「企業が新規に採用者を2年間、自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージについて、お示しをしたことはございます」
少子高齢化などの影響で、自衛隊員の数が減少傾向にある。防衛省によれば、1988年の自衛官現員は24万7191人だったのが、2013年度には22万5712人で、2万人以上も減少している。今後、安保関連法案の成立によって、自衛隊がこれまでよりも深く米国の戦争に加担するようになれば、隊員の減少はさらに拍車がかかると予想される。
(安斎さや香・原佑介)
特集 安保法制
「企業が新規に採用者を2年間、自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージについて、お示しをしたことはございます」
少子高齢化などの影響で、自衛隊員の数が減少傾向にある。防衛省によれば、1988年の自衛官現員は24万7191人だったのが、2013年度には22万5712人で、2万人以上も減少している。今後、安保関連法案の成立によって、自衛隊がこれまでよりも深く米国の戦争に加担するようになれば、隊員の減少はさらに拍車がかかると予想される。
活動範囲が拡大する一方で、活動する自衛隊員が減ってゆくのである。これをどうカバーするのか。
2015年8月3日、参院の平和特別委員会で「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表の山本太郎参議院議員が3度目の質問に立ち、「経済徴兵制」の可能性を追及。中谷元・防衛大臣は、企業の新規採用者を2年間、自衛隊で受け入れるイメージがあると明かした。さらに、これが奨学金の返還延滞者と紐付けられる可能性まで浮上した。
経済的な理由で若者が自衛隊へ入隊し、戦争に行かなければならないのではないか。人を殺し、殺されるリスクが高まることを危惧する山本議員は、経済格差を逆手に取った事実上の「赤紙」の危険性に迫った。
以下、山本議員による質疑全文を掲載する。
山本太郎議員「7月30日の特別委員会で私は安倍総理に対しまして、我が国がジュネーブ条約や、国際人道法や、国際人権法に違反する行為、つまり戦争犯罪に協力することがありえるか、ありえないかということを質問いたしました。
安倍総理は、『それは、我が国は我が国として、国連憲章上、違法な武力行使を行う国に対して、支援や協力を行うことがないわけであります』。このように答弁されました。
岸田外務大臣におうかがいしたいと思います。我が国は民間人に対する攻撃、殺人、傷害などを禁じたジュネーブ諸条約、国際人道法や国際人権法に違反する違法な武力行使を行う国に対して、支援や協力を行うことはない、ということで間違いないでしょうか」
岸田文雄・外務大臣「仮にある国が軍事目標主義、要は文民を攻撃してはならないとか、あるいは、捕虜を人道的取り扱いをしなければならない、こうしたジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法に違反する、こうした行為を行った場合に、我が国がそのような行為を支援することがない、これは当然のことだと考えます」
山本議員「中谷防衛大臣にも聞きたいと思います。日本の自衛隊は今後とも、民間人に対する攻撃、殺人、傷害などを禁じたジュネーブ諸条約や、国際人道法や、国際人権法に違反する、米国などの違法な武力行使には支援や協力は行わない、ということでよろしいでしょうか」
中谷元・防衛大臣「自衛隊が活動するにあたりましては、国際法を順守をし、また国際人道法上違法な行為に対する支援を行うことはないと、いうのは当然でございます。これは法案によって規定されておりまして、例えば重要影響事態法による我が国による後方支援活動は、日米安保条約、または国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行っている外国等の軍隊に限られております。
また、国際平和支援法におきましても、国際社会が国連憲章の目的に従い、共同して対処していることが要件の一つでございまして、国連憲章の目的に反する活動を行っている相手に対しては、我が国は支援を行わないと、いうことは国内法上担保されているということでございます」
山本議員「今日の私の質問のテーマでございますけれども、経済的徴兵制。私は今回の安保法制によって、日本の自衛隊が世界中のアメリカなどの戦争に参加協力し、自衛隊員自身が殺されたり、拘束されて人質になるリスクが高まることももちろん、これ重要な問題なんですけれども、自衛隊員が、アメリカ軍などの戦争犯罪に加担し、民間人殺害の共同正犯になることも、非常に重大な問題だと考えています。
これまでは専守防衛、正当防衛、災害救助など、大義のある正義の行動だったものが、大義のない、正義に反する戦争犯罪に自衛隊員が加担してしまうことはあってはならない、と思います。私は自衛隊員になろうとする人が減ってしまうんじゃないかなと、懸念しております。
5月26日、文部科学省の学生への経済的支援のあり方に関する検討会、当時、経済同友会の専務理事で、現在、奨学金を担当する独立行政法人日本学生支援機構の運営評議会委員でもある前原金一(かねいち)さんの発言です。
これ、与野党の理事の皆さんの了解があれば、ひょっとしたらこの方、参考人に呼べたりするんじゃないかと思いまして、とりあえず問い合わせをしたんですね。いろいろなことを確認しておこうということで、スケジュールはどうなんだろうと思ったんですけれども、支援機構が言うには、この前原さん8月1日で委員を辞められるので、本日8月3日はもう委員ではない、ということだったんですね。
でもしつこく今日も確認したんです。そしたらまだ手続きが終了していないので、今日現在はまだ、学生支援機構の運営評議会委員であるそうなんですよ。おかしな話だな、これ。話変わっているんですよ。ぜひ、来ていただきたいですよね。
この前原さん、このようにおっしゃっているんです。『まず延滞している人の年齢、年齢別の人数、教えていただきたいと。それから延滞者が無職なのか、低収入なのか、あるいは病気なのかという情報をまず教えていただきたい』。
学生支援機構、奨学金に関するこのような情報っているのは、存在するんですかね。そしてこの前原さんと防衛省に情報提供したことはあるんですか? そしてこの返済猶予、おそらく情報があるとしたら返済猶予の手続きをとった人たちの人数だと思うんですけれども、この返済猶予の理由別の人数、教えていただけますか。さらに、防衛省やほかの機関から情報提供を求められたことはあるのかどうか、お答えください」
遠藤勝裕・学生支援機構理事長「平成26年度末の延滞者の年齢別の件数でございますけれども、25歳未満、6万200件、構成比は17.2%、25歳以上35歳未満が21万4751件、構成比は61.4%、35歳以上45歳未満が5万7176件、構成比16.3%、45歳以上が1万7848件、構成比5.1%です。
ご質問でございますけれども、事由別の延滞者の件数ということでございますが、全体の事由別件数というのは、把握しておりませんが、サンプリング調査によりまして、奨学金の延滞者に関する属性調査、というものを行っております。
平成25年度の属性調査の数字でございますけれども、まず一番多いのが、半分以上51.1%が本人の低所得によるもの、そして、15.1%が本人が失業中、無職ということでございます。それから本人が病気である、これが5%ということです。もう一つ大きな理由として、親の支援、親の経済的困窮に対して返還者が支援をする、という理由が17%ほどということでございます。
また返還期限の猶予制度の適用者の主な事由別件数でございますけれども、これは26年度末のデータでございますが、やはり経済的な困難、失業と、これが9万2341件、87.2%、9割近くを占めている。ほかに本人の病気あるいは生活保護あるいは災害あったと、そういったことが返還猶予制度の適用者の理由になっております。
なおお尋ねの奨学金の延滞者に関する属性調査の結果については、私ども公表しております。ただ、個別の延滞者の情報について、前原委員、あるいは防衛省、他省庁に提供したり、防衛省他省庁から問い合わせを受けた、という事実はふございません。以上でございます」
山本議員「すいません。たっぷりとお時間を使ってご説明いただきました。本日の質疑時間は15分しかございません。続いて参りたいと思います。
噂の前原さん、このようにコメントされております。『現業をもっている警察庁、消防庁、防衛省などに頼んで、1年とか2年のインターンシップをやってもらえば、就職というのはかなりよくなる。防衛省は考えてもいいと言っている。2年コースを作ってもいいと言っています』と発言されております。防衛省、端的にお答えください。あったかなかったかだけね。前原さんにこのように言ったんですか? 2年コースのインターン、検討されたんでしょうか」
中谷防衛相「防衛省では、前原氏に対して、企業が新規に採用者を2年間、自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージについて、お示しをしたことはございますが、防衛省としては、奨学金の返還延滞者を対象とした、インターンシップ制度は検討を行っておりませんし、今後も検討の予定もございません」
山本議員「今お話しいただいたのは社会人ということですか? ごめんなさい。その検討されたというかその話し合いの場にのぼったというのは。奨学金のことはのぼっていないけれども、社会人の教育訓練というような部分に関してあがったということでよろしいですかね? ごめんなさい。そうなのかそうじゃないのかだけお答えください」
中谷防衛相「企業が新規採用者を2年間自衛隊に実習生として派遣するというプログラムのイメージでございまして、社会人のことでございます」
山本議員「これ、どういうことですか? じゃあこの前原金一さんという人は無茶苦茶ですよね、言っていることが。防衛省となかった話を、嘘を言っているということになる。防衛省が嘘を言っているのか前原さんという人が嘘を言っているのか、という話ですよね。こういう方が奨学金に関わって、今若者たちが首が絞まっているような奨学金に関していろんな意見を言うということがすごく問題ですよ。
防衛省にもう一度お聞きします。今のご発言、間違いない話なんですか?」
中谷防衛相「企業が新規採用者を2年間、自衛隊に実習生として派遣するというプログラムのイメージについて、お示しをしたことはございますが、防衛省としては、奨学金の返還延滞者を対象としたインターンシップ制度については検討を行っておりませんし、また今後も検討を行う予定もないと、いうことでございます」
山本議員「なるほど。ということは前の経済同友会の専務理事である前原金一さんが、とんでもない人だということが、今、防衛省が嘘をついていないんであれば、とんでもないということがはっきりとしたという話ですね。
一度この方参考人として呼んでいただきたいんですけれども、理事会で協議していただけないでしょうか」
鴻池祥肇委員長「のちの理事会で協議いたします」
山本議員「ありがとうございます。昨年の7月1日、憲法違反の閣議決定をした直後にですね、全国の高校3年生に一斉に自衛隊からお手紙がきました。ダイレクトメール、郵送されてきたんですね。
これ、インターネットでも『赤紙キター!』というふうに大変に話題になりました。これは法令に基づいて全国の市町村から情報提供を受け、全国の高校3年生の個人情報を名前生年月日、性別、住所などの4情報を収集して行ったという話なんですけれども、防衛省、現在持っている全国の高校3年生の個人情報、今何人分あるんですか? この情報、今後どうするんでしょうか」
中谷防衛相「自衛隊の募集に関して必要になる個人の氏名生年月日、等の情報は、自衛官募集を目的といたしまして、それぞれの自衛隊地方協力本部において用いられるものでございます。全国の地方協力本部において、こうした情報を何名分、保有しているかにつきましては、集計をする必要がないため、集計しておりません。
自衛隊の協力本部では、取得した情報を自衛官募集にかかるダイレクトメールの送付のために利用いたしておりますが、自衛隊の地方協力本部において、こうした情報利用目的を達成に必要な範囲のみで、保有することを徹底することを含めて、今後とも法令に基づき、適正に管理するように努めているわけでございます。
またこれの保管等につきましては、1年以内に消去をいたしておりまして、この個人情報等につきましては、法令上、個人情報ファイル等の作成公表等を要しない
ということで厳正に管理され、対応していると、いうことでございます」
山本議員「これね、非常に不気味なんですよ。ダイレクトメールでいきなりきたら。『え!? どうして? どうして私が今年卒業するってわかるの!?』という話で全国でいろんなところでいろんな声が上がっているんですけれども、やめていただきたいんです。こういうこと。
で、なによりも、防衛省として把握していない、この数を。あまりにもおかしくないですか? 18歳に該当する人達120万人近くいるんですよ。ひょっとして、その人達の情報すべて持っているかもしれない。それをどうするのか、てかその数も把握していないなんて、あまりにもおかしな話なんです。
たくさんお話をしたかったんですけれども、下村大臣がミラノからわざわざ、直行してくださっているんですね。本当にありがとうございます。お疲れのところ、いろんなお話うかがいたいんですけれども、ポイントでいきたいと思います。大臣は、交通遺児育英会の交通遺児奨学生の第一期生ですよね。
奨学金を受けている人達の星だと思うんです。経済的格差を利用して兵員を確保すること、経済的徴兵制、問題になるのは、私やはり日本の奨学金制度に問題があるからだと思うんです。各省庁みてみても、給付型の奨学金があるのは防衛省だけなんですよ。おかしいでしょ、こんなこと。これ、あまりにもおかしいと思うんです。
不平等だと思うんです。法の下の平等に反している。奨学金なにが問題か。利息がつくこと。延滞金がつくこと。これサラ金と一緒なんですよ。これなんとかしてあげてほしいんです。国がサラ金やってどうするの? 国が武富士になってどうするんだって話なんです。力を貸していただきたいんですけれども、この利息、どんどん減らしていくと、無利子で奨学金を出していくということにお力を貸していただきたいんですけれども、一言をお話を聞かせていただけますか」
下村博文・文部科学大臣「認識はまったく同じでありまして、まず、有利子奨学金をできるだけ無利子奨学金にしてまいりたいと思います。そして、平成29年から、所得連動変換型奨学金制度の導入について、検討しているところでございます。年収300万以下であれば、返還しなくてもいいと、いうようなかたちをとることによって、すべての能力と意欲のある若者がチャンス可能性が広がっていくような、そういう奨学金制度を充実をさらにしてまいりたいと思います」
山本議員「無利子に加速させると、安倍総理は施政方針演説で言いましたけれども、88万人の有利子の奨学金を借りている者のうちそれに該当するのは1%しかいないんです。力を貸していただきたいんです。奨学生の星でありますから、大臣が、それを行ったということを大きく見せていただきたいんです。首が絞まっています。若い人達の。よろしくお願いします」
今年の話だが、奨学金の借金残額が1,000万円ある青年と数回話をしたことがある。返済が遅れると延滞利息が付くそうだ。奨学金を計画どおり返せない人は経済的に返済できないから返さないだけなので、延滞利息をつけることは事態をさらに悪化させるだけだ。
問題を一気に解決する為に法律を作り、奨学金を借りている人全員から奨学金の負債を全額買い上げる団体を作ったらどうか。奨学金を借りている人は、その団体に無利子で奨学金を分割返済するよにすれば金利の負担は減る。こういう政策も、アベノミクスの一環と考えて、やるべきではないのか。
今後は日本の国力の向上のために奨学金は返還無用の給付制のみにすべきで、生活費の給付もあわせて行うようにすべきだ。返済義務を伴う奨学金は単なる貸し金に過ぎず、民業圧迫でもあるので直ちに中止すべきだ。
政府与党、経済団体の役員の方に言いたいのは、大人が、若者に夢も希望も与えられず、戦うよう強いる国は滅びます。