「沖縄は守られていた。捨て石じゃなかった」!??憲法の全面改正を唱える「日本のこころを大切にする党」が第一声で戦争美化!? 2016.6.22

記事公開日:2016.6.22取材地: テキスト動画
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(取材:城石裕幸、記事構成:原佑介、文責:岩上安身)

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※日本の政治の真の争点は改憲による緊急事態条項の導入!改憲派による参院議席3分の2を許すな!
※6月25日テキストを追加しました!

 「日本のこころを大切にする党」は2016年6月22日、銀座三越前で第一声を上げた。

 「憲法には日本の伝統や心が入っていなければならない」と憲法の改正を訴えるのは同党の中山恭子代表である。

 「私たちは憲法1条から最終条までをしっかり一つの形として改正したいと思っている」と公言している中山代表だが、この日は「皆さんも憲法について大いに議論してほしい」と述べるにとどめ、憲法改正の具体的な中身につては触れなかった。

■ハイライト

  • 日時 2016年6月22日(水) 10:30~
  • 場所 銀座三越前(東京都中央区)

 憲法改正は、「一条から最終条まで」丸ごと変えることはできない。憲法改正には、厳格な手続きが定められており、一条ごとに衆・参の両院で、それぞれ議員の3分の2をもって発議し、国民投票にかけなければならない。

 それを一変に変えてしまうのは、ひとつしか方法がない。「緊急事態条項」によって現行憲法秩序を全面的に停止してしまうこと、その間に、次々と内閣によって法律(政令)を出し、この国のかたちを変えてしまうやり方である。いみじくも、麻生太郎副総理が2013年に「ナチスの手口に学んだらどうか」と口走った手口である。

 中山代表は常々、自民党が改憲で新設を目指すこの危険な「緊急事態条項」についても、正面きって賛意を示している。

 中山代表はさらに、北朝鮮による拉致問題について「日本の若者たちが北朝鮮の中で監禁されていることがわかっていながら救出せず、放置してきた。独立国家として国民を守ることを明確に示さなければならない」と述べた。

▲中山恭子代表

 拉致被害者・家族担当、内閣官房参与として、当時蓮池薫さんら拉致被害者の帰国に尽力したとされている中山氏だが、薫さんの兄である蓮池透さんは著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)の中で、知られざる中山氏らの被害者らへの冷淡な対応を告発。本に憤慨した中山氏は国会で、「透さんはご自身では気づかれてはいないかもしれませんが、工作関係者に利用されている」などと述べ、被害当事者家族である蓮池透氏に対して誹謗中傷を行っている。

 同党から東京選挙区で出馬した鈴木麻理子候補は、「13年間海外に住んでいたが、世界中の多くの方たちは日本が大好きで、日本を尊敬しています。その『こころ』を、もっと日本から発進していく必要性を感じている」と主張。納めた消費税の一部を政府が積み立て、年金受給時に受け取れる「消費税マイレージ制度」の導入を訴えた。

 比例区から立候補した元自民党衆議院議員で元文部科学大臣まで務めた、中山恭子代表の夫である中山なりあき氏は、「今、自分の国を貶め辱める人たちが外国勢力と一緒になって沖縄を分断している。外敵が侵入しようとしている。自虐教育をやめさせなければいけない」と、陰謀論と排外主義がごちゃまぜになった、しかし聞きようによっては大変剣呑なアジテーションを行った。

▲中山なりあき候補

 同じく比例区候補の前衆議院議員・西村真悟氏は「尖閣諸島に我が最優秀の地対艦ミサイル・地対空ミサイルを設置し、領土を守らなければ、我々の産業活動も家庭生活も崩壊する」と危機感をいたずらに煽り、軍事的な有効性があるとも思えない尖閣の「軍事要塞化」の必要性をぶったうえで、「民進党という台湾の政党名を借用し、我が国家を守る安全保障法制を廃案にするという、中国共産党が喜ぶようなことが、日本共産党を主導として行われている」と野党共闘を攻撃した。

▲西村眞悟候補

 沖縄でFM放送のパーソナリティーをしている同党新人の比例候補、ボギーてどこん氏は「沖縄では平和学習として公立高校の生徒を中核派のテントに連れていき、フェンスに横断幕を結びつけるという違法行為をさせている」とまで主張した。

 さらに、「71年前、何千名もの日本人が沖縄を守るために飛んできて、散華された。鹿屋から飛んでくる日の丸を背負った特攻機が米軍の対空砲火で撃ち落とされる時、沖縄の人たちは、涙を流して手を合わせた。沖縄は守られていた。捨て石じゃなかった」などと戦争を美化し、多大な犠牲を強いられた沖縄の住民の苦しみをすっかり忘れ、特攻隊のヒロイズムに自らを同化させて酔いしれるような発言を展開した。

 戦争について、どう考え、どう解釈するか、それぞれの自由があっていい。それが言論の自由だ。だが、この言論の自由は憲法21条に規定されているからこそ、謳歌できる自由だ。

 自民党の改憲草案では、この言論の自由に大きな制約がかけられる。「公益および公の秩序に反しない限り」という制約のもと、原則として「自由」ではなくなってしまうのである。

 我々は、中山なりあき氏の演説にも同意しないし、ボギーてどこん氏の演説にも感心しない。しかし、彼らの自由は認める。憲法21条がそれを保証してくれる。意見の違う彼らも我々も、集会を解散させられたり、出版を禁じられたり、言論を封じられたり、逮捕されることもない。

 だが、緊急事態条項を発布されたあとの「世界」は、まるで違うものになる。もの言えばくちびる寒し、心の中の良心の自由に従うこともできなくなる。その時、黙らされるのは、彼らではなく我々なのだ。

 自民党の補完勢力である「日本のこころを大切にする党」が、はっきりと緊急事態条項を唱えているのは、上から下まで示し合わせて争点隠しを行っている自民党よりははるかにましだ、とも言える。彼らが自民党と公明党とおおさか維新とともに目指す世界を、はっきりと示しているからである。

 拉致被害者奪還を口実に、この国はもの言えぬファシズムへと暗転する。それが彼ら「改憲勢力」がこの参院選で目指している「世界」なのである。

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