週明けとなった6月27日(月)、東京株式市場は先週末に大きく値下がりした銘柄を買い戻す動きが広がり、日経平均株価は300円以上値上がりした。英国のEU離脱確定を受けて生じた世界的な株安の動きには、ひとまず反発の動きが出たと言える。
しかし、これで株価が安定するとか、反騰し続ける、と決まったわけではない。株式市場は「一寸先は闇」である。誰も、明日のことは分からない。
先週末を振り返ってみると、6月24日(金)の、英国のEU離脱確定を受けての日経平均株価の暴落はすさまじいものであった。24日の終わり値は、前日比1286.33円安の1万4952円.02円と、2014年10月21日以来およそ1年8ヶ月ぶりに安値を更新。下げ幅は、ITバブルが崩壊した2000年4月17日以来、約16年2ヶ月ぶりの大きさを記録した。まさに、大暴落である。
こうした株価の大幅な下落は、投資家だけが影響を被るものではない。日本国民全体の生活に対し、非常に大きな影響を及ぼすのである。というのも、日本政府はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を通じ、国民の貴重な年金資金をハイリスクな株式市場で運用しているからだ。
安倍政権は2014年10月にGPIFの投資比率を見直し、債券よりリスクが高い株式投資を24%から50%に引き上げた。これについて、民進党の山井和則議員は、独自に試算を行い、GPIFの2015年度の損失が約5兆円にのぼると発表している。
GPIFは、実際のところ、どの程度の損失を出しているのか。政府は、GPIFの運用実績の公表日を、参院選後の7月29日に設定している。安倍総理は、参院選の争点を「アベノミクスの是非」としているが、このように、都合の悪い数字は隠しているのである。国民の目を欺いていると言わざるをえない。
政府は有権者が選挙の判断材料にできるように、参院選前に発表するよう前倒しすべきではないだろうか。そして、発表しない場合は、自民党には票を投じないということを、多くの人々が声をあげて求めるべきではないか。
6月27日に行われた民進党の調査チームで、山井議員が、イギリスのEU離脱確定による株価暴落により、どれだけの年金が失われたのかと問いただすと、GPIFの担当者は次のように述べた。
「年金の積立金の運用は長期的な観点から行うものなので、短期的な動向に過度にとらわれていけないものだと考えている。英国の国民投票の結果が、長期的に年金の積立金にどのような影響を及ぼすかという点について、GPIFとしては、いろいろなルートを通じて情報収集に務め、注意深く見守っているところだ」。