2016年12月20日、最高裁は翁長雄志沖縄県知事による辺野古周辺の埋め立てに関わる承認取り消しについて、国が県を相手に提起した違憲確認訴訟で、県の上告を退けた。これにより、2016年9月に翁長知事の埋め立て承認の取り消しを「違法」だとした福岡高裁の判決を支持した形となり、県側の敗訴が確定した。
(取材・文:安道幹)
※1月14日、テキストを追加しました
2016年12月20日、最高裁は翁長雄志沖縄県知事による辺野古周辺の埋め立てに関わる承認取り消しについて、国が県を相手に提起した違憲確認訴訟で、県の上告を退けた。これにより、2016年9月に翁長知事の埋め立て承認の取り消しを「違法」だとした福岡高裁の判決を支持した形となり、県側の敗訴が確定した。
■ハイライト
最高裁の判決を受け、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は12月20日、衆院第1議員会館で緊急報告集会を開いた。判決について、県側弁護団の団長である竹下勇夫弁護士は、「地方自治体と国との関係を対等だとした地方自治法の趣旨に全く無理解な、きわめて不当な判決だ」と批判し、次のような問題点を指摘した。
「本来、行政庁が自分で行った処分が、誤っていたり、これはちょっと間違っていたりと『不当』だと思ったら取り消せるのが原則だ。裁判所は『不当』の判断はできない。行政庁の行った判断が『違法』な場合に、はじめて取り消すことができる。
だが(今回の判決は)いったん埋め立て承認処分がなされてしまったら、これを『不当』だと判断して取り消そうとすれば、極めて難しい、厳格な司法審査が及ぶのだとした。これまでの例ではなかったはずだ」
竹下弁護士はこのように述べ、本来政策決定について行政が担うべき「正当」「不当」の判断に司法が介入したことは、重大な問題点をはらむと指摘した。
最高裁で敗訴が確定したことを受け、翁長知事は12月26日に承認の取り消し処分を取り下げた。またこれを受け、さっそく沖縄防衛局は翌27日に辺野古の埋め立て工事を再開させている。
これに対し翁長知事は、2017年3月末に期限が切れる岩礁破砕許可を更新しないことや、知事の承認が必要な埋め立て工事の設計変更を認めないことなど、別の抵抗手段を検討している。
なお、このテーマに関連する「オール沖縄会議」の活動や、岩上安身による伊波洋一参議院議員へのインタビューなどは、会員の方は、以下の動画記事から全編ご覧いただくことができる。