2018年8月6日(月)東京弁護士会館にて東京優生保護訴訟 第1回期日後の集会が行われた。
戦後の昭和23(1948)年、国民優生法に代わり、優生保護法が制定され、不妊手術の実施が推し進められた。制定の趣旨について当時の法務省担当者が次のような説明をしている。
「劣悪な子孫の出生だけしか考えられないような人々の間においては、折角の優生手術が少しも顧みられず、いわゆる悪魔の饗宴が繰り広げられ、無節制無反省な繁殖が続けられて行くとすれば、そこに招来されるものは民族の逆淘汰という事実であるということは、火をみるよりも明らかなことに属する」
「劣悪な子孫の出生だけしか考えられない」と政府から一方的に決めつけられる「人々」とは誰のことなのか。そうした男女が愛しあい、睦みあってセックスをすることを「悪魔の饗宴」と呼び、子供が生まれる喜びについて、「無節制無反省な繁殖」となじる。この男は、何の権利があって人の基本的人権をかくまで、憎々しげに踏みにじるのか。 「異常」なサディストではないか。
法務省の担当者の説明は、さらにこう続く。
「ここにおいて優生手術を為し得る機会と事由を、積極的に拡大強化して、本人又はその配偶者が希望する限り、容易く優生手術を受け得るような途を開くばかりでなく、国民優化の面から必要あれば、進んで積極的に優生手術を勧奨乃至強制し得る途をも拓かねばならないし、その為に必要な経費の支出を惜しむべきではない、ということが強く要請される。そして今や民族の逆淘汰を防ぎ国民優化の理想に向かって前進する上に、最も有効適切な対策を採ることが、喫緊の要請とされるに至った」(法務省刑事局参事官・高橋勝好『詳解優生保護法』中外医学社1952年)
東京原告の北三郎氏(仮名)は「私自身、40年連れ添った妻にさえ、彼女が亡くなる直前まで手術のことを打ち明けることが出来ず、申し訳なく思っています」「裁判官の皆様には、まず、個人の意に反して生殖機能を奪うという、人を人とも思わないこの法律が、いかに人々を傷つけてきたのかをご理解いただきたいです。そしてこの裁判を、全国に埋もれている多くの被害者に救いの手を差し伸べるような、希望のある裁判にしていただきたいと思います」と訴えた。
熊本の全国被害弁護団弁護士・松村尚美氏は「法律そのものがおかしい、それに従う手術もおかしい、そしてそれを救わなかったこともおかしい。優生手術は『残虐な刑罰』に等しい。当時これを決めた国こそが『悪魔』だったのだ」と断罪し、強くその非を訴えた。
「この裁判は優生思想を問うている。優生思想は過去のものではない。現在もいきている。我々がすべきことは、障害者が生まれることを止めるのではなく、障害者が生まれてきても一緒に生きていける社会を作ることで、マスコミの方々には心の中にある優生思想を、問い直すような報道をしてほしい」と松村弁護士は、そう声を震わせて訴えた。
「異常」なサディストたちに、強権を与えてはならない。あるいは国家権力を思いきりふるうこと、ふるえる状況によって、サディズムがこのように肥大化することを許してはならない。憲法がないがしろにされる、わけてもその柱である基本的人権がないがしろにされつつある今の時代に、決して忘れてはならない戒めである。
恐ろしい日本の闇! 優生保護法下での強制不妊手術は約1万6500件!? 国の違憲人権侵害施策によって強制的に生殖機能を奪われた!! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/429038 … @iwakamiyasumi
この息苦しい競争社会には優性思想が今も昔も根付いている。ドイツから遠く離れた日本でホロコーストは静かに行われていたのだ。
https://twitter.com/55kurosuke/status/1036572251959640064