2012年10月31日(水)、東京都港区の原子力規制庁舎で、「第8回原子力規制委員会」が行われた。今回の議題は以下の7つだったが、議題2では、前回の委員会で公表された「放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果」で、6つの原発における拡散エリアが間違っていたことが報告された。
(IWJ・大西)
2012年10月31日(水)、東京都港区の原子力規制庁舎で、「第8回原子力規制委員会」が行われた。今回の議題は以下の7つだったが、議題2では、前回の委員会で公表された「放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果」で、6つの原発における拡散エリアが間違っていたことが報告された。
■ハイライト
はじめに、中村佳代子委員と規制庁の黒木総括官が、原子力災害対策指針(案)の説明を行った。当該指針は、これまでも委員会で議論が重ねられてきたが、今回は前回の委員会で発表された素案の内容をさらに明確化し、議論の総括として報告された。しかし、EAL(原子力施設における判断基準となる緊急時活動レベル)やOIL(運用上の介入レベル)などの具体的な数値や内容については、まだ定められておらず、今後も検討していく予定になっている。また、指針策定のスケジュールとして、EALとOILやモニタリング指針、またSPEEDIの活用方法などを年末までに取りまとめ、来年の3月18日までに仕上げるという目標が発表された。
次に、前回の委員会で発表された「放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果」に間違いがあったことが報告された。間違いがあった原子力発電所は、東海第二、柏崎刈羽、志賀、敦賀、玄海、川内の6つで、放射性物質の拡散エリアが、原発を中心に右回り、あるいは左回りにずれていたという。金子防災課長は、その原因として、試算を行っていた職員の中で、方角を定めるルールが徹底されておらず、データを整理した際に誤って載せてしまったと説明した。これに対して、田中俊一委員長は「こういった誤りがあったことについては、私からも大変申しわけないことであったと、国民の皆さんに陳謝したいと思っています」と謝罪の言葉を述べたが、ほかの委員からは発言がなかった。
議題6については、大村管理官が説明を行った。これは、今年度の7月から9月に行われた保安検査の実施状況とその結果報告で、対象となったのは、発電用原子炉、加工事業者、原子炉設置者、再処理事業者など、規制委員会が所管しているほぼ全ての施設だ。検査を行ったのは、原子力保安検査官で、各規制事務所への立入り、物件の検査、また関係者への質問等を行い、規定の遵守状況を確認した。結果は、「違反」に該当する事故や不備はなかったが、安全上の影響は少ないが改善の余地があるとされる「監視」に該当するものが1件あった。
最後に、大島賢三委員が、先週訪問した米英仏の原子力規制機関とウィーンのIAEA(国際原子力機関)での活動報告を行った。大島委員は「人材育成、人材養成の問題については、それぞれの機関と話をいたしまして、いろいろな考え方、やり方があるわけですが、日本としては特にその必要性が高くなっている」と述べ、原子力工学を専攻する学生が減っていることに触れながら、優秀な人材を引きつける方法が極めて重要と強調した。