先月からの下落の勢いが衰えることなく、安倍晋三政権の支持率低下が、このまま確たるトレンドになっていくか、どうか──。自衛隊の海外活動枠を拡大する安全保障関連法案の行方は、この一点にかかっていると、藤田幸久参院議員は指摘する。
安倍政権が強権イメージの緩和を狙って打った戦略(=新国立競技場計画の白紙撤回)は奏功していない、と言い切る藤田氏は、仮に今月中に、安倍首相の求心力低下を印象づける世論調査結果が相次げば、自民党内に動揺が走るのは必至だとした。
2015年8月7日、戦争と核(原発)と貧困のない自由な社会をつくる会が主催する、「平和日本の正念場!」と題した勉強会が、東京都中央区の東京八重洲ホールで開催され、民主党・参議院議員の藤田幸久氏が講演を行った。
藤田氏は、市民らの間に自然発生的に拡大した「反・新安保」の声を高く評価。国会の「60日ルール」適用のポイントとなる9月14日までの約1ヵ月間が、闘いの正念場だと述べた。
最大の安全保障は「信頼と感謝」
最初に、藤田氏は、大学卒業後に国際親善使節に参加した折のことを話題にした。
アジアの各地をホームステイしながら渡り歩いたという藤田氏は、1970年代当時の日本を「台風の目」と表現する。
「台風の目の中にいれば、快晴を享受できるが、外は内戦や分断が珍しくない暴風雨圏だった」
高度経済成長を謳歌していた当時の日本は、貧困や飢餓の問題を抱えるアジアの他国・地域とは、およそ異なる国だったとし、藤田氏は、「アジア人からなる数十人のグループでの旅だったが、グループ内で日本人は『アジア人ではない』と見られていた」と言い重ねた。
藤田氏は、「国際親善使節への参加で学んだのは、一国にとっての最大の安全保障は、『隣国から信頼と感謝を得ること』だった」と振り返り、今の安保法制の動きに触れつつ、「隣国との緊張では、『ここまで軍事体制を強化すれば安心』というラインは存在しない」と強調。欧州では、国々の間に移民問題などの火種は存在しているものの、戦争には発展させない、不戦の仕組み(=欧州連合 EU)がちゃんとあるとし、「東アジアに同種のものがないのが非常に残念だ」と語った。
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