【異常警備が敷かれた9.16国会前】抗議する市民を力づくで引きずっていく警官隊!巻き添えをくらったIWJ代表・岩上安身、脚立から転落し、負傷 2015.9.22

記事公開日:2015.9.22取材地: テキスト動画
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 安保法案の審議がいよいよ佳境に入った。国会前には連日、降りしきる雨をものともせず、多くの市民が集まって「廃案」の声を上げている。国民の「声」が、車道いっぱいに広がる形で可視化されるのを政権は恐れているのか、警察官による攻撃的で過剰な警備は日ごとに増してゆき、9月16日、ピークに達した。

 9月16日、警察の強硬な警備で13人もの逮捕者を出した大荒れの国会前での抗議集会。歩道から車道へあふれ出る抗議の市民を、スクラムを組んで押し返す警官隊。市民の圧力に押されると、先頭の市民を一人ずつごぼう抜きにして、見せしめのように逮捕した。

 荒々しく、力づくで、警察官が2人がかりで引きずってゆく模様をIWJのカメラは何度も収めた。そのうちの一回は、男たちの一団が塊となって報道陣を吹き飛ばしながら押し寄せ、最前線で取材していたIWJ代表・岩上安身の脚立にぶつかる様子をとらえていた。態勢をくずした岩上安身は転落させられた。

 人並みにまぎれて足もとは映っていないが、下はコンクリートだ。1m50㎝くらいの高さから仰向けに落ちた岩上安身は、激しく地面に叩きつけられ、右肘と右足首を捻挫。動画を確認すると、後頭部を強打しなかったのが不思議とも思える、危険な落ち方だった。

■岩上安身の転倒の様子を捉えた動画

▲頭背面地面に転倒させられる瞬間の岩上安身

 力づくで市民の逮捕・拘束を繰り返し、連行の際にあたりの人間をかまわず押しのけ、突き飛ばす手荒な警察の行動のあおりを受けた格好である。その後も、カメラの前では、抗議行動参加者を屈強な警官数名が文字通り力づくで引きずってゆく、恐ろしい光景が続いた

 この日の警備は、最初から異常なものだった。

 9月16日は、横浜で地方公聴会が行われ、その日のうちにも参議院の特別委員会で強行採決が行われるという流れだった。市民による猛烈な反発は必至だ。現に、地方公聴会が行われた新横浜の会場では、市民ら数百人が道路に寝そべって封鎖する「シットイン」抗議が行われた。

 国会前では多くの市民が駆け付けることが予測できていたにも関わらず、警察は「カマボコ」と呼ばれる護送車を歩道に沿ってピッタリと敷き詰め、何が何でも市民が規制線を突破して道路に「決壊」するのを防ごうとした。案の定、時間が経つにつれて膨れ上がる人波で、「カマボコ」の内側はすし詰め状態となり、体調不良で倒れる人も続出した。それにも関わらず、警察は車道を開放することなく、市民を閉じ込めた。参加者の誰もが、この日の警備が、参加者の安全を守るためのものではないことを体感していた。

 そうした状況下で、国会正門前エリアの「前線」では、人の波に押し出されるように進み出ようとする一部の参加者と、それをおさえこもうとする警察のあいだで押し合いが続いた。

 機動隊員に暴行を加えたとして公務執行妨害で逮捕されたのは、男性12人と女性1人。報道によれば、警視庁公安部は、13人のうち1人は中核派、別の1人は革労協主流派の活動家とみられると発表しているという。しかし、ほとんどは個人参加の一般人だ。

 メディアは過激派による警察への暴力行為、という印象を与えようとしているが、この日の国会前は「騒乱」は必至の様相だった。むしろ、警察側は意図的にそうした状況を作り出していたと言える。逮捕された13人のうち、9月22日現在も、6人が勾留されたままだという。

▲転倒直後の痣の様子。右足のくるぶしがかなり腫れ上がっている

 この日の抗議では、岩上安身は転倒後も現場で取材を続けたが、深夜になって、痛みを自覚し始め(アドレナリンの分泌量が下がってきたためだろう)、都内の病院に救急でかかった。

  • ▼【閲覧注意・画像】病院でのレントゲン検査を待つロビーにて。生々しい擦り傷
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 診療の結果、幸いなことに、レントゲンでは右足首、右肘とも骨折はなし。打撲・捻挫で全治1周間である。

 紫色の痣は、日を追うごとに色味を増し、転倒現場がいかに過酷な状況であったかが窺い知れる。

 病院では、歩きまわるなどして動かすと、完治までの時間がのびると言われた。最前線からのリポートを行う岩上安身の離脱は、IWJにとっても痛手だ。

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「【異常警備が敷かれた9.16国会前】抗議する市民を力づくで引きずっていく警官隊!巻き添えをくらったIWJ代表・岩上安身、脚立から転落し、負傷」への4件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    国民の「声」に恐怖する安倍政権!警察官による国会前抗議行動に対する過剰警備の実態! http://iwj.co.jp/wj/open/archives/265495 … @iwakamiyasumi
    このまま安部政権を放置すれば、国会前だけでなく日々の暮らしでも弾圧が始まるだろう。それは自民党改憲草案を読めば明らかだ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/644803290270556162

  2. あのねあのね より:

     建設現場で働いた人なら全員知ってるが、脚立からの転落は受身が取れない一番危険な転落です。死亡や大怪我が一番多い転落です。もっと高いところからの転落の方がけがや死亡事故は少ないんです。警察は建設現場の事故の調査もするので、知っていてやったと思います。
     民主党議員への自民党佐藤議員の暴行も、実は相当危険なことをやっています。自衛隊では投げもある日本拳法と云う武術を習うのですが、佐藤議員の暴行は第二関節と第三関節で面を作りコメカミに確実に当てており、ダウンしたところでそのまま押し付けたままのコブシで押して落とすというワザを使っている。日本拳法を正式に習い練習している人間なので、間違ってそうなったと云うことはありません。たまたま、人垣の上に乗るような形だったのでゆっくり滑り落ちて助かったが、路上だったら転倒してさらにアタマ打って死んでいた可能性が高い。それが判っているのでYoutubeに民主党議員が暴行をしたと云う動画を沢山上げて、ネット世論を作ろうとしているようです。安倍の仲間の稲田はテレビでもそのネタをやったようです。どこまでも汚いのが自民党の本質だ。

  3. 緒方 夏 より:

    岩上さん 危ない事はしないでください (キリッ)
    大切な人なのですから!        
    側にカバーするスタッフさんは居なかったのですか?
    岩上さんだけじゃなく他のスタッフさんも 充分に用心してください。
    私達の 「希望の人々」なんのですから。

  4. 清沢満之 より:

    2015/09/12 岩上安身による栗田禎子・千葉大学文学部史学科(中東現代史)教授インタビュー(動画)
    ※連休中も公開続行!会員以外の方にも特別公開中!!
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/263722

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