層の存在を相次いで認めた島崎邦彦・原子力規制委員会委員長代理を座長とした有識者会合の評価結果に対しては「はじめて科学的に検証され、まともな結果が出た」と評価し、事業者からの科学的検証を欠くという批判は当たらないとした。一方、規制委で策定中の新たな安全審査基準に関連して、断層がずれても安全性を工学的に検討すればよいという議論に対しては、飽くまで「(まず)理学的に健全な土地を選び、(それから)工学的に安全なものを作る」べきだとして、審査が「昔に戻っていく」ことへの懸念を表明した。