「命をかけて県外移設に取り組む!」
こんな勇ましい公約を掲げながらも、当選したらあっさり反故にし、「島“売” アイコ」などと揶揄されているのが、沖縄選出の参議院議員、島尻安伊子・内閣府特命担当大臣(沖縄・北方担当大臣兼科学技術政策担当大臣兼宇宙政策担当大臣)である。
島尻大臣は2010年の参院選で、「命がけで米軍・普天間基地の県外移設に取り組む」と訴えて票を集めながら、当選後には公約を破棄し、180度転向して辺野古への移設賛成に回り、県民の反感を買った。島尻大臣の選挙区は沖縄だが、出身は宮城県で、沖縄にルーツを持たない。
単に政治的に「変節」しただけでなく、2012年には、辺野古新基地建設関連工事の受注業者4社から350万円の献金を受けていたことも発覚した。辺野古移設工事の利権にも一枚噛んでいたわけだ。転向には「党利」も伴っていたわけである。にもかかわらず、辺野古新基地建設に反対する市民らの運動を「責任のない市民運動」などと非難し、さらには「危険な行為に先んじて対策を打つことが必要」と警察や海保など実力組織による弾圧を示唆するなど、その二枚舌、変わり身の素早さには驚嘆を禁じ得ない。
自分を議員に、さらには大臣にまで押し上げたのは、今の彼女が「責任のない市民運動」と揶揄している辺野古移設反対派の沖縄県民である。政治家以前に、人間としてどうなのか、疑問であると言わざるをえない。
現在、宜野湾市長選で、現職の佐喜真淳氏(自民、公明推薦)と志村恵一郎氏(翁長県政与党支援)が激しいつば迫り合いを演じている。佐喜真候補を応援する島尻大臣は、応援演説だけでなく、普天間基地返還後のディズニーリゾート誘致実現に奔走するなど、精力的に行動していると報じられているが、「二枚舌」大臣が前面に出れば出るほど、佐喜真候補の信用にも傷がつくのではないか。
公約違反を開き直り、辺野古推進派の筆頭議員にまで転身した島尻大臣だが、今では単なる公約違反にとどまらず、「政治とカネ」や「公職選挙法違反」の疑惑までかかっている。
2015年12月4日、IWJは島尻大臣を公職選挙法違反、政治資金規正法違反で刑事告発した「安保法制賛成議員の落選運動を支援する弁護士・研究者の会」の呼びかけ人である阪口徳雄弁護士、上脇博之・神戸学院大教授にインタビューし、島尻大臣の「暗部」に迫った。
- 日時 2015年12月4日(金)15:00~
- 場所 あさひパートナーズ法律事務所(大阪府大阪市)
阪口弁護士「憲法違反の法律に賛成したというだけで国会議員失格」落選運動支援の会が取り組む「落選運動」の意味
「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する・弁護士・研究者の会」(以下「落選運動支援の会」)は、その名の通り、安保法制の採決に賛成した議員の落選運動を呼びかけ、運動を支援する活動に取り組んでいる市民団体だ。
阪口氏は、「憲法違反の法律に賛成したというだけで国会議員失格だ」と批判し、「そんな議員が反省もせず、今後も政治家として居座り続けることは有害。次の選挙で落選させるべきだという立場で『落選運動支援の会』を立ち上げた」と、「落選運動支援の会」の設立趣旨を語った。
「落選運動支援の会」は、2016年7月に予定されている参院選で改選を迎える議員を対象に、主に、次の活動を展開している。
- 落選対象議員の収支報告書を一元管理するサイトを立ち上げる。
- 落選対象議員の収支報告書の調査の過程で、不透明な収入や支出があれば、その情報をホームページに公開。違法なケースは刑事告発もする。
- 落選対象議員の情報の提供を広く市民に呼びかける。
- 市民の落選運動の中で具体的な問題が生じたときには法的なアドバイスやサポートを行う。
すでに1.の「落選対象議員の収支報告書を一元管理するサイト」は立ち上がっており、落選運動の対象となる参議院議員の9割以上の収支報告書が公開されている。現在では、実施がささやかれている「衆参ダブル選」に備え、衆議院議員の落選対象議員の収支報告書も集め始めている。
「裏金になった疑いがある」収支報告書から“姿を消した”1050万円の行方
「落選運動支援の会」は、「落選対象議員の収支報告書の調査の過程で、(略)違法なケースは刑事告発もする」と掲げているが、落選対象議員「第1号」に選ばれ、刑事告発されたのが沖縄の島尻安伊子議員だ。
「落選運動支援の会」の調査よると、島尻大臣が代表を務める「自由民主党沖縄県参議院選挙区第二支部」は2011年、島尻大臣から9回にわたって計650万円を借り入れたが、その後、返済の記載は見られず、政治資金規正法で義務づけられた資産状況の欄にも記載がなかった。
2011年内に島尻安伊子に合計650万円の借入金を全額返済したか、もしくは全額の債務免除を受けたかのどちらかであると考えられるが、その場合でも返済、または債務免除を受けた日時、金額を記載しなければならない。政治資金規正法がそう義務づけているにも関わらず、収支報告書にはその一切が記載されていなかった。650万円はどこかへ消えてしまったかのようである。
さらに同支部は、翌2012年にも島尻大臣から計400万円を借り入れ、同年12月末の収支報告書に「借入金400万円」の記載があったが、翌2013年の収支報告書からは、やはり返済や債務免除の記載もなく、借入金400万円の記載が消えていた。いずれも「政治資金規正法違反」の疑いがある。
▲上脇博之・神戸学院大教授
上脇氏は、「合計1050万円となれば、市民からすれば高額。会計帳簿上、忘れてはいけないお金であり、『忘れました』というのはありえない」と指摘。「どの年も、同じ代表、同じ会計担当者、同じ事務担当者が担当している。途中で担当が交代して、引き継ぎがうまくいかなかったならそういうこともあるかと思うが、常識で考えれば、ちゃんとした収支報告書を作る気があったのか、疑わしい」と批判した。
阪口氏は1050万円の行方について、「裏金になった疑いがある」と分析し、「2015年11月24日に島尻大臣を告発したが、島尻陣営はその日のうちに告発の情報を察知し、慌てて『忘れていました、訂正する』といっていたが、これは訂正では済まない。『とことん検察は捜査しろ』という意見書も出す」と強調した。
松島みどり元法相の「うちわ配布」の再現か!? 島尻議員が選挙区内でカレンダー配布!「公職選挙法違反」の疑い
さらに、島尻氏には「公職選挙法違反」の疑いもかけられている。
仲井真弘多前沖縄知事は、公約を破っても悪びれも無く平然と選挙に出た典型的な“詐欺師”だ。「命をかけて県外移設に取り組む!」という勇ましい公約を掲げながら、当選後あっさり反故にして平然としている参議院議員島尻安伊子もまた典型的な詐欺師だ。先ずは、詐欺師であると云う前提の元に島尻議員の反論を聴くべきで、細かい反論に付き合うと有権者は判断を誤る。
詐欺師なのだから、放送法第4条の「政治的に公平であること」という定めに真正面から違反しても平気だ。詐欺師なのだから日本学生支援機構から400万円の補助金を受けていた、夫が理事長を務めている専門学校運営会社「JSLインターナショナル」(沖縄県浦添市)から、島尻大臣が代表を務める自民党沖縄県参議院選挙区第二支部が2013年に300万円の寄付金を受けていても何とも思わないのだ。根っからの詐欺師の通常業務なのだ。