新宿東口、JR出口の目の前に広がるアルタ前の小さな広場は、この日、普段に増して多くの人でいっぱいであった。集まった人々の視線は、参院選の公示日を迎え選挙カーから第一声をあげる、日本共産党の弁士たちに注がれた。
「市民と野党4党の力で、アベ政治を終わらせる歴史的な選挙にしていこうではありませんか!」
東京選挙区に立候補をした、弁護士で日本共産党の若手の新人、山添拓(やまぞえたく)候補が声をあげた。
「自民・公明・おおさか維新の『改憲勢力』、彼らだけには負けるわけにいかない!」
演説を聞く人々から、大きな拍手が上がった。
政党に所属する候補者だけで11人が立候補、無所属候補者も含めると30人を超える候補者が、改選数6議席の東京選挙区を戦うという。大波乱は必至である。
上から、自民党・中川、民進・蓮舫(れんほう)、公明・竹谷は確実といわれているなか、残り3枠に、くいこめるのではないかと山添氏は期待されている。
前回2013年の参議院選挙で日本共産党は、新人の吉良よし子氏が70万票を超える大得票をして、自民党の丸川珠代現環境相、公明党の山口那津男代表に続き、3位で当選した。日本共産党にとって東京は、期待のもてる選挙区である。
比例区から出馬する田村智子(たむらともこ)副委員長は、安保法制への強い反対と、子どもの貧困の問題に焦点をあて、「暮らしを直接応援する政治へ!」と呼びかけた。
応援に駆けつけた志位和夫委員長は、参院選の争点が安倍総理の言う「アベノミクス」だけにあるのではないことを強調。秘密保護法や安保法、憲法9条の「破壊」、そうした「安倍暴走政治」を広く争点にするとして、次のように宣言した。
「全国32の全ての一人区で、野党統一候補が勝ち抜きます!そして、比例代表は全国で850万票以上を獲得し、9名の全員の必勝を目指します!みなさんの力をお貸しください!」