「戦争に負けたという被害者意識が、アジアへの加害を自覚させないのではないか」 〜安倍首相の歴史認識を糾す「安倍談話」ではない「市民目線の談話」を 2015.7.29

記事公開日:2015.8.6取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 戦争の代償と歴史認識
※8月6日テキストを追加しました!

 「今年、安倍首相は、村山談話や河野談話を否定する談話を出すと予想されるが、私たち市民の見解を示して、正しい歴史認識をうながしたい」――。戦後70年の「安倍談話」の内容に警戒感を抱く市民団体の代表は、このように語った。

 2015年7月29日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、「安倍首相の歴史認識を糾す『戦後70年市民宣言』全国報告会」が開催された。今年、安倍首相が発表するとされている「70年談話」に、村山談話などの精神が継承されるのかという懸念から、「市民目線の談話」を出そうという声が上がり、全国8ヵ所の市民団体の代表、国会議員、有識者らが集まった。この日は、報告会と声明文の取りまとめを行い、翌7月30日に内閣府に提出する。

 恵泉女学園大学名誉教授の内海愛子氏は、加害者、植民地主義の清算、アメリカの戦争責任、というキーワードを挙げ、「日本国民は、加害者の自覚は持っているのだろうか。それを、どこまで持てるだろうか。アメリカとの戦争に負けたという被害者意識が、日本が行ったアジアの植民地支配を覆い隠し、その反省の取り組みもなされなかった」とし、市民宣言には、日米安保条約やサンフランシスコ体制の修正も訴えるべきだと主張した。

 100歳のジャーナリスト、むのたけじ氏はビデオメッセージの中で、「今、平和な国の姿を求めて人々が声を上げ始めた。歴史を新しく作り出す足音が聞こえるじゃありませんか。名もなき者たちが、時代の主として、手を取り合う時代が始まった。世の中は変わるぞ!」と檄を飛ばし、東京大学大学院教授の高橋哲哉氏からは、「近隣諸国からの信頼を獲得し、共に東アジアに平和の秩序を作っていくためには、今、市民社会が政権の誤りを糾し、世界に通用する歴史認識を発信していくことが、きわめて重要」とのメッセージ文が寄せられた。

記事目次

■ハイライト

ファシズムは、ささやかな自主規制から始まる

 はじめに、「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会」元代表で「戦後70年市民宣言・あいち」の池住義憲氏が、「今年は戦後70年、日韓基本条約から50年。安倍政権が『70年談話』を出すと言われているが、『村山談話』の精神が継承されるのかという懸念や、国会で審議中の安保法案、安倍首相の歴史認識の問題が大きく横たわっている。そんな中、全国8ヵ所から『市民目線の談話』を出そうという動きが起こってきた。そこで、それぞれの思いをひとつにまとめて、安倍政権へ届けたいと考えて、今日の集まりとなった」と挨拶をした。

 続いて、埼玉の「戦後70年民衆談話の会」共同代表が、「かつて、ファシズムは一部の人間だけでなく、市民を巻き込み増長していった。今は、まさにその時と同じ。ささやかな1人の自主規制が、だんだんと大きなうねりになり、表現の自由を狭め、ファシズムへ向かうことになるのではないか。そんな空気に抗うためにも、民衆談話の運動を拡げている」と話した。

 東京の「日韓つながり直しキャンペーン2015」共同代表の渡辺美奈氏は、今年6月に採択した「植民地主義を清算し、ともに東アジアの平和な未来を開いていこう!」宣言について説明。「今年、日韓国交正常化50年を迎えた節目に、日韓がつながり直すきっかけにしたい。植民地主義の清算なくして、東アジアの未来は切り拓くことはできない」と述べた。

日本の信頼は、反省と謝罪の上に築かれる

 東京の「戦後70年 新しい東アジアの一歩へ!市民連帯」の代表は、「戦争責任を明確にし、戦後補償をし、アジアの人たちに納得してもらうべき。そこではじめて日本の立場が主張できて、信頼も築くことができる」とし、信頼協調を基本に、お互いが認め合う歴史認識を築くこと、米軍基地問題の解決、日朝平壌宣言の継続と国交正常化、日韓間の慰安婦問題、戦後補償の再考などに言及した。

 富山の「25時行動委員会」代表は、「日本国民が、さまざまな制度的恩恵を受ける一方で、その恩恵を受けられない在日外国人も大勢いる。彼らの前で『市民』を名乗ることについての問題も併せて考えたい。この列島の未来を自分たちの手で作るとするなら、自分の立ち位置を明らかにし、同時に周辺国との関係も明らかにしなければならない」と主張し、このように続けた。

 「戦後70年、戦争の償いも反省もないことに、(日本は)自らつまずいている。もう一度、他者を再発見して関係を構築し直すこと。それが『敗戦70年』の自分たちの談話だ」

いまだに軍国主義の亡霊がさまよい続ける日本

 国会議員のスピーチとなり、近藤昭一衆議院議員が、「敗戦以来、軍国主義の亡霊が、いまだにさまよい続けている。ゆえに、今回の安倍首相の70年談話は、戦争への反省、過ちを二度と起こさないためにも大事な機会だ」と話した。

 「憲法や 兵士とならず 古稀となる」――。2015年5月3日付の東京新聞に掲載された俳句を紹介した照屋寛徳衆議院議員は、「私は、戦後70年と言うのは好きではない。なぜなら、沖縄に戦後はあったのかと思うからだ。今も戦争が続いているのが自分の実感。政府は、真剣な謝罪とお詫びを尽くすべきだ」と話した。

 福島みずほ参議院議員は、「この政治を変えるのは、自由と民主主義であり、多くの人々の言葉の力だと思っている。安倍総理は『この道しかない』と言うが、われわれは、それとはまったく違う未来を歩む」と述べた。

「東アジアの人々との共存」のビジョンが必要

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