2015年夏、安保法に反対する国会前抗議に、突如として現れた俳優の石田純一氏。あれから約10ヶ月、参院選まで残り2日と迫った2016年7月8日、今度は東京都知事選に関して、「野党統一候補」になるのであれば立候補したいとの考えを明らかにした。

　午後2時半から日本教育会館（東京都千代田区）で行なわれた緊急集会「都政刷新のチャンス！」の会場で石田氏は会見を開き、記者からの質問に応じた。

　「野党統一候補であれば出させていただきたい」――。石田氏の「立候補」は条件つきである。

　石田氏は、今まさに参院選で繰り広げられている野党共闘の流れに沿った形での出馬を快諾した。裏を返せば、野党統一候補でなければ立候補しない。つまり、他の候補者で野党統一が図られるのであれば、応援にまわるという。

　IWJ記者が参院選直前のタイミングで会見を開いた理由を聞くと、石田氏は「逆に（選挙に）注目していただいたり、政治への論議や『選挙へ行こうよ』ということになればいい」と明かし、国政選挙への注目を促したかった狙いもあったと話した。

　その他、石田氏は憲法改正、経済格差、東京五輪や福島原発事故など幅広いテーマに言及した。

　以下、会見と質疑応答の実況ツイートのまとめを掲載する。

都政を考える市民の会（集会の主催団体）「野党統一候補が決まらない中で、石田純一さんに『出てもいいよ』と言っていただいた。今日は出馬会見ではなく『野党統一候補でどうか』とオファーする形です」

石田純一氏（以下、石田・敬称略）「市民と意見交換をしました。結論を申しますと、野党統一候補であるならば、ぜひ、出させていただきたいと。色んな意見があると思いますが、例えば市民の生活と政治がかけ離れています。待機児童や学べる自由、子どもを安心して産める空気などですね。

　老後も、安心して暮らせる空気があればいいと思います。政治には安定が重要ということもあります。与党が強いですし、今の状況では参院選でも与党が勝利すると言われています。東京都で言うと、平和で暮らし、災害にも強い、子育て支援を安心できる、と。

　野党がまとまらないと思いは実現できません。野党統一候補であれば出させていただきたいと思います。ただ、他の候補者で統一となれば全力で応援したい。野党統一候補でなく、分散して出るのであれば、私が出るのではなく、市民に寄り添って応援していきたいと思います。

　家族の反対があっても話し合いたい。自分がやるべきこととして、やりたいこととして出る方向で話していきたいですね。

　争点は、地方自治体とはいえ、中央政府が今回の参院選でもわかるように憲法改正の話は聞こえてこない。でも年初には、参院選は憲法改正を争点にすると安倍総理は言いました。争点を隠すことで、その後に数でやっちゃう。もうちょっと話し合ったほうがいいと思います。

　憲法改正をどう変えていくのか。文言や改正すべき点がまったく論議されていません。都知事選では、そういうことも含めて、例えば子育て支援もおざなりにされています。東京は出生率が一番低い。結婚しにくい、産みにくい。これでは希望が持てません。

　６人に1人の子どもが貧困です。これは痛ましい。当選、出馬しなくても、子育て支援は引き続きやっていきたいと思っています。

　今も、政党からの働きかけはないです。東京はもっと多様性があった。それが石原都政くらいから教育への締め付けは厳しくなっている。押し付けというか、一色という形を危惧しています。日にちはありませんが、万が一、野党統一候補で決まるならそれでいいと思います。

記者「政治とカネの問題やCM契約など、芸能活動の整理について」

石田「契約ですから、ペナルティはあるかもしれません。政治とカネについては皆さんと同じ気持ち。でも、（舛添前知事は）リーダーとしての資質や態度に問題があったのでは」

　今回、野党統一候補がまとまらなければ、政権与党の力がより強くなる。戦争がどうこういうつもりはないが、言論の自粛はメディアで感じることが多い。デモに出れば注意を受け、仕事も減っています。

　野党共闘が終わると、政権がますます強大になる。それを安定ととるか…。歴史はいろいろなことがあったじゃないですか。80年、90年前のようにならなければいいな、というだけです。

　五輪に関しては明るく捉えたいが、都民の生活を圧迫しない、という条件がある。原発について、東電は安全神話に自分たちが縛られ、メルトダウンも意識的に言わなかった。社会的責任に欠如しているとは思う」

　まだ、福島に帰れない人を思うと心が傷みます。地震も起きている。原発を不安に思う人も多いと思う。再稼働をなし崩し的にやっていくのは、ちょっと偏った政策ではないか。原発がなかった時期でも日本は経済を立てなおしている。

　再生可能エネルギー、自然エネルギーで世界を引っ張っていくことができればいいなぁ、と。それを東京から発信していきたい。オスプレイに関しては、詳しいことはまだわからないが、事故が起きているのも事実。事故がないことを願っているばかり。

　（政治経験のなさについて）批判されるところだとは思います。しかし、好き嫌いは別として、橋下大阪府知事なども立派にやられています。政治のプロがやればすべてOKではない。新しい風が吹いてもいいのではないかと考えます」

IWJからの質問「参院選前のこのタイミングで会見を開いた理由は？」

石田「逆に、注目していただいたり、政治への論議や『選挙へ行こうよ』ということになればいいかと考えています。

　憲法は国民ではなく権力者を縛るもの。天皇陛下から国会議員、裁判官まで縛るのが憲法。それを、国民を縛るように変えようとしている。180度違う。笑われ、バカにされ、生活も厳しくなるかもしれないが、立ち上がったほうがいいと思った。

　現段階で宇都宮さんは出ると思う。でも、これまで市民団体とも一緒にやってきたので、最終的にはみんなで決めたらなぁ、と思います」