朴槿恵大統領の即時退陣を求める6週目のキャンドルデモが、 2016年12月3日(土)、韓国各地で行われ、参加者数がソウルで170万人、韓国全国で延べ232万人(主催者発表)と、過去最大規模を更新した。デモには、これまでと同様、子供連れの家族やカップル、学生や会社員、高齢者など、多くの市民が集まり、朴槿恵大統領の即時退陣を訴えた。
この日のキャンドル集会は、集会参加者数の最高記録を更新したが、これほど人が集まるとは、誰も予想できなかったといわれる。
主催者側は、ソウルだけで150万人が結集した11月26日がピークだったと考えていた。しかし、その3日後の11月29日に朴大統領が国民向け談話で、「条件付きの退陣」を表明したことで、国民の怒りがさらに爆発。談話は「弾劾逃れ」「自ら退陣する道を拒否した」と受け止められた。
これまで5週にわたって全国規模で展開されてきたキャンドルデモは、主催側の推算で、10月29日(第1回)3万人、11月5日(第2回)30万人、11月12日(第3回)106万人、19日(第4回)96万人、26日(第5回)190万人が集まったとされる。そして6回目が232万人。3万人からスタートして、77倍に膨れ上がった計算になる。
またこの日、集会後に大統領府を目指して行われる「大行進」では、はじめて集会関連法で定められている、大統領府塀から「100m」の距離まで迫った。1300m、900m、200m、そして100mと、市民による行進は、毎週大統領府に近づいているが、これは、大統領府に近づこうとする主催者側の行進申告をいつも禁止する警察側の決定を、裁判所がその度に覆す許可を出しているためだ。その意味で、現在、裁判所は、主催者側の「援軍」となっている。日本ではまず考えられない。
IWJは、先週26日に続き、この6回目の12月3日のキャンドルデモを生中継し、集会に参加した市民たちの声を聞きとっている。「インタビュー特集」を、ぜひご覧いただきたい。
- タイトル 朴槿恵大統領退陣デモ集会
- 日時 2016年12月3日(土)16:30〜
- 場所 ソウル市内(韓国)
11月26日(土)、30日(水)にソウルで行われた、朴槿恵大統領に退陣を求める抗議デモの様子は、ぜひ、以下の記事からもご確認いただきたい。
また、この韓国取材では、現地で大きな影響力をもつインターネット独立メディア「ニュース打破」代表のキム・ヨンジン氏にも取材を行った。ぜひ、こちらの記事も合わせてお読みいただきたい。
▲メインの抗議集会が行われる光化門広場へ向かう市民たち。広場付近の国道は開放されている。
▲露天商の男性も屋台を引いて光化門広場に向かっている。
▲デザイン専門学校2年生の男子学生たち。プラカードは「セヌリ党は解体しろ」「朴槿恵即時退陣」。
▲「下野下野下野!」。市民たちにはすっかりお馴染みになったデモのテーマソング『これが国か』の一節。作詞・作曲は民謡歌謡の大御所ユン・ミンソク氏。
▲デモに参加するマレーシアの大学生たち。
▲年配の男性も。プラカードは「朴槿恵を拘束しろ」
▲看板は、左から「ロッテOUT」「ロッテダメこれではダメ」「国民たちはガムじゃない」「悪い企業ロッテ退場」。2016年7月に米韓両政府が発表した高高度防衛ミサイル(THAAD)の配置先は、韓国南部の慶尚北道星州郡にあるロッテのゴルフ場だ。
▲セウォル号関係者のテント前では、無料でチョコパイとキャンドルが配られていた。「セウォル号の中にはまだ人がいます」と書かれた黄色の横断幕が見える。
▲LEDを使用したキャンドルが1000₩〜2000₩(100〜200円)で売られている。
▲毎週土曜日のキャンドルデモは子供連れの家族も多い。
▲光化門付近で。プラカードのメッセージは「朴槿恵崩れる」
▲光化門前のメインステージ付近。キャンドルを買い、集会の開始を待つ親子。
▲ステッカーが貼られた警察車両の前で記念写真を撮る親子。警察車両にステッカーを貼ること事態、日本では考えられない。そのステッカーも、すべてが攻撃的なものではない。御覧の通り、可愛らしい花柄のステッカーがたくさん。見方によっては、警察車両をデコレーションしているようでもある。
▲光化門前。韓国時代劇に出てくる兵士の衣装を着た市民。
▲左から「国定教科書、たいまつを作ろう!」「珍島犬 気力で朴槿恵を噛みちぎろう!」。2015年10月、朴大統領は中学・高校の歴史教科書を、国が作る単一の教科書に限定することを発表。日韓併合や南北分断への歴史的解釈を国会が独占することは「民主主義に反する」として、教育現場から批判が噴出している。また、かつて教科書を国定化した自らの父親、朴正煕元大統領の「名誉回復」を狙っているのではないかという疑いも、市民の間では根強い。
▲今日も、「闇は光に勝つ」をスローガンに、一斉にキャンドルが消され、1分後、再びつけられた。周囲の高層ビルでは、Microsoft社など、これに同調して電気を消す企業もあった。
▲セウォル号沈没事故で犠牲となった高校生の母親が登壇。
▲涙ぐみながらスピーチを聞く市民たち。
▲光化門広場の前にメインステージが組まれている。
▲メインステージでの抗議集会が終わると、シュプレヒコールを上げながら大統領府までの「大行進」が始まる。
▲行進する市民。
▲市民たちの中に、次期大統領候補の一人とも言われるイ・ジェミョン城南市長の姿があった。
イ氏は1964年生まれ。小学校を卒業後、工場で働きながら大検認定を受け大学に進学し、司法試験に合格。弁護士時代は、市民運動家としても活躍した。年間5万円の若者向けの商品券や中学校新入生への制服の無料提供など、福祉にも力を入れ、若者から絶大な支持を集めている。
また11月23日に韓国と日本が軍事秘密情報保護協定(GSOMIA)を締結したことについて、現在韓国内で激しい非難の声が上がっているが、イ氏は、朴槿恵大統領が市民による退陣要求の突き上げと、国会の弾劾手続きが進められている最中に、この協定の締結を強行したことについて「父親の祖国である日本のために死ぬ覚悟のようだ」と発言。
その他にも「軍事的側面から見ると、依然として日本は敵性国家」「日本が軍事大国化する場合一番先に攻撃対象になる場所は朝鮮半島であることは明らかだ」などと、過激な発言で注目されている。
▲先週26日の行進では大統領府の200m手前まで行進が許可されたが、この日は100m手前まで接近した。
▲ポリスライン付近に人々が座り込み、シュプレコールや、朴大統領を風刺した歌が大合唱される。
▲歩行者天国となった国道に市民たちが落書きを残す。
▲「民主主義、万々歳」
▲「暗闇は、光に勝つことはできない」
▲「図々しいクネ 拘束」
▲「耳掃除しましょうか? 聞こえませんか?」
▲帰り支度の親子
▲デモを終え、帰路につく市民たち。
大統領府に近づこうとする主催者側の行進申告をいつも禁止する警察側の決定を、裁判所がその度に覆す許可を出している。その意味で、現在、裁判所は、主催者側の「援軍」となっている。日本ではまず考えられない。
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