日本の原発維持政策には隠された本音があるのではないか。海外の識者の中に、そうした疑いの眼で見る者は少なくない。日本は原発を維持すると同時に、その陰に隠れるように、再処理を続行し、プルトニウムが蓄積され続けているという問題である。原発と核の問題を考えるとき、ここにフォーカスしなくてはならない。
TPPや在日米軍基地問題などについて海外の情報を日本に、また日本の情報を海外に発信しているシンクタンク「新外交イニシアティブ」が2015年11月6日、東京の日比谷コンベンションホールでアメリカの有識者4人を迎えての原子力エネルギーに関するシンポジウムを行った。
- コーディネーター 吉田文彦氏(国際基督教大学客員教授)
- 第1部 ヘンリー・ソコルスキー (Henry D. Sokolski)氏(核不拡散政策教育センター〔NPEC〕理事、元米国防省核不拡散政策副長官)/ブルース・グッドウィン (Bruce T. Goodwin) 氏(ローレンス・リバモア国立研究所〔LLNL〕、国家安全保障政策研究所副所長)
- 第2部 フランク・フォン・ヒッペル (Frank N. von Hippel) 氏(元ホワイトハウス科学技術政策局国家安全保障担当次官、プリンストン大学名誉教授)/ビクター・ギリンスキー (Victor Gilinsky) 氏(NPEC, 元米原子力規制委員会〔NRC〕)
米国は「原発も再処理も推進」だと思っているが、本当なのか!? ~2009年民主党野田政権の「2030年原発ゼロ」という目標をアメリカがつぶしたのは「原発は止めても再処理は続ける」という点に疑問を抱いたから!!
新外交イニシアティブ事務局長である猿田佐世弁護士は今回のシンポジウムのきっかけについて「私たちはアメリカが一律に『原発も再処理も推進』だと単純に思っているが本当にそうなのか」と話し始めた。
「2009年民主党政権当時『2030年原発ゼロ』を目指そうとした閣議決定がアメリカの圧力によってできなくなったと報道されたが、アメリカの方や関係者の方の意見を丁寧に聞いていると必ずしもそうではない。当時閣議決定が目指していたのは『原発は止めるが再処理は続ける』ということだったが、それではプルトニウムがどんどんたまる。それに対する疑問の声が多数だった。
2018年に改定を迎える原子力協定についてもアメリカの政府関係者を含む多くの専門家は『改定してほしくない、自動延長してほしくない、終わりにしてほしい』と思っているにもかかわらず言い出せない」のだという。
米政府関係者の多くが、日米原子力協定を改定してほしくないし、自動延長もしてほしくないし、終わりにしてほしいと願っているというのは、新鮮な驚きである。日本において原子力行政推進の中核をになった遠藤哲也氏によると、現在の日米条約は包括協定。これはハシの上げ下ろしまで指図されなくてよい。この条件で協定を結ぶまで、米国の信頼を得るのにどれほどかかったことか。これが包括協定の延長を認められないことになると、大変なことになります!」と語っていた。日本国内の推進派にとって、この2018年改定はクリアしなければならない重大な難問なのである。
▲猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長、弁護士)
覆る常識「商用軽水炉のプルトニウムでは核兵器は作れないと信じられているが、まったく間違いだ」 ~日本にあるプルトニウムは軍用転換可能なプルトニウムである
核不拡散政策教育センターのヘンリー・ソコルスキー氏は安全保障の視点からプルトニウム保有量の増大について「一般に商用軽水炉のプルトニウムでは核兵器は作れないと信じられているが全くの間違いだ。アメリカ政府・ホワイトハウスは1976年、ワシントンで核兵器開発者ロバート・セルダン氏にそれが間違いであることを発表させている。現在分離プルトニウムが日本には10.8トンあり、六ヶ所が運転再開すれば年間8トンずつ増えていく。そのことの脅威論がなかなか浸透していない」と警告した。
「一般に商用軽水炉のプルトニウムでは核兵器は作れないと信じられているが全くの間違いだ。アメリカ政府・ホワイトハウスは1976年、ワシントンで核兵器開発者ロバート・セルダン氏にそれが間違いであることを発表させている。……」との貴重なご発言の次に、「ここから会員限定」で、次の様な驚くべき話を聞かせてくださいます。
(日本中の又、世界中の方々も、しっかりとお聞きくださるべきです)
”また原子炉のプルトニウムを核兵器に転用するのに必要な期間は3週間であり、IAEAの査察による抑止力が全く役に立たない”
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