元外務省OBや学者らで構成される村山首相談話を継承し発展させる会は2015年8月14日、参議院議員会館で緊急の記者会見を開き、発表されたばかりの安倍首相の戦後70年談話を批判した。
- 安倍内閣総理大臣談話[閣議決定](2015年8月14日)
(石川優)
※8月16日テキストを追加しました!
元外務省OBや学者らで構成される村山首相談話を継承し発展させる会は2015年8月14日、参議院議員会館で緊急の記者会見を開き、発表されたばかりの安倍首相の戦後70年談話を批判した。
■ハイライト
埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏は、安倍総理談話と今国会で審議中の安全保障関連法案と、平和・憲法との関係性について、次のように分析した。
「安全保障の環境が決定的に変わったという。その中身を問うと、中国の軍事力強化、北朝鮮の核・ミサイルの脅威という。その脅威にどう対処するかとなると、日米の安保を強化して、米国の軍事的な力が低下しているので、それをさらに積極的に補強しろ。これが安保法制。
その安保法制を進めていくベールは、実は平和だよという形を取るための安倍首相談話であるということになれば、中国・朝鮮を頭から敵視している。
それに対する解決は平和・外交、相互理解ではない。軍事力による解決という方向しか出てきません。ですから、中国・朝鮮は不信感をさらに強める方向にしかいかない。
いまこそ、憲法の平和原理に基づいて、特に憲法前文の精神、平和を愛好する全ての諸国民の公正と真理に信頼する、それを具体的に現実的に進めていくべき。それ以外に平和の道はない」
二松学舎大学教授の染谷武彦氏は、安倍談話をこう批判する。
「何とかして村山談話の言葉、4つ『侵略』『植民地支配』『お詫び』『反省』を落とさないで、形を取り繕うという苦し紛れのものだ」
同会理事長の藤田高景氏は、安倍談話について「愕然としました。主語が曖昧で、わざとぼかしてる。目的語も曖昧。日本語として失格で噴飯物です。逃げの作文」と酷評した。
加えて、雑誌「正論」2009年2月号で安倍総理と山谷えり子現拉致問題担当大臣の対談記事を紹介し、安倍総理の本音は「村山談話はけしからん」というものだとも指摘した。
「(雑誌「正論」で)本音を赤裸々に語っているけれども、この彼の本音と村山談話の間で、いかに逃げまわるか。姑息な文章が今日のこの文案です」