「災害の際にはつくづく地域に密着した『関係性』というものが何より大事」福岡・大分を襲った大豪雨!「重大な危険差し迫った異常事態」地域で何が!? 大分県日田市在住のN・Mさん写真ルポ! 2017.7.8

記事公開日:2017.7.8取材地: テキスト
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特集 緊急事態条項
※以下、7月6日深夜の岩上安身のツイートを掲載する。

▲大分県日田市の被災地の様子

福岡市は被害なし!しかしうきは市と朝倉市などの農業地域は大打撃!

 福岡市在住のAさんから連絡が入る。NHKは一日中、大雨に関してものすごい集中豪雨報道だけど、地元にいると違和感があると。→気象庁「重大な危険差し迫った異常事態」 | NHKニュース

 今日は一日中福岡から博多あたりにいたという、福岡市在住のAさん。「ニュースはものすごい集中豪雨といってるけど、福岡市内はそうでもない。今日は博多から天神あたりにいたけど、ずっとどんより曇り。昼前頃に一瞬だけ集中的に降ったくらい」

 同じくAさんの話。

 「福岡は、場所によって集中豪雨ということのよう。うきは市、朝倉市あたりはひどいようです。うきは市と朝倉市は、農業地域。仕事で関係のある農家さん伝いに聞いただけなので詳細はわからない」。

 市街地と農村部で大きな差がある模様。

 また、現地からの情報など、入り次第、僕のツィートや速報でお伝えします。具体的な情報のある方、ぜひ、メンションをつけてお寄せください。IWJあてのメールでも結構です。

 福岡県の南部、朝倉市などに限った局地的豪雨。北部の博多市などは今も晴れているという。同じ県内でも落差が極めて大きい。

 九州の福岡県の南部、地域は限定されているが、朝倉市など、山あいから下流域にかけて川が氾濫し、大洪水の様相。家が流されていく映像は3.11の津波の映像を彷彿とさせる。1人でも無事であってもらいたい。

豪雨の原因は「線状降水帯」!大分県北部と福岡県南部の一部は「尋常じゃない状況」〜避難者からの現地報告!

 10時間前に、大分県日田市にお住まいのN・Mさんから直接、メッセージをいただいた。

 「大分県北部と福岡県南部の一部では尋常じゃない状況が夕方(昨日7/5)から続いていて、気象庁の発表も煽っているとは感じていない現状があります。私も仕事のパソコンなど積み込んで車で避難中!

 ちょうど5年前の北部九州豪雨で、ウチも床上浸水になりましたが、今回現時点でその時よりも水位も範囲も雨の時間も量も上回っています。場所でかなりちがうようです」

 N・Mさんからの7月6日深夜12時から1時ごろのメッセージ。

 「日田市の中でも朝倉市に近い北部の被害が大きく、南部は雨も少なかったようです」

 やはり福岡県南部と大分県北部にまたがる局地的な豪雨のようだ。

 7時間、深夜12時から1時ごろのメッセージの続き。

「車に仕事道具を積み込んでいたので、避難所の駐車場は不安があった為、夫婦で近くの高台に車中避難していました。他に数台同じような避難してる車もあり」

N・Mさんからの情報の続き。

「3時間前(昨日7/5の夜9時ごろ)に激しく続いていた雨がやっと止み、今(7/6午前12時から1時ごろ)、自宅近くの無事だった別棟事務所に戻って居ります。自宅に隣接してる事務所の方は残念ながら床上浸水でした」

 日田市の方から、7時間前に「今から少し周辺を見に行ってきます」とメッセージがあり、しばらく連絡が途絶えた。心配していると、その2時間後、午前2時半ごろ、連絡が入る。

 午前2時半ごろの連絡の続き。

 「NHKでも出ていましたが、JRの鉄橋が流されたすぐ近くの家は、たぶん何件も浸かってるかもしれません。 現在市役所には床上2、床下4、全壊1と報告上がってますが、避難されてる方々も多いので.被害の状況は、まだ朝にならないとまったくわからないでしょう。雷がまだ鳴っています。雨は強くはないが降っています。溢れかけていた川は既に水が引いているので少し安心。日田市では行方不明者1名。つい先程(30分前)隣の朝倉市の避難指示が携帯に入ってきました」

 これを最後に、連絡が今は途絶えている。こちらからの連絡にも応答がない。休まれているのだと信じたい。無事を祈る。

 その後、N・Mさんからはご無事であるとの連絡をいただいた。

 今回の記録的な大雨で、福岡県と大分県で合わせて7人が死亡するなど、被害は広がっている。日田市では昨日7日の時点でこれまでに3人が死亡。10の集落が孤立し、市の発表によると133人と連絡が取れないという。

 今回の豪雨をもたらしたのは、積乱雲が次々発生する「線状降水帯」で、停滞した梅雨前線に南から温かく湿った空気が流れ込んだことで雨雲が発達したといわれている。2014年の広島土砂災害や2015年の東日本大豪雨も「線状降水帯」によるもので、条件によっては関東でも発生するという。

 以下、N・Mさんから7月7日にご提供いただいた現地の写真入りルポを掲載する。

3人死亡、いまだに133人と連絡が取れない大分県日田市から現地写真ルポ!

 7/5豪雨発生から7時間後。ようやく雨が小さくなる。

▲7/5の10時頃、JR鉄橋が流された場所から500Mほど上流の少し奥に入った住宅地。

▲1時間後には水が引いた。ここの通りはかろうじて床上はまぬがれた。

▲赤と青の大きなドラム缶が、濁流の端に発生した渦巻く溜まりでずーっとダンスしていた。

 7/6翌日も避難指定の地域は解除されないまま。

▲川の側の民家の庭。アシやゴミが大量に押し寄せて庭を埋め尽くしていた。

▲建物の外から。30cmほどの床上浸水です。中は仕事の書類等ぐっちゃぐちゃです。

▲急いで泥を流したいのだけど、上流の土砂崩れの影響で避難指示がなかなか解除にならず作業が出来ない。土砂崩れで亡くなった43歳消防隊員さんとご家族のことを思うと、泣き言など吹き飛んでしまい、がんばらねばという強い気持ちにさせられる。

▲家の前の私道(道が川と化していた時間帯があるので)には小魚が2~30匹散らばっていた。

▲流された鉄橋のすぐ手前(上流側)。設置されたメモリの一番上をはるかに越えた水位だったことがわかる。

▲流された鉄橋のすぐ手前(上流側)。写真左側へ下りた位置に住宅密集地がありますが、そこへ水がぎりぎり乗り越えてはいないが、道はほとんど削られていた。また、この上流側の写真奥左側の地域で床上浸水が何軒も発生しており、市民が家財道具等を一斉に外へ出してきびきびと作業をしていた。

▲同じく、流された鉄橋のすぐ手前(上流側)。

▲こちらも同じく、流された鉄橋のすぐ手前(上流側)。

▲この橋のすぐ右横に鉄橋があった。近所の方(70代男性)の話によると、鉄鋼の方にがれきがどんどんぶつかり大きな音がして恐かったそうだ。高さは橋と鉄橋ではあまり変わらなかったとのことでしたが、少しの高低差があったようで、そのうちこちらの橋に水が乗り上げ始めたところで避難をしたそうで、鉄橋が流されたはっきりした時間はわからないとのことだった。ワンちゃんを散歩させていて元気そうでホッとさせられた。別の近所の方(60代男性)の話では橋より鉄橋の方が古かったとのこと、70年くらい前のものかなとおっしゃっていた。もちろんこんな事態は始めてだとも。

▲ニュースでも何度も出ていた、流された鉄橋。撤去作業が着々と進んでいた。

▲日田では再来週、300年以上の歴史をもつ「日田祇園」が開催予定。(7/1から山車の小屋入り等準備で既に祭りは始まっています。)長い歴史上、何度も水害や戦争などで中止や、近年は人手不足等で廃止の危機にみまわれてきた祭りです。祭りの真意を無意識に心の中で共有している市民も多い日田だと感じていますし、個人的には、被災者や無くなられた数名の方々の為にも、今後の希望を託しての開催を望んでいます。どうなるかはわかりませんが。

▲前回5年前、2012年7月初旬の北部九州豪雨の影響(日田は2度に渡っての大水害だった)を受け、今も大規模な工事の途中だった場所も大きな被害を受けた。

▲印象的だったのは、どこにいっても田んぼがうまいぐあいに水の涵養の役割を果たしていたこと。ここは土砂が堆積してしまっているが、海のようになっていた多くの田んぼが水が引くと意外なほど苗が元気な姿を現していて、こちらも元気な気持ちになれるような気がした。

▲大きなリュックか何かかと思ってよく見たら、推測ですが昨晩写真撮った、踊る赤いドラム缶と青いドラム缶の、青いドラム缶の方かもしれません…。

▲右側の河川から土砂が乗り上げて道を塞いでしまったが、この先に孤立地域が何箇所もある為、いち早く自衛隊が土砂の撤去を行い、通れるようになっていた道です。

 7月7日、朝。

▲上記の道で沢山の警察車両とすれ違いました。100人規模と思われます。自衛隊の方々も小鹿田(おんた)という孤立地区へ徒歩で一軒一軒安否を確認しながら向かっているとの情報をFBで見ました。本当に感謝です。どうか全ての方々に二次災害がありませんように!!!!

▲夜10時半頃に必要なものを買い物に出た時、福岡からの応援警察車両の数台がたぶん市役所方面に戻ってきたところ?を偶然見かけました。電波も届かない場所の救助はとても大変そうです。本当に感謝です。

緊急事態条項は必要か!? 「災害の際にはつくづく地域に密着した『関係性』というものが何より大事」

 7月7日には、DMで岩上安身がN・Mさんに質問を投げかけた。

岩上安身「大変な災害にあわれ、お見舞い申し上げます。大災害時に、国家が全権を握る緊急事態条項、必要だと感じましたか? 逆でしたか? ちょうどこのタイミングで、自民党は緊急事態条項を含む改憲案の党内論議を始めています。被災者の苦労を、政治利用しようとする感があり、非常に危険だと感じます」

N・Mさん「感覚的な答えになってしまいますが。5年前も今回も同じ事を痛感しています、災害の際にはつくづく地域に密着した『関係性』というものが何より大事だと。隣の人との関係性、地域の消防団員との関係性、地元企業や商店、第1次産業生産者や関係者、一般市民、地元自治体の職員達、市役所職員もこのまちの市民ですし、全てが複雑に関係しあってここに住んでいるので、大変なときに小さいけど重要な細い自助作用が働き思わぬところでとても助けられたりしています。そして次は必ず近くの誰かに返すぞと思うわけです。

 とはいえ、特に大きな災害などは国の力を借りないといけない時もあります。だから、上とか下とか駆け引きとかそういうの抜きにして心を一にして協力する必要があるはずの非常事態の時に、緊急事態条項で本当にうまくいくのか、正直私は強い疑問を感じます。だって今の政権の大事なことの進め方のおかしさをTPPで十分見てきたので。

 6年ぶりに避難先で長い時間テレビを見ていましたが、今なぜ、EUとのEPAなのか。複雑にこじれているはずなのに何故そんなに報道で加速装置働かせる必要があるのか、本当の理由が知りたい…..。

 TPP以外も全てそうでしたよね。国民にとって真に重要な事は国民には参加させないように進める。そんな意図さえ感じますよ、私は。

 『代議士』って、例えば今日、日常生活に戻る為の復旧作業をしながら締切せまる仕事も進めながらの必死な市民の代わりに議論してくれる人なんじゃないの!?︎って何度も流れるEPA大筋合意のニュースに、今まで溜まってるものが大水のように自分から噴出しそうな気持ちになってしまいます。

 自由貿易協定によってチーズがワインが安くなっていいね〜〜で済まされないよと強く思ってる一般市民も沢山いるんですよと、政府の方に言いたい。組織の中にいたとしても、IWJみたいな大資本に左右されない=特定スポンサーが存在せず、財政的に困難な状況下でも頑張ってる人達のように、何らかのかたちで魂で仕事することは絶対に可能だと思う。一部の記者、一部の政治家、一部の官僚さん達、どうか魂込めて仕事してくれ!!こっちも死ぬ気で頑張るから!!!と被災地から訴えさせてもらいたいと思います。

 さて、仕事も少し進めながら、床の泥が乾く前にびしょ濡れの事務所片づけに急ぎ取り掛かるとします!長くなりすみません」

 IWJはこれまでも大災害に便乗し、国民の人権を制約し、逆に国権を強化しようとするあざとい政府の手口に強く警鐘を鳴らしてきた。

 2014年2月、東日本の広範囲で深刻な雪害が発生。同年2月24日の衆院予算委員会で雪害を切り口にして行われた、安倍総理と日本維新の会・小沢鋭仁議員の質疑応答は驚きの展開だった。大雪害の話から、「大災害時には国民主権を停止する必要がある」との議論に発展したのである。

 東日本各地がもっとも深刻な被害に見舞われた2月15日、16日、安倍総理は関係省庁災害警戒会議に出席せず、官邸にも行かず、官邸発の独自の情報発信も行わなかった。

 にも関わらず、安倍総理らは、危機感の足りない自らの対応の遅れについて反省や検証は行わず、大災害時に「国民主権」を制限できるよう検討すると打ち出したのだ。災害を奇貨として、非常時における国家権力の強化に利用しようという意図があからさまに見てとれる。人の弱みにつけ込む火事場泥棒さながらの卑劣さではないか。

 今回も福岡・大分が深刻な災害を受け、宮内庁は7月8日に予定していた、秋篠宮眞子さまのご婚約内定の発表を延期することを決定した。しかし、安倍総理はドイツで行われるG20首脳会合に出席後、帰国を早めることなく、予定通り欧州6カ国を外遊して回るという。

 安倍総理に、被災地の人々の真の苦しみが念頭にあるとは到底思えない。もし今回の災害を受け、「緊急事態条項」の必要性に言及した場合、そこには憲法を改悪し、国民から主権と人権を奪うという、おそましい政治的な目的があると見なすべきである。

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