テレビは民主主義の味方ではなくなった! 民放連が衆院憲法審査会で、「国民投票運動の放送対応の検討作業はこれで一区切り」と表明! テレビCMの量的な自主規制なしに改憲が発議されれば、緊急事態条項創設へまっしぐら!! 2019.5.16

記事公開日:2019.5.16 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 憲法改正の国民投票法改正案をめぐって、5月9日、衆議院憲法審査会が開かれた。参考人として出席した日本民間放送連盟(民放連)専務理事の永原伸(しん)氏は、国民投票のテレビCMの規制について、次のように述べた。

 「2007年5月に成立した国民投票法の立法当時の議論では、広告合戦のような事態になっても、それは言論の自由市場で淘汰されるべきであって、安易な規制は国民の表現の自由を脅かすという考え方が、自民党、公明党、民主党の法案提出者の一致したお考えだったと理解している」

 さらに永原氏は、「民放連は昨年9月20日、国民投票のテレビCM規制について量的な自主規制はしない方針を決定して以来、国民投票運動の放送対応について進めてきた検討作業はこれで一区切り」だと述べた。量的な自主規制は必要ないという民放連の方針に変化はないということだ。

▲日本民間放送連盟専務理事・永原伸氏(中央)、民放連理事待遇番組・著作権部長・田嶋炎氏(右)(衆議院インターネット審議中継より)

 立憲民主党の枝野幸男議員は、自身が「国民投票法立法当時の野党側(当時、民主党)の責任者だった」ことを踏まえ、民放連の方針を次のように批判した。

 「我々としては量的な自主規制がなされるという前提でいた。前提にしていたことと違うとなると、現行の国民投票法は欠陥法ということにならざるをえない。したがって、現行法のままで国民投票法は施行できないことになる」

 共産党の赤嶺政賢議員は、「資金力によって、賛否のCMの量が偏る」を指摘しつつ、日本弁護士連合会(日弁連)が今年1月18日付で取りまとめた意見書を引き合いに出して、追及した。

 「日弁連は、仮に改憲の賛否のいずれかの広告のみが出稿された場合、そのまま片方の広告のみを放送することになるのか、と疑問を呈している。仮にそのまま放送すれば、放送法4条などに抵触することになりうると指摘している」

 この赤嶺議員の指摘に対して、民放連理事待遇番組・著作権部長の田嶋炎(ほのお)氏は、「賛否どちらかの広告であふれかえるというのは、にわかには想定しにくいというのが率直な感想」だと述べ、「広告媒体は様々」だから、「広告を出稿する側の広報戦略は、媒体側ではコントロールできない」と、言葉を濁した。

 また、社民党の照屋寛徳議員が、「民放連は、公平性を確保するための自主的な努力と必要な検討を尽くしてきたとお考えか?」と質問すると、田嶋氏は「現時点でやらなければいけないことは、一応やり終えたという自覚でいる」と回答した。

 野党議員らが民放連の方針に疑義を呈していた一方で、改憲積極派の「ゆ党」日本維新の会の馬場伸幸議員は、CM規制議論に冷水を浴びせた。

 「CM規制の議論で憲法審査会がだらだらと開催されるのではないかと大変心配している。審査会の本来の目的は改憲項目を議論、審査すること。同時並行的にCM問題以外の問題も片づけていくべきではないか」

 維新は2019年4月、大阪スワップ選に勝利した直後から、突如、安倍晋三政権下での改憲を声高に呼びかけるようになった。

 大阪維新の会政調会長の吉村洋文大阪府知事は4月9日、改憲について「ダイナマイトみたいにボカンと国会でやりたい」と公言。自称「私人」で維新の「生みの親」である橋下徹氏は、AbemaTVの番組「News BAR 橋下」(4月11日放送)で、「大阪の公明党をすべて落選させて、憲法改正!」と訴えている。

 維新が改憲に向けて安倍政権の背中を押しているところで、民放連がテレビCMの自主規制に消極的な対応をすれば、改憲勢力はますます有利になる。

 記者クラブ所属の現役新聞記者・伊藤直也氏(仮名)による「ディープレポート」では、今年夏に衆参ダブル選が行われ、改憲勢力が圧勝して改憲発議に至るまでのシナリオが、詳細に描かれている。緊急事態条項を含む自民党の改憲案が発議される危機は、今や目前に迫っているのだ。

 今年夏の参院選まで3ヶ月を切った。ぜひ「ディープレポート」をお読みいただき、拡散にご協力をお願いしたい。

 また、豊富な資金を持つ改憲勢力が圧倒的に有利となっている国民投票法の問題については、岩上安身がノンフィクション作家で元博報堂社員の本間龍氏にインタビューを行っているので、ぜひご覧いただきたい。

 以下に、憲法審査会の実況ツイートを掲載する。

 本日の憲法審査会には、憲法改正の国民投票のテレビCM規制をめぐって、日本民間放送連盟(民放連)の永原伸・専務理事と、田嶋炎・同理事待遇番組・著作権部長が参考人として出席します。

永原氏「私どもは昨年12月20日の理事会で、憲法改正国民投票運動の放送対応に関する基本姿勢を決定した。本年3月20日の理事会では、国民投票運動の取り扱いに関する考査ガイドラインを決定した。この二つを説明して、CM規制に対する民放連の基本的な考え方を申し上げる。

 国民投票法105条では、改憲について意見を述べる、いわゆる意見広告を直接的には禁じていないことになる。しかし、投票日前の14日間に改憲の意見CMが放送されれば、国民、視聴者が戸惑うのではないかと考えた。

 105条の趣旨は、投票日直前は言論の自由市場で淘汰する時間的余裕がないので、放送を禁止して、国民がクールダウンする時間を設定するということと理解している。そのため、意見広告のCMなども、投票日前14日間は放送しないことを推奨した。

 放送法で定められた範囲内で自主規制を行っていく所存で、法令による規制は望ましくないと考える。放送事業者の表現の自由を侵害する恐れがあるからである。メディアに対する、行政府や立法府による不当な介入を排除するため、常に自主自立の存在でなければならない。

平沢勝栄氏(自民)「『基本姿勢』と『ガイドライン』という二つの文書は民放連加盟事業者をどれほど拘束するのか?また、『推奨』という表現は弱いのではないか?事業者によって判断が分かれると思うが、それについてはどう考えているのか?」

田嶋氏「最終的には加盟事業者が自主的に判断することになる。『基本姿勢』で自主的に規制する。各事業者が判断する上でも、それなりの合理性、説得力があると思う。実務上の実効性については、拘束力と同等のものがあると考えている」

枝野幸男氏(立憲民主)「量的な自主規制をするという前提で、法規制をしなくていいだろうというのが、当時の現行法立法者である私の明確な意思である。これが『当時の個人の意見であって、そうではない結論になってごめんなさい』というならば、今の法律が欠陥法だということになるのか?」

田嶋氏「そのようには認識していない。日常的に放送事業者が放送法で義務付けられている番組基準、あるいは日常的な運用の中で対応する。その中で量も要素になるかもしれないが、全体の自主基準のありようを検討しなければならないと理解している」

枝野氏「我々としては量的な自主規制がなされるという前提でいた。前提にしていたことと違うとなると、現行の国民投票法は欠陥法ということにならざるをえない。したがって、現行法のままで国民投票法は施行できないといえる。当時の立法意図を明らかにする必要がある」

赤嶺政賢氏(共産)「有料広告については、潤沢な資金力がある方が有利ではないかと危惧されている。資金力によって、賛否のCMの量が偏る。あるいはCMでの意見表明の機会が制限されてしまうことについて、どうお考えか?」

田嶋氏「絶対量については、特定の広告主に、CM枠のほとんど全部を買い占められるというようなことは、私どもの感覚では想定できないこと。仮に資金力のある方がいたとしても、放送全体がそれで埋め尽くされることはないと考えている」

赤嶺氏「日弁連は、仮に改憲の賛否のいずれかの広告のみが出稿された場合、そのまま片方の広告のみを放送することになるのか、と疑問を呈している。仮にそのまま放送すれば、放送法4条などに抵触することになりうると指摘している。この指摘についてどうお考えか?」

永原氏「賛否どちらかの広告であふれかえるというのは、にわかには想定しにくいというのが率直な感想である。広告媒体は様々。新聞やインターネット広告に予算を割くこともあるだろう。交通広告もある。広告を出稿する側の広報戦略は、媒体側ではコントロールできない」

馬場伸幸氏(維新)「CM規制の議論で憲法審査会がだらだらと開催されるのではないかと大変心配している。審査会の本来の目的は改憲項目を議論、審査すること。同時並行的にCM問題以外の問題も片づけていくべきではないか」

照屋寛徳氏(社民)「国民投票法105条、期日前の14日間の規制に関して、勧誘CMと非勧誘CMを厳格に区別できるか?」

田嶋氏「国民投票に関連する認識される蓋然性が高いCMについては、あえて厳格な定義をせず、直前14日間は自主的に放送しないように決めている」

照屋氏「テレビ、ラジオの有料広告について、民放連は、公平性を確保するための自主的な努力と必要な検討を尽くしてきたとお考えか?」

田嶋氏「現時点でやらなければいけないことは、一応やり終えたという自覚でいる」

以上

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